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蓮司がにとりと話し始めた頃、戦いは白熱していた。
風見幽香は戦い続ける。
花達の仕返しだと思うから。何より……それが楽しいから。
「やれやれ……少しは聞く耳を持つべきです」
「どうせアンタも楽しんでるのでしょう?」
「まさか、うんざりしている所ですよ」
「つまらないわね」
「修羅どころか畜生のように本能に明け暮れている妖怪とは違いますから」
「言ってくれるわね」
「愚かに突っ込んでくれるのは楽ですね」
怒りに任せて突っ込む幽香を相手取る。
「審判:十王裁判」
米粒弾を始め多種の弾幕が幽香へと襲い掛かる。
躱すスペースも徐々に狭くなるが……笑っている。
「さて、これで終わってくれると楽ですが……」
「そんなわけ無いでしょう」
幽香もスペカを発動する。
「春花:蒲公英の離散」
一つの弾が飛び、風に吹かれたように散る。
まるで綿毛のように一つ一つ互いの弾幕を打ち消して行く。
「こちらの弾幕を塗り潰しに来るとは……」
「こうしないと一撃が入れられないでしょう?」
「直接来る気ですか……」
「元々スペルカードルールは人間との力の差の為だし、私達には関係ないわね」
「そうして無駄な命を散らすと……犠牲になった妖怪達も少なくは無さそうですね」
「そんなの弱い方が悪いのよ」
「やはり長生きする事は罪でしかない。改めてそう感じさせられますね」
「いい加減口以外も動かしたらどうなの?」
徐々に詰めようとする幽香に下がる映姫、明らかに押されているように見える。
「逃げられるのはうざったいわね。夏花:朝顔の生長」
先程の花とは違い、映姫の周りを一本の弾幕が回り込む。
絡む朝顔のツタのように、締め付けようとする。
「可愛らしい花かと思えば、本当に貴女らしい攻撃的な花達だ」
「花達だって生きているもの。当然でしょう?」
「善の心が無ければ、花もこうなりますか」
「アンタに復讐したくて仕方ないみたいね」
「私は関わっていません」
「どうでもいいわ。まだ暴れ足りないもの」
「大事にしている割には、花のせいにするのですか」
唖然としながらツタから抜け出す。
遅れていればピチュる事も十分にあり得た。
「やはり貴女を野放しにするのは危険です」
「だったらどうしたいわけ?勝てるとでも」
「幾ら閻魔と言えど躊躇いも存在します……しかし使うしかありませんね」
「好きにしたら?どうせ物足りないだろうけど」
「毒を持って毒を制す。貴女を一番正確に裁けるのは貴方自身だ」
「何を……?」
「審判:浄頗梨審判-風見幽香-」
「なっ……」
鏡の中から風見幽香が現れて本物と対峙する。
姿もそっくりで……何より圧が自分のものと同一程度だと察した。
「さて、自分自身に相応しいと思う罪を授けなさい」
そのまま、本人同士の戦いが始まった。
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「……自分自身と戦うのは中々ね」
同じ行動を取るわけでは無いが、力は同じだしスペカすらも被せてくる。
「正直、憧れていたけど、戦ってみるとつまらないわね」
自分が相手と言う事で同じ実力の相手だと思っていたが、手の内が完全に分かる。
新鮮味が全く無いのが正直退屈でしか無い。
「観客だって……そう言えば二人が居ないのだけど」
戦いに集中し過ぎて周りを見ていなかったが、二人が消えている。
……逃げたは無さそうだがどうなのだろう?
「よそ見してるんじゃ無いわよ」
偽物が騒ぎたてる。
鏡のくせして同じ声で騒ぐのがやかましいったらありゃしない。
「幻覚を見せる彼岸花だって、私自身に効くわけ無いものねえ……」
この目障りな偽物を今すぐにでも叩き潰したいけどそう出来ないのが忌々しい。
「はっ偽物だろうとアンタと同じなのよ」
「言いたい放題言って……」
「隙だらけですよ」
偽物に気を取られて映姫が弾幕を飛ばして来る。
直撃するがまだふらつく程度だ、問題ない。
「サシじゃなかったのかしら?」
「一言も言っていませんが?」
「……」
「所詮は同じでしか無いので、私が加わればいい話です」
「閻魔の癖に公平さは無いのね」
「裁判官は公平ではありませんよ。罪人に慈悲を与える必要などありませんから」
「へぇ……」
「罪人はただ淡々と裁かれていれば良いのです」
「分かったわ」
「珍しく物分かりがいいですね、ですが助かります。妖怪であろうと長生きするものでは……」
「遠慮する必要が無いってことがね」
その途端風見幽香が分身し、偽物と合わせると三人となった。
「なっ……」
「さて、極大のいくわよ」
傘に魔力が集まる。それが両方の幽香に……映姫が流石に不味いと悟る。
「そんなことも出来たんですか……」
「流石に鏡風情じゃ分身までは出来ないでしょう?」
「ですが所詮は幻です、どうとでも」
「これが飛んでも?」
魔力が溜まる。恐らくは先程のだろう。
アレだけは直撃してはならないが、避けるのは厳しいかもしれない。
「ですが避けないとジリ貧」
本当に力任せの妖怪だと改めて感じる。
これで弱いもの虐めとか本当に残虐でしかない。
「……やめた」
しかし予想とは反し、幽香は傘を下ろす。
その姿を見て安堵する。
「賢明ですね、少しは貴女も分かる……」
「この程度じゃ足りないわね」
傘だけではなく、空いている手にも魔力が溜まる。
一体何が起きて……?
「地形が変わりそうね、ここまで好き放題するのも久しぶり」
「流石にそれは洒落に……」
「偽物も実力が同じなんでしょう?だったら出来るんじゃない?」
それも考えた。ただ彼女であるとは言え、鏡が耐久できるのかが不安だ。
更には相手は二人いる、やったところで焼け石に水だろうし、何より無縁塚が崩壊する未来しか見えない。
「四本なんて初めてだから感想を聞かせてちょうだい」
「貴女と言う妖怪は本当に……」
「クワトロスパーク!!」
四本の光が映姫と鏡を襲った。
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to be continued