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「おい文、蓮司はいるか?」
「居ないわ。一人だけ何処へ……」
ボロボロの館の中に文とにとりは入り込む。
中は暗いが、所々開いた隙間から日が差し込んでいる。
「一人で何処か行けるわけ無い筈だけど……」
「とりあえず外へ……」
文は開けようとするが、やはりさっきの様に開かない。
ここで時間を割くのは無駄だと諦める。
「まずは小野寺さんを優先するわ」
「そうだな、この廃洋館内に居るかもしれないし」
館内の扉は開く様で、次々に確認するが見当たらない。
それどころか……生物の気配すらない。
「にとり、どう思う?」
「どう思うって言われてもなあ……生物は探知出来ないな」
「幽霊は……?」
「あーちょっと待って」
ガサゴソとにとりはリュックを漁る。
そしてラジオみたいな物を取り出した。
「居れば反応する」
「……もっと正確な物作れなかったの?」
「そもそも生きてないのに反応する物を作る方が難しいんだってば……」
居る方に反応してノイズが走る。
外の世界ではゲームなどでいかにもありそうな機械だ。
使い始めるとノイズだけが流れる。
「壊れてるんじゃ無いの?」
「いや、さっき使えたぞ?」
「でも引き寄せられたじゃない。壊れててもおかしくないわよ」
「……どっちかと言うとだ」
「何よ」
「四方八方幽霊が居るの方が考えられそうだけど……」
「はぁ?幾らなんでもそんなのは……」
「無くはないだろ……ただでさえもうこれ曰く付きだろうし」
「そんなんどうしろって……」
文が文句を言っていると机がガタガタ言い出す。
辺りの空気が禍々しい物に変わりながら、物が動き出す。
しかし浮かぶ前ににとりが壊した。
「いやぁ……この部屋にもいるかあ」
「逃げるわよ」
「逃げ場あるといいけど……」
「つべこべ言わない」
そのまま部屋を駆け抜けていると、先程までと雰囲気が違う。
耳を傾けてみると音が流れている。
「にとり、誰も居ないんじゃなかったの?」
「ああ、今でも誰も居ない」
「声がするわよ」
「……幽霊なんだろうな」
「……様子を見ましょうか」
互いに隙間から部屋を覗き込む。
そこには三匹の幽霊が何やら話し合っていた。
「なんだありゃ」
「……プリズムリバー楽団」
「文、何か知っているのかい?」
「巷で噂のグループよ。音楽が上手いって聞いているわ」
「何故ここに……?」
「それも疑問だけど、そっか彼女達は幽霊じゃ無くて、騒霊だからこの部屋だけ雰囲気が違かったのね」
「……ん?」
「まあいいわ。関係ない事だし」
「で、どうするんだ?」
「どうしようにも今近付くのは危険そうなのよね……正直正面から会いたくないし」
「じゃあどうしようも……」
うっかり部屋に集中しすぎていたせいか背後で浮かんでいた家具達に気付いていなかった。
そのまま直撃し、大きな音を立ててドアを突き破った。
「!?」
金髪の長女ルナサがいち早く音に気付き身構える。
続いて銀髪の次女メルランと茶髪の三女リリカも状況を理解した。
「……誰?」
明らかに低い声でこちらへと尋ねる、だいぶ機嫌が悪そうだ……
「ああすみません、文々。新聞の射命丸文と申します。三姉妹のお噂はかねがね」
「記者……」
記者モードに入った文に。ルナサは若干戸惑いながらも対応する。
他は任せてルナサを見ている。
「この館に迷い込んでしまいまして……出口と友人を探してここに来まして」
「友人を?」
「はい、小野寺蓮司と言うのですけど……」
「……知らないわ」
「そうですか、お時間取らせて申しわけありません」
「じゃあ次は私からいい?」
「構いませんが、何か?」
「これは貴女達の仕業?」
「これって?」
「この廃洋館は元々私達三人だけで住んでいたのよ。だけど今は……」
「他の霊達も住み込んでいるね」
改めて機械を回すが、やはり全体から聞こえる。
どれだけの量がいるんだ……?
「とにかく貴女達じゃないのね?」
「ええ、幽霊には関係ありません」
「分かったわ」
その後三姉妹で集まって何か話している様だ。
その後此方へと向かって来る。
「あのさ、記者とお供の方……お願いがあるんだけど」
「高いですよ?」
「ちょっと文!?」
「いやいやにとり、ここは話を聞かないとまず出れませんし……」
「それもそうだけどさあ……」
「基本は飲まないといけないでしょうけど、こっちにもお願いがありますので」
「さっき言ってたもう一人の事だろう?」
「話が早くて助かります。彼を探すのが最優先なので……」
「それは分かったけど……私達も見てないよ?」
「この洋館の中に居ないんですか!?」
「幽霊は多いけど……人間は見てないなあ」
「姉さん……もしかしたら」
後ろで見ていた、メルランとリリカも話に混じって来る。
やっと警戒が解けてきたようだ。
「ああ……え?でも本当にそんな事が?」
「見てないって事はそうじゃないの?って思うけど」
「ちょっと待って下さい。そっちだけで納得されてしまっても困りますよ」
「ああ、ごめん。でも記者さんの言ってた人に心当たりがあるかもしれない」
「本当ですか!?何処に……」
「私達の用件も被ると思ってるんだけど」
「幽霊を追い出す事じゃ無いんですか?」
「違うよ」
「……違うんですか?」
「文が勝手に決めつけてただけじゃ無いか」
「にとりも思ってたでしょうに」
「落ち着いて落ち着いて」
ルナサは。言い合うのを間に入って止める。
「すみません、取り乱しました。それでそちらのお願いも聞かせてもらっていいですか?」
「了解した」
ルナサは一度深呼吸をして真面目な表情になる。
いつもの楽団の時の笑顔とは違って本気の顔だ。
そして口を開く。
「レイラを止めて欲しい」
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to be continued