幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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百三十一話 館探索編①〜dining room.

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「はあ……どうするか……」

 

 

血が止まらない。

半ば今回も諦めて壁にもたれながら状況を見る。

 

 

「やばいなレイラが……これほどまでとは」

 

 

今回も確実に死ぬだろう……だから、

 

 

「覚えるだけ覚えないと……」

 

 

館の地形を覚えないと意味が無い。

出口は何処だか分からないし、それ以外の場所だって覚えていない。

 

 

「死にたくは無いとか言ってる場合じゃ無いよな……」

 

 

死ねるんだから大胆に行く。そうでもしないといつまでも終わると思えない。

必死に身体を起こす。

 

 

「血を止める道具すら無いか」

 

 

手で血を押さえながら扉を開けて部屋を出る。

隣の部屋は何か……

 

 

「……は?」

 

 

扉を開けた瞬間理解した。

この部屋は幽霊だらけだ……それも悪意だらけの……

 

 

「レイラだけじゃ無いのか……この館全部が……」

 

 

味方なんていない。この館は自分でどうにかしなきゃいけないのは分かっていた。

ただ……レイラだけと考えていたのはダメだった。

呪いなんて存在するのだろうか?そのまま触れられてすら居ない筈なのに……動けなくなって……心臓が止まった。

 

 

 

 

「……レイラじゃ無いからって甘い事はないよな」

 

 

謎の幽霊達に殺されてこの呪縛から解かれればいいなと思ったが……そんな事はなかった。

館の中にいながらまた考え事を始める。

 

 

「すぐに部屋を出ないと駄目か……さっき部屋で籠もっていたらレイラが来たし……」

 

 

すぐに部屋を出ないと駄目だが何処へ行くべきなんだ?

 

 

「隣の部屋は見ておいて良かったかもな……」

 

 

あの部屋は駄目だ、入ったら死ぬ。

それが分かっただけでも進歩な気がする。

 

 

「……何処へ行くべきか」

 

 

まず、地図を探したいんだが……何処にあるかすら分からないしなあ。

 

 

「少しずつ覚えて行ければいいが……」

 

 

テンパれば当然覚えられない。最初の頃は驚きや必死に逃げて覚えられていなかったのが痛いな……

 

 

「……右から覚えて行こう」

 

 

幽霊に足音があるとは思えないが、ついうっかり足音に注意しつつ隣の部屋のその隣へと向かう。

 

 

「隣の部屋もアウトなら正直辛いな……」

 

 

少し怯えながら扉を開ける。

 

 

「……ここは?」

 

 

食堂か?入れたようで良かったが……

 

 

「広いな……いやそりゃそうか、明らかな豪邸だもんな」

 

 

部屋の中を探索する。流石に食堂に地図などは無いだろうけど……

 

 

「……これは?」

 

 

食堂の壁に絵が立てかかっている。

名画とかかと最初は思ったが……この子はレイラか?

 

 

「よく見ればこの子達も……」

 

 

レイラが抱えていた人形の子達に思える。

と言う事は……この絵は家族の絵なんだな……

 

 

「ただ……描かれて数年ってレベルじゃ無いよな」

 

 

絵はまだ見えはするが、ボロボロだし。だいぶ年季が経っている。

なのに館は新しい……色々と違和感しか無い。

 

 

「姉様」

 

 

「っ!?」

 

 

後ろからの声に慌てて振り向く。

そこにはレイラが居た。

 

 

「やばっ……何処か」

 

 

慌てて逃げようとしたが、どうも様子がおかしい。

それ以前に……彼女を見てみると……

 

 

「……幼い?」

 

 

確かにレイラ自身幼いイメージがあったが、記憶にあるレイラ以上に幼い。

それに彼女は此方を向いていたが俺を見ているわけではなさそうだ……

 

 

「どうしたのレイラ?」

 

 

後ろを振り向くといつのまにか金髪の少女が立っていた。

絵にも人形にもあった子だろう。

 

 

「ズルイですわお姉様、また父様達と一緒に買い物に出たって」

 

 

「レイラは迷子になるから仕方ないだろう?」

 

 

「そんな事ありませんわ。私だってもう8つですもの」

 

 

「だったら館内を歩くのはもう大丈夫なんだね」

 

 

「うぐ……それはまだ……ですけど」

 

 

「しっかり覚えなよ。私の部屋の地図何度見てもいいからさ」

 

 

「いっそ私の部屋でしたら楽なのに」

 

 

「それじゃあいつまで立っても覚えられないだろう?それに二階に来るのだって練習だよ。頑張って」

 

 

「うぐ……私だってプリズムリバー家の娘ですので成し遂げて見せます!!」

 

 

「よく言ったねレイラ。ほらお土産だよ」

 

 

「わぁ、お姉様大好き」

 

 

そのまま二人の姿は消える。

今のは幽霊の仕業?いや……どちらかと言うと彼女達の過去だろうか?

