幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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百二十話 次の為に〜Good bye employer.

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「さて、無事異変も終わったけど」

 

 

「そうね……正直私一人だとこの異変で、ただただ虐め回っていたでしょうしね」

 

 

「幽香的にはそれでも良さそうな気がするけど」

 

 

「まあね。結局今回は満足したとは言え、一人でもやりたいようにやっていただろうし」

 

 

「それはそうね」

 

 

「だからちょっとぐぬぬってなるのさ」

 

 

「別に、二人の存在があった方がマシだと思ったからいいと思うけどね」

 

 

「おっと、いきなりデレられると思わなかったな」

 

 

「本音を言っただけよ」

 

 

「それが本音なら嬉しい限りだねってね」

 

 

にとりさんも笑っている。

正直ここに迷い込んだ時からすると驚きでもあるが。

 

 

「それで、これからどうするの?」

 

 

「おや、てっきりまだ奴隷をやれとか言われると思ったけどね」

 

 

俺も正直そう思っていた。

ここから逃すわけないとか、用済みだとか十分に考えていたんだが……

 

 

「必要ないわよ。むしろこれから亡霊どもが消えるまで花に集中しなきゃならないから、二人に構ってる暇はないの」

 

 

「そうか、それは残念だね」

 

 

「あら?もっと奴隷でもやってたかったのかしら?」

 

 

「いやいや、ただ単純にここなら何作っても文句は言われなかったからね。そう言う意味では居心地が良かったのさ」

 

 

「文句は言ったつもりだけど?」

 

 

「それでも優しい幽香様は許してくれたからね」

 

 

その度にぶっ壊されていたけど……それでいいのか。

完成品を眺めるよりも作る事に価値を見出しているんだなあ。

それなら妖怪の山でも散々小言を言われていただろうし、にとりさんには都合の良い場所だったのかもしれない。

 

 

「どちらにせよここに残る気なんて無いでしょうし」

 

 

「まあね、私にもやらなきゃならない事があるからね」

 

 

「どうせいつも通りロボット作りでしょう?マシなの出来たら持ってきなさい」

 

 

「えー、幽香壊すじゃん」

 

 

「花のためになりそうなら残すわよ」

 

 

花のためになりそうな物も壊していた記憶があるんですが……

便利でも強そうなら問答無用で戦う気がするんだよなあ……

 

 

「難しいなあ……と言うか暫くはロボット作る予定無いけどね」

 

 

「……驚きだけど」

 

 

「太陽の畑を去った後は、幻想郷回るだろうからなあ。今回の件も含めて」

 

 

「にとりさん、今回の件とは?」

 

 

今回何かあったっけと尋ねる。

行く事は話し合ったが、それ以前はそんな気は無かったはずだし今回のって言うのが疑問だが……

 

 

「蓮司の過去についてもついでに探るんだろ?」

 

 

「それが出来ればベストですが」

 

 

成る程そう言うことか。

ただ見つかるか分からないし……八雲紫がまた何かしてきそうで怖いのもある。

 

 

「ああ、結局一緒に行動するのね」

 

 

「へへん、羨ましいだろう」

 

 

「それは正直、別に羨ましくもなんとも無いのだけど」

 

 

「ちょっとー幽香ー、蓮司泣いちゃったじゃん」

 

 

「いや……泣いては無いですが」

 

 

「なんでだよー、泣けよー。今なら許されるぞ?」

 

 

「いや何故!?そんな大事な事ですか!?」

 

 

ノリに付いて行けず置いて行かれた気分になる。

ただ急に泣くのは無理だし、幽香さんの前で泣いたフリは命に関わる。

 

 

「ほんと見てて飽きないわね」

 

 

「いいんじゃ無いの、幽香も混ざりたければ混ざれば」

 

 

「柄じゃ無いわよ」

 

 

「そんなの気にしなくていいのさ。妖怪だろうと人間だろうと、自分本位で動くものさ」

 

 

確かに柄では無い気がするが、他人の目を気にし過ぎても仕方がないと。

自分のやりたいようにやればいいと思う。

 

 

「まっそのうち考えるわ」

 

 

「えー今」

 

 

「それはないわ」

 

 

「残念、残念」

 

 

そう言いながらにとりさんは俺の方を見て来る。

ん?どうしたんだろう?

 

 

「ほら蓮司、そろそろ行く準備は出来たかい?」

 

 

「今まで話してたんですけど!?」

 

 

準備していないのは目に見えた筈なんだが……

 

 

「全く、ちゃんとしなきゃダメだろう」

 

 

「ちょっと待ってください」

 

 

慌てて準備をする。

とは言っても……死に戻ってから初めに落とされたため、大した物を持ち歩いてなかったが。

 

 

「出来ました」

 

 

「それじゃあ幽香、また次会うのはいつになるか分からないが……」

 

 

「安心しなさい、花を害するようなら、夜にでも枕元に立ってあげるから」

 

 

「そりゃ大変だ、大事にするさ」

 

 

大変なのは大変だが……むしろ方法はそれしかないのか!?

 

 

「それと蓮司」

 

 

「どうしました?」

 

 

「貴方が耕した土地……奪われはしたものの、コイツらはしっかりと育てるから安心しなさい」

 

 

「あっ管理してくれるんですね」

 

 

結局花は咲いているが、それをどうするか決めていなかった事もあり、こうなるならば有難い。

 

 

「前も言ったけど花には罪が無いもの」

 

 

亡霊には罪があろうと花には無いと。

どっちみち駆除は花ごとってわけにはいかないから暫くの間は一緒なんだろうなと。

 

 

「幽香さん、半年間有難うございました」

 

 

「……」

 

 

「あの……幽香さん」

 

 

「扱い的に感謝されるのは予想外でしか無いんだけど」

 

 

「結果的ですが……ほぼ毎日回ったり耕したりして、体力ついたりもしましたし」

 

 

「何?貴方はドMか何かなの?」

 

 

「……違いますが」

 

 

流石に話がぶっ飛びすぎている。こう言うのは良くない。

 

 

「てっきり虐めてあげるから残りなさい。と言えば、太陽の畑に残りそうだったけど」

 

 

「勘弁してください……」

 

 

「分かってるわよ。私だって牙を抜かれた獣に興味は無いもの」

 

 

「蓮司は牙が生えてても獣程脅威は無いだろう」

 

 

「言えてるわね」

 

 

……悲しい。すっごく悲しい。

 

 

「それじゃあ、また気が向いた時があれば」

 

 

「分かりました。またいつか」

 

 

最後までこちらを見てくれる幽香さんの方を見つめ返しながら歩き始める。

そうして二人は多少の名残惜しさを感じながらも、太陽の畑を後にした。

 

 

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