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古明地こいし……古明地さとりの妹であり地霊殿に住む住人の一人。
無意識で行動するようで、ふらふらと気の向くままに歩いてゆく。
それが周囲へと伝播し、無意識の中に偏在する彼女のことは認識出来ない。
それが普通である。
「どうしたのーお兄さん」
「ちょっと状況を整理させてくれ」
しかし見えている……
一体どういうことなのか……いや確かにいるかなぁとは思ったけど……そこにいるなんて確信したっけ?
「無視しないでー」
「ああ、ごめん後ちょっと……」
どっちみち俺だけが見えるのか、他の皆も見えているのかとか確認する必要があるよな?
皆に見えているなら楽だが……俺だけだと面倒だ。
皆に認識して貰う必要が出てくるわけだし。
「〜♪」
「ちょーっと待ったーーーー!!」
「うぇ!?お兄さん急にビックリするなあ」
1人で考えすぎていたせいで飽きてしまったのか。
部屋を出て行こうとしたのを必死に止める。
見当たらなくなったらまずいって……
「こいしさん勝手に行かないで……」
「えーなんで?」
「お姉さんが探してるから……まずは行こう?」
「お姉ちゃんが?分かった!」
そう言ってこいしさんは俺の手を握って、そのまま手を繋いでくる。
……いやなんで?
「あのこいしさん……?」
「なぁに?」
「これはどういうことです……?」
「え?離れていいの?」
こっちが離れて欲しくないって思われてるんだろうか?
確かに見失うと困るけど……いや困るから繋いでた方がいいな。
「悪いんだけど……私でも何処行っちゃうか分からないからさ」
「……」
わざとじゃないのは分かるが、マジかよって言いたくなる。と言うかそうだな……そうじゃなきゃさとりさんも苦労しないよな。
「分かりました、行きましょう」
「わーい」
そのまま引っ張るように連れて行く。
油断して何度か手を離されそうになったのを気を付けながら。
……外の世界だと下手すりゃ補導されてたんじゃないのかなこれ?
警察等は存在しないし安全なわけなのだが……そんな恐怖に若干怯えながら。
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「さとりさん、少しよろしいでしょうか?」
「……何の用ですか?」
「あれ……?」
すぐに察されると思ったがそんなことはなかった。
疲れているのかな?
「……いきなり部屋に入って来られて即心を覗くなんて出来ませんよ」
「それもそうでしたか……すみません」
「それで……何の用ですか?」
「えっと探し人見つけました」
「……はい?……っ」
一瞬キョトンとしたような顔をしたが、すぐにこちらを凝視してくる。
「こいし、何処ですか!?」
「えっと今はぐれないように手を繋いでいます」
「やっほーお姉ちゃん」
「こいし……!?」
手を繋いでいた事もあってすぐに認識したようだ……すれ違いしていたのを解消できたようで良かった……
「でも、またすぐ見えなくなっちゃうんだろうけどねー」
「こいしが冬の間地上に出なければ構いません」
「えー、なんでー」
こいしさんはプリプリ文句を言っているようだ。
確かに冬の間は窮屈になりそうだが。
「貴女が雪とかで埋もれても見当たらないのですよ……」
「うーん……分かったー」
本当に分かったんだろうか……?ちょっと自分としては信用出来ないような……
「その通りです……と言うよりも彼女自身が無意識なので自分でも分かっていませんので」
「うわぁ……」
「えへへー」
「いや喜ぶところじゃないと思いますが……」
「こいし……申し訳無いですけど冬の間はこれを付けておいてください」
「なにこれ?」
「鈴です、無意識といえど流石に鈴の音は分かるので」
「今までは付けることなんて無かったのにー」
「彼が居ますからね」
そう言ってさとりさんは俺の方を見てくる。
「彼が探す時に見当たらないと不便でしょう?」
もっともらしい理由を付けている気がするが……それでも単純にさとりさんが心配だからな気が……
「……」
すっごい睨まれた……いや妹を心配することは悪いことじゃ無いと思うんですけどね……
「どうしたのお姉ちゃん?」
「なんでもありませんよこいし」
「なんか怖い顔してた気がするけど気のせいかー」
そう言いつつ鈴を帽子につける。
チリンチリンと音が鳴って一瞬消えかかりそうだった輪郭がくっきりと映る。
「これなら、こいしの姿を見失いませんね」
「もー、お姉ちゃん大袈裟だなあ」
「そう思うなら少しは行方不明にならないように注意してください」
「ちょっと難しいかなあ」
「だから困っているのです」
「はーい、変なことはしないようにしまーす」
空返事というか……適当と言うか……いまいち信じがたいような……
それでも信じるしか無いのだろうけど。
「ところでこいし」
「なぁにお姉ちゃん?」
「戸棚にあったケーキを知らないかしら?」
「……」
「こいし……?」
「シーラナイヨー」
典型的なしらばっくれるを見た気がする。
確かに戸棚にあったケーキを食べるのは彼女くらいだろうけど……
「チョコレートケーキが無かったのですよ」
「あっじゃあ本当に知らないよ!」
「……つまりチョコケーキじゃないケーキを食べたと」
「……」
チリンチリンと音がする、明らかにこいしさんが逃げた音だ。
「待ちなさいこいし」
「やーだよー」
そのまま逃げるも音で気付かれ捕まる。
そのまま怒るかと思いきや抱きしめ合いながら笑っているようだ。
本当に姉妹なんだなと。
「こう言うところを見ると……」
正確にはこう言ったところは人間そっくりなんだなと。
人間と差異がないんだなと思った。
身体能力とかは優れているけど家族を思う気持ちや、心は同じなのかもしれないと思わされるばかりだった。
余談だが、抱きしめた後食べたことはさとりさんに怒られていた。
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to be continued