 

 

「……よく分からないな、ただ行く場所は決まった」

 

 

二階って言ってたな。あの金髪の子の部屋で地図を探すか。

まずは階段を探すしかないな……

 

 

そのまま扉を開けて外を覗く……

 

 

「……!!!」

 

 

レイラが巡回している。

直前まで見た幼いレイラとは違って、殺してきた方だ。

何より……吐き気がする程悪意を感じる。

慌てて、しかし音を立てないように扉を閉じる。

 

 

「……正直、どうにかなればいいか程度だけど」

 

 

隠れる場所を探す。万が一扉を開けてきた時に、見つかってしまわない様に。

 

 

「テーブルの下……テーブルクロスが引いてあるしバレない可能性も……」

 

 

隠れるつもりで捲ろうとしたが、寒気がした。

なんだろう……この中に何があるか分からなくて怖い。

嫌な予感が心臓を鳴らし諦める。だからと言って隠れないわけにもいかないが。

 

 

「……柱時計」

 

 

既に動かない時計を見る。

色付きのガラスで振り子の部分が覆われており、外からも中からも覗く事は出来るが……目の前にまで来ないと見えないレベルだ。

安全ならテーブルの下かもしれないが……開けたくないしここにするしかないか……

時計を開け中に隠れる。

それと同時に扉が開く……危なかった。

 

 

「あら……?この部屋に誰かが来たって幽霊が話してたけど……誰も居ないね」

 

 

……そう言う事か、だからこの部屋に来たんだ。

 

 

「気のせいかな?悲鳴も聞こえなかったし」

 

 

そう言いながらテーブルクロスを捲って居る様だ。

どうやら外からに比べて、中から外は中々見やすいらしく部屋での行動を見通せる。

 

 

「こら、勝手に出ちゃ駄目ですよ」

 

 

テーブルの下から何かが這い出てこようとして居るのを咎めている。

危ない……危険だとは思ったが何か居たのかよ。

 

 

「執事さんは何も食べていないよね?」

 

 

「……」

 

 

「そう、分かった」

 

 

恐ろしい会話に少しだけ震える。

そのまま耳だけ澄ませつつ、バレない事を願い続ける。

 

 

「泥棒さんかなあ。それならどうなっちゃってもいいよね」

 

 

おいおい、泥棒にも人権が……いや魔理沙さんの行動あまり許したくないな。

ただ殺すのは勘弁して欲しい。

 

 

「え?どうするのかって?」

 

 

テーブルの下に潜む何かと会話しながら此方の方へと近づいて来る。

もしかしてバレたか……?

 

 

「新しい人形が欲しいんだよね」

 

 

目の前でそう呟く、やっぱバレて居るのか?

ヤバい、出る事も出来ないしこれは……

 

 

「……流石にテーブルの下以外に隠れる場所ないねえ。他に逃げたか、そもそも皆の気のせいかな?」

 

 

背を向けてそのまま部屋を出て行った。

今、心臓が破けそうなくらい鳴っていると思う。

 

 

「危なかった……」

 

 

念のため戻って来ないかを確認する為に、まだ少しの時間潜み続けてから出る。

良かった……戻って来なかったか。

 

 

「急いで向かわないとな」

 

 

この部屋にも何かが居るらしいし、ボーッとしていられない。慌てて扉を開けて部屋を出る。

直前にテーブルの方から音がしたが……さっきの執事って奴が動き出したのかもしれない。

 

 

「残念だけど見つかるわけにはいかないんだよ」

 

 

小さな声で呟きながら、階段を探す。

姉の部屋を急いで見つけなければ、そう思いながらまた行動を開始したのであった。

 

 

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to be continued

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