百二十一話 行くべき道は〜next place of destination.
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太陽の畑を抜けて、人里へと辿り着く。
妖怪が人里で歩き回るのもなんだとにとりさんは迷彩服を着ているが……あれ実は宿代払いたくないだけなんじゃ……?
「ふぅ、久々に床が硬くないぞー」
宿屋に着いた途端にとりさんは迷彩を脱いで畳に寝転ぶ。
はしたないと一喝するべきなのかもしれないが、互いに疲れているしなあ……
「にとりさん……宿代は払わなきゃダメですからね?」
一応はこの件だけ釘を刺しておく。
「黙ってればバレないって……」
しかしにとりさんも文句を言ってくる。
「やっぱり代金を払いたくないだけなのでは……?」
「そんなわけあるか、ただ単に人に見られたくないんだよ」
「目立ちますしね……」
見た目もそれなりにだが、なによりもその背中のリュックが人の目を惹きつけてしまうだろう。
「違う!!蓮司は私が人見知りだって分かっているだろう!?」
「それは確かにそう言ってましたが……」
ただ、胡散臭いと言うよりも……それ盾にして好き放題やっているような……
さっきは目を逸らした隙に店頭販売していた商品を取っていたような気がするし。確証はないけど……
「と言うか違うだろう。何処行くかって話だ」
「まずは妖怪の山だと思いましたが……」
「分からなくも無いが……大丈夫なのか蓮司は?」
「正直……分かりませんね」
「出禁って何があったんだ?」
「文さん曰く天魔様がもう山に来るなと……」
「天魔様が……」
「やっぱりヤバいんですか?」
「相当ヤバい、踏み込めば死ぬと思う」
「……マジですか?」
「マジだよ、蓮司に死なれると困るし妖怪の山に戻るのは無しだな……」
「だったら……文さんどうしましょうか?」
「どっかで会うだろ、気にしなくていい」
「いいんですかね……それで」
「どうせ悪口やイキリしか出来ないような天狗だ。もうちょい蓮司を見つけられずに苦しませておけばいい」
「はあ……」
やっぱり同郷の妖怪からも評判が悪いようだな……
ただ探すのはほぼ不可能だし、文さん……色々と頑張ってください。
「それで……何処行くかだな。正直あちこちへ訪れて、色々と見て回りたいが……」
「俺としては紅魔館とか久々に行きたいですが……」
「え?紅魔館行った事あるのか……?」
「はい……今回では無いですが」
「あー……でもなあ」
「どうしました?」
「吸血鬼と関わりたく無い」
「……悪い人達ではありませんよ?」
「それでもだ!!」
「分かりました……」
流石に会いたく無いと言っている以上、無理やり合わせるのもあれか。
にとりさん的にはなんでも好きな物作らせて貰いそうだけど……それこそレミリアと合わせると異変となりそうな物まで完成しそうか。
「永遠亭……は言っても仕方ないですし地底は?」
「は?」
「ごめんなさい……」
凄い形相をされた、紅魔館の比ではない。
文さんも嫌っていたが、にとりさんも大差ないらしい。
「妖怪の山の妖怪達はなあ、鬼に死ぬ程会いたくないんだよ。わざわざ住処に行くなんて馬鹿げているだろう!!」
「それはそう……あれ?」
「何?」
「地底の存在をそう言えば知っているんだと」
飛び回っている文さんはまだしも、妖怪の山は閉鎖的だろうし全く知らないと思っていた。
「……人間達は知らないかもしれないけど、妖怪の山の近くには地底に繋がる道があるからね。地底の妖怪達は出られないようになっているけど」
「……マジですか?」
迷いの竹林にも存在していたのに、妖怪の山付近にもあるのか。
最初に落ちた場所もあったし、ヤマメさんが居たあの入り口も……
外の世界を嫌っているようだが……あちらこちらから繋がっているらしい。
そうなると、いつ地底に誰が訪れることになるか分からないし、気が気でないであろうさとりさん達が心配にもなるが……
「だから鬼だらけなのも知っている、絶対に行かない!!」
「そこまで言うのならば……」
「正直だ」
「どうしました?」
話が続くようで耳を傾ける。
「レーダーあっただろう?」
「ありましたが……それが何か?」
「あの時地下を指したのを覚えているかい?」
「ああ、故障してたと言う……」
今となっては本当に故障していたのか疑問に思うが。
「地下を指したから故障としか思えなかった」
「どう言う事です?」
「河童と鬼は相容れない。私に姉妹が居たとしても、地下で住む事はあり得る筈が無い」
「断定するんですか……?」
「ああ、するよ。少なくとも姉妹だとしても地底の住人なら私は用が無いから」
「そこまでですか?」
「あまり山の都合を話すわけにはいかないからこれ以上は言えないけど……地下に万が一にでも住んでいるとしたら。そんな奴は私の家族じゃない」
「分かりました……深く追求しないようにします」
流石に山の都合を聞くわけにもいかないしな……そもそも理解出来ない気もするし。
ただ……疑問として核施設で河童が働いていた気がするが……余計な事は言うべきでは無いか。
「それで、何処行くかだけど……蓮司地図は?」
「はいここにあります。どうぞ」
持っている地図を渡す。
永遠亭とかは書いてないし最新版が出来れば欲しいが……無いよなあ。
「本当に行きたくない場所ばかりだな……」
「にとりさんの場合更に厳しそうですもんね……」
「そうなんだよな……今でも一刻も早く人里を去りたいし」
にとりさんがあちこちを指で追いながら一人で探しているようだが……
冥界の方を指差しながらブンブンと首を振る。
どうやらそっちも問題がありそうだ。
「そもそも蓮司、お前冥界に行ける手段あるのか?」
「……無いですけど」
歩いて行けるとは思っていない。
だが飛ぶ事は出来ない……訪れるのはやっぱり無理か。
「私も人間や妖怪が少ないところがいいな」
「妖怪が少ないところと言えば太陽の畑ですが」
「冗談」
「……Uターンしても仕方が無いですしね」
お別れを済ませてUターンするは本気でわけが分からないしな。
「だったら……目を瞑って……」
「それほぼ行きたく無い場所に向かう事になりますよ?」
「……そう言われるとそうか」
慎重に選んだ方がいいだろう。
あまりにとりさんに重圧掛けてもいけないし。
「あーもう分からない!!」
「だったらここはどうですか?」
「ここは……?」
霧の湖?いや違うな……その近くにある洋館か?
「紅魔館に近いじゃないか!!」
「別に紅魔館に寄らなければいいでしょうに」
「それもそうだな……しかし洋館か」
「引き篭りのにとりには過ぎたる物件ですけどね」
「何をー!!」
……何というかデジャブを感じる。
懐かしいと思う事もあるが、それ以上にいつからそこに居たかだ。
「ってうわっ!?いつの間に居たんだ」
「いつからでしょうね」
「文さん……」
「初めまして小野寺蓮司さん。いやもしかしたら初めましてじゃないかも知れませんが」
覚えてはいないけど、忘れないようになんとかしているような……そんな感じで話し掛けてくる。
「申し訳ありませんが聞きたい事が多いので、少しの時間お願いします」
こちらとしても話したいことがあった為有難いが……あの時とは違い、忙しくなりそうな気しかしなかった。
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to be continued