ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日もまたにとりさんの元に子供達が集まる。
何を作っているのか分からない筈なんだが……見慣れない工具や製造に目を輝かせている。
「えっと……大丈夫ですか?」
それと同時に塞ぎ込んでいる先生の姿があって、たまらず声を掛けた。
「ははは……大丈夫だ」
「全然大丈夫そうに見えませんが……」
「いや……私の授業で見せた事ないような顔をしているしな皆」
「どうしても子供は実験とかが大好きですからねえ」
「なんだか、先生で居る自信が無くなってくるよ」
「大丈夫ですよ、自信持ってください」
「……にとりの奴の方が先生やった方がいいんじゃないか?」
「……あの顔見てください」
にとりさんもにとりさんで苦しんでいるような表情をしている。
人見知りな上に、子供達が手を出しそうになって気が気じゃないんだろう。
手伝おうにも妖怪の山にいた頃から製作には携われないし……それ以外にもあったしなあ。
「こう言う時にどうにかって思ったけど文さんは居ないし……」
恐らく新聞を作りに行ったであろう文さんは寺子屋にいない。
逃げられた気もするが……
「だから慧音さんしか先生は出来ませんって」
「……そうかな?」
「そうですよ」
「よーし分かった!!元気出た。有難う!」
「それなら良かったです」
「お前らー!見学は終わりで授業に戻るぞ!算数だ算数」
「えー」「やだー!」「なんでだよー!」
文句を言う生徒達を引っ張りながら授業を再開したらしい。
時折折れるようだが、立ち直ったら本当に強い先生だなと。
「……助かったあ」
「にとりさん、お疲れ様です」
「いやあ、本当は蓮司も助けて欲しいんだけど」
「……俺初日にそれやって散々怒られましたが」
「悪かったって……」
初日は一応触ろうとしていた子供達を危ないと注意していたが煩いと怒られた。
それで一応注意はするものの近付かなくなった。
「それに、俺が言ったところで……」
後何故か知らないうちに格付けがされているようだ。
子供達にとって何故か俺は格下で言うこと聞かなくてもいいみたいに思われているようだが……
「キツイなあ……」
子供達にはそう言う傾向があるとは言え、雑魚扱いされたのは……何というかクる物がある。
「まあ、後少しの辛抱だ。頑張ってくれ」
「……俺の立場を上げようとはしないんですね」
「この方が面白いしな」
「……」
色々と理不尽だ。
「それじゃあ私は製作に戻ろうかな」
「いないうちにやらないと効率落ちますもんね……」
「気が気じゃないからなあ……」
「それじゃあ俺は教室の方見ておきますんで」
「頼んだよ」
そのまま教室へ向かい、後ろで授業を聞かせてもらっている。
習った事ある内容だから問題はないが……
「(真面目過ぎるせいか、つまらないのは分かりはする)」
分かっている身からすれば問題はないが、子供達にとっては地獄かもしれない。
教えるのは上手だし分かりやすいんだが……つまらないせいで集中力が皆切れてそうだ。
「にとりさんの方見ている子もいるし……」
チョークを投げられてヒットしている。
分からなくもないがちゃんと聞こう。そうしないと将来に響くぞ少年。
「俺は教師経験ないし教えることも出来ないしなあ」
どうすれば面白くなるとかも分かりやしない。だから口を出す事が出来ない。
「さて今日はここまで、皆気を付けて帰るように」
授業が終了して皆帰る……とはいかずにとりさんの方へと集まろうとする。
しかしもう勘弁してと言わんばかりに迷彩で隠れたにとりさんを見つけられずに結局皆諦めて帰った。
「ははは……日に日に生徒達を取られてはいないか……」
「お疲れ様です」
「お前も嘲笑いに来たのか?」
「なんでそうなるんです……?」
先生がここまでメンタル弱くて本当に務まるのか不安になる。
「いやあ、困った困った……正直子供達が危な過ぎて本当にここ以外でやった方がいいと思うんだけど」
全員が帰ったのを確認したのか、にとりさんが迷彩を脱いで現れる。
「メカの類とか異端って言うような人達ばかりみたいですから……」
「やっとストーブが導入されたんだもんな……遅れているとは言え、こっちの技術を受け入れてくれなそうだ」
「子供達にウケているからいいじゃないか……」
「落ち着いてください……」
「なんだよー、ずるいぞー」
「……ズルイと言われても技術は仕方ないだろうよ」
「私にももっと人気が出れば……!!」
「人気はあると思いますよ」
「何処がだ……」
少なくとも授業が問題あるのであって、普段の子供達から慧音さんは人気者だとも思うが。
「むしろ集まられ過ぎても困るから、慧音がもっと引き留めて欲しいんだけど」
「嫌味か貴様ぁ!!」
「いや、本当の事を言っただけで……」
「待っていろすぐに始末してやる!」
そのまま慧音さんとにとりさんの鬼ごっこが始まってしまった。
苦笑いしながらそれを見続ける。
「にとりの奴はだいぶ難航してそうですね」
「文さん、戻っていたんですね」
「ええ、今ですが……」
「皆の人気者のせいでだいぶ苦労しているようですよ」
「悪いような気もしますが……良かったです」
「え?」
「にとりの発明は凄いですからね。人見知りも相まって埋もれていますが、もっともっと人気者でも間違いないんですよ」
「そこまでですか?」
「ええ、ですからこうやって人気が出てくれたのもいい感じです」
「まあ、確かに凄い物作って怒られてじゃあにとりさん可哀想ですし」
一緒に作った巨大ロボット。今回はにとりさん単独だったが、怒られただけなどは理不尽で仕方ない。
「あの子がもっと頑張るようになるために期待していますよ小野寺さん」
「俺ですか?」
「はい、今のにとりの行動原理は貴方なので」
「ただ……作ってもらってばかりなんですけどね」
「いいんですよ、それもにとりは喜んでいるので」
「無理させないように応援させていただきます」
「そうしてください」
そのままにとりさんの方に視線を戻すと、鬼ごっこは終わったようで二人笑い合っていた。
人見知りのにとりさんがああやって他人と笑い合えるのはいい傾向なのかもしれないと。
謎の親面みたいな事をしてしまった事に自分自身で困惑しながらも、少しだけ笑みが溢れたのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
to be continued