ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そっから地下で鏡を見つけて君を引き摺り出したわけだけど……色々とあったなあ」
「契約者……」
「何か気がかりかい?」
「紫さんが言った意味も分からなくは無いんですが……」
何かを契約したのは予想が付いている。
内容までは分からないが……
「アイツと契約を結ぶなんざ命知らずとしか思えないけど……」
「必要だったんですよ」
「……そうか」
確実では無いが、流石に俺も騙されて契約を結んだとかだとは思いたく無い。
「まあいいや、詳しくは後だ……先にアイツを……」
「待たせたわね」
「うわっ!?」
突如背後から声を掛けられたにとりさんが驚く。
後ろまでスキマを使って行ってたんだ……
と言うかまたスキマを使ってひっそりと現れたのか……
「随分といい反応で助かるわ」
「ぶっ飛ばすぞ!?」
「怖い怖い……少しやる事を終わらせて来ただけなのに……」
「何して来たんだよ……」
「確認よ」
「確認……?」
「結界異変はもうとっくに収束している。ただし未だに悪霊は残っているの」
「それは異変関係無い可能性もありますけど……」
地底とかにも結界異変じゃ無い時にだって悪霊居たしな……ならおかしく無いだろう。
「よく知ってるわね」
「まあ……それでおかしく無いのでは?」
「おかしくは無いのよ」
「……何が言いたいんです?」
「ここ以外はね」
「……多いですもんね」
「リーダー格であるレイラ・プリズムリバー」
「やっぱり彼女が……」
「正確には彼女の中に棲む悪霊がね」
「悪霊……」
「彼女は幻想郷で天寿を全うしたの、ただ偶々この世界に帰って来た」
「何故ですか……?」
帰って来る理由は無いと思うのだが……
何か心残りがあったのだろうか?
あるとしたら三姉妹の事だろうが……
「簡単な話よ、結界異変で外の霊達が雪崩れ込んできた。本当にこれだけなら死神達も仕事が間に合わないわけないでしょう?」
「……いや、それは分かりませんけど」
死神の仕事量なんて分からないし……ただ捌ける量じゃ無いとは言っていたが……
「外の世界の霊と共に、幻想郷内の霊達も地上に現れたの」
「え?」
まさか地底の霊達が……!?
さとりさん達がまずいのか?
「彼岸の時期は過ぎましたが、この結界異変で誘発された様です。今年は彼岸だらけになったわ」
「なるほど……」
地底は関係無いのかな?
それなら良かったが……
「何を安堵してるの?」
「いや……何でもないです」
「ふーん。まあいっか……とにかくそのレイラが彼岸的なもので帰って来て悪霊に取り憑かれたんだろう?」
「そうね。合ってるわ」
「だったらなんだ?死神を呼んでくればいいのか?」
「いえ、今回は違うわ」
「じゃあどうするんだよ」
「……今回は特殊な事情なの」
「だったらなんだ?私達で解決しろと?」
「いいえ、それも違うわ」
「だったら何が言いたいだ紫、よく分からないぞ」
「にとり、さっき貴女に言ったけど鏡の中入れたかしら?」
「いや……無理だった。スキマを使っても通り抜けたしな」
「そんな事があったんですか……?」
「ああ、コイツと合流後試したが私は鏡の世界に入れなかった」
「……マジですが」
「当然私も無理でした。無機物であるマジックハンドは通りましたがね」
「え……?だったらなんで俺は?」
「彼女に招かれた獲物だからでしょうね」
「獲物……」
事実だが少しだけ傷付くな……
「彼女が作り出した世界から引き摺り出さないと、死神どころか誰もどうしようもないの」
「……だったら放置すればいいんじゃないか?それしかないだろうし」
「大変な事になるわよ」
「……何がだい?今でさえ大変だろうけど」
「一度獲物にされたのだもの、力を付けてまた拐われるわよ」
「なっ……!!」
一度冷静になる、ただ……確かにそうか、玩具にしか思ってなかった様だし。
「ですから、どうにかしないといけないわ。それに……」
「まだ何か?」
「貴方もレイラを救いたいんじゃないの?」
「……」
「いや、それは無いだろう。だって蓮司は殺されたんだろう?」
「……」
「おう蓮司、どうした?」
「見たのでしょう、彼女の過去を」
「見ましたが……」
「家族と別れてもそれでも騒霊達と生きたわ。だからこのままにはさせたく無いの」
「……そうですね」
「おい、蓮司。何する気だ?」
「にとりさん……どっちみちこのままじゃ俺がまた拐われそうですし……どうにかするしか無いんですよ」
「紫、どうにか出来ないのか?」
「無理ね」
出来ると思われる死霊を知っている。しかしそれを教えない。
「戦わなくて良いんですよね?」
「ええ、どうせ無理でしょ?」
「……無理ですね」
逃げてただけだし、なんなら死にまくってたしな……
「だから鏡の世界から引っ張って来て欲しいの。そしたら後はこちらでやるわ」
「……分かりました」
正直無謀だ。異変は全部任せきりだったし妖怪や幽霊と対峙する事はあっても死ぬか命辛々だっただけだしな……それを生き残れって言うならだいぶキツいな。
「……」
「大丈夫ですよにとりさん、死んでも終わりじゃ無いんですから」
「……命を粗末にするんじゃ無い」
「勿論死なない様にしますよ」
何回も死にたくなんて無い。痛いのは勘弁だしな……
ただ……やらなきゃ自分が危ない。
本音を言うと彼女もどうにかしたいと思っている。ただそれを言い出すとまた怒られそうだしな……
「準備は良い?」
「……まあやるしか無いですからね」
かくれんぼから鬼ごっこに変わった気分だ。
しかも捕まれば死ぬ……恐ろしいな。
ただ……覚悟を決めてやるしか無い。
「それじゃ行って来ます」
「……ああ」
「にとりさん、待ってて下さいね。俺も戻って誰も居なかったら不安なので」
「……分かった」
鏡にスキマが開かれたまた中への道が開く。
最初ににとりさんが通ったが出て来てしまった……やっぱ俺だけなんだな。
「……あー獲物が自分から罠に掛かりに行くなんてな」
……大丈夫、大丈夫だ。やれるから。
彼女も助ける俺も生きるそれで良いだろ!
「っしゃあ!!」
気合を入れる。そして勢いのまま鏡の中へと入り込んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
to be continued