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「ごめんね、そう言うことだったんだ」
「いや……分かってくれればいいです」
銃らしき右腕も下ろされて良かった……
と言うかその腕なんなの……怖いんだけど……ただ向けて来なかったり撃ってこなければいいか。
「いや……本当に死ななくて良かったよ……。お兄さんが死んだら大変なことになったろうし」
「うにゅ?そうなの?」
「当たり前だろう……!!さとり様のお客様みたいなものだよ」
「そうなんだー、ごめんなさい」
「……気を付けてくれればいいです」
お燐さんやさとりさんとかに比べると完全になんとなくで生きてるように感じる。
……多分この子理解はしてても納得行かなければ暴れ出すだろうし。
止められない系だろうなと思うとともに。
「しかし……大きいですね」
「うーん……胸が?」
「違います!!」
いきなりそんな話にならないで……
セクハラなんざしたら女性陣の目が厳しいの……。昔、友人が干されてるのを見てやめるって誓ったんだ。
「そうなの?」
「背です背!!」
「あー背かー、確かに、君は小さいよね」
「人間はこんなものですよ……」
「えー?そうなのー?」
明らかに俺の1.5倍くらいはありそうな子が俺を見下ろす。
人間のような姿をしているせいか、より現実味を帯びて畏怖してしまっている。
「大丈夫だよ、流石にお空は取って食べたりしないから」
「……と言うか地霊殿の皆さんは食べませんよね?」
「地霊殿のみんなはねえ」
「……」
「勿論外に出ると人喰いはいるよ」
分かっているが心境は辛いものである。
誰かと離れないようにしないとまずいかもな……
「まあ、少なくともここはあたいかお空がいるからさ」
「ありがとうございます……」
「彼を守ればいいの?」
「お空撃っちゃダメだからね!!」
「分かった!」
不安だが……信じるしかない。
お燐さんと離れないようにしよう。
「小野寺蓮司です」
「霊烏路空だよ、この施設は危ないから気を付けてね」
「……分かりました」
さとりさんのペットだし仲良くしたいけどやっぱ怖く思っちゃうのは……仕方ないよなあ。
「それで彼を連れてきてどうするのさお燐」
「地霊殿から出たことないから案内しようかなって」
「それでこっちきたんだ、じゃあ灼熱地獄跡行く?」
「俺行くと蒸発すると思うんですが」
「まあそうだろうね。案内だけで辞めておこうか」
「えーなんでー」
「残念ですが俺死にます。普通に死にます」
「私もお燐も、さとり様たちも大事な場所なのに……」
「そうなんですか?」
「うん、少し前までは寂れてたんだ……」
「そうだねえ、あたいもその時は寂しかったよ」
「でも神様から力を貰って強くなったんだ!」
「神様……?」
「ああ、どっかの神様から貰ったらしいよ」
神様ってこの世界だと干渉してくるのか?
俺達の世界だとそんなことはなかったけど。
「その時のお空はここまでじゃなかったんだけど……その力を貰ったって言ってから核融合出来るようになって背も伸びて……」
「よく扱い切れましたね……」
「河童達のおかげだね、いなかったら不味かったと思うよ」
「なるほど」
「今の灼熱地獄は私が燃やした凄い所になってるから一度だけ見て欲しいな」
「言いたい事は分かるんですが、冬なのに寒くないのは助かりますし……ただここでも既に暑いのでちょっと」
「あたいとしても作り上げたものは凄いの分かるけど、ただの人間じゃ無理だから」
「……」
「お空?」
「そっか……しょうがないよね」
空さんは諦めたようだ。
ただ……本当に申し訳ない事をしたとは思う。
「河童さん達も頑張ってください」
「……ウス」
反応は薄いようだが……人間がダメなのか、単純に気が散るからなのか。
「河童達は専門にしか興味ないから仕方ないねえ。ここの子達は炉にしか興味ないよ」
「それはすみませんでした」
「……」
返事がない、気にしなくていいだろう。
「さーて、この後は旧都にでも行こうかねえ」
「旧都……名前だけは聞きましたが」
確か旧地獄街道と呼ばれる場所を通っていく道のはずだ。それなりには遠くないと聞いたが。
「あたいも鬼とかいるしあまり行きたくないんだけどねえ……ただお兄さんは絶対通るし」
「そうなんですか?」
「地上に行くにはお兄さんだとその道を通る必要がある……飛べないからねえ」
「なるほど……確かに俺は飛べないや」
「それじゃあ行こうか、お酒も欲しいしねえ」
「何処に行こうと言うのですか?」
「あっさとりさん」
正直ここに来るのは予想外だったがさとりさんが見に来たようだ。
「ささささ……さとり様!?」
「お燐、貴女には頼んでおいた仕事があるのですが」
「そっそれは……お兄さんに案内した方がいいかなって」
「私に嘘が通じるとお思いで?」
「……」
お燐さんから汗が止まらない。暑いからじゃなくて絶対誤魔化してたんだ。
「どうやら、彼が仕事大丈夫って聞いたにも関わらず案内したようですね」
「……許してー」
「ダメです、説教しますのでほら貴方も帰りますよ」
「ん?俺もですか?」
「ここに一人だけ置いていきましょうか?」
「すっすみません行きます!!」」
慌ててさとりさん達を追いかける。
道中で人喰い妖怪いたら流石に不味いし簡単に死ねそうだ。
「待ってえええ」
情けない声を出しながら2人を追いかけて行くのだった。
…
1人残された空は灼熱地獄の方を見ている。
かつて枯れた地獄をもう一度取り戻したと。
「折角頑張ったのに、やっと皆の大切な場所を取り戻したと思ったのに」
だけどあの人間は見てくれなかった。
頑張りを知ろうとはしてくれなかった。
「死ぬって……そんな理由で」
地底に住むからこそ勘違いしていた。
この地底において人間は死体な事が当たり前だと、むしろ生きている彼に違和感しかないと。
「どうすれば皆見てくれるかな?」
空は考える、そして浮かぶ。
「地底は人が少ないから……皆に見てもらえるようにすれば褒めてくれるよね!」
地底にはこんな凄い所があるんだって!
地上に負けない凄いものがあるんだって。
そうすれば皆喜んでくれるし、さとり様のことも褒めてくれる!
「よし、それじゃあもっと力を蓄えて頑張らないと!」
その顔は純粋で真面目で、そのはずなのに……その目にはどす黒さを孕んでいた。
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to be continued