幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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百四十一話 今後の課題と〜crisis boy.

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「さてそれじゃあ……」

 

 

「言った通り全部は話しませんからね」

 

 

話を切り出そうとすると、いきなり止められる。

 

 

「……何を知っているんですか?」

 

 

「全部じゃ無いけど、色々とよ」

 

 

「……」

 

 

「そんな聞き方されても答えられないわ」

 

 

「……死に戻りは何故起きるんですか?」

 

 

「ああ、死に戻りね」

 

 

「……話してくれるんですよね?」

 

 

「簡単に言うと私が原因だけど」

 

 

「……ですよね」

 

 

「ただ、必要だったからよ」

 

 

「……必要、死に戻りが」

 

 

「ええ、そうでもしないと小野寺さんは死んでいましたから」

 

 

「死んでいた……一体俺に何が」

 

 

「そこまでは知らないわよ。事故にでも会ったんじゃないの?」

 

 

「そうですか……」

 

 

「だから私が生と死の境界を弄ったの。そのせいで、生きるのも死ぬのも不安定な状態なのが貴方よ」

 

 

「不安定……でも何度も死んでるんですが」

 

 

「当然、死ななきゃ生きても無い死んでも無いじゃなくて不死だもの」

 

 

「それはそうですが……」

 

 

「だから死ねば矛盾するから矛盾が無くなるように世界が巻き戻るわ」

 

 

「……意外と教えてくれるんですね」

 

 

「正直貴方が死に戻る理由なんて隠す必要無いもの」

 

 

「……だったら何故前死んだんですか」

 

 

「当然言えない事もあるからね」

 

 

「そうですか……」

 

 

生きているか死んでいるか不安定な状態か……

最初事故か何かで死に掛けて、その状態を維持しているから魂が死に掛けとか言われるのだろうか……

 

 

 

「なんでそんな事をしたんですか?」

 

 

「それは既に話したけど?思い出せない?」

 

 

「思い出せません……」

 

 

過去の自分が話していたんだろうか?

だが思い出す事は出来ない。

 

 

「だったら言える事はないわ」

 

 

「……この記憶喪失の理由は?」

 

 

「言う気はないわ」

 

 

「おい紫」

 

 

「にとり、この件は私から話す気は無いわ。これが一番の危惧だし」

 

 

「異変を起こそうとしたとか……?」

 

 

「さて、どうでしょうかね?」

 

 

表情一つ変えない。

ここまでされると読み取る事も不可能だろう。

 

 

「分かりました……ならその張本人は?」

 

 

「自分で探したらどうかしら?言った様に私が話す事はないのよ」

 

 

「……分かりました」

 

 

手がかりはなしか、前ににとりさんと調べた時も反応無しだったしな……

 

 

「最後に一つだけ」

 

 

「なんですか?」

 

 

「貴方はそのまま生き続けなさい」

 

 

「え?」

 

 

これからどうしろって疑問に思っていたが……

 

 

「また何度も死に戻れって事ですか……?」

 

 

「幻想郷に生きる外の人間な以上、生きて行くのは厳しいでしょうね」

 

 

「元の世界には……」

 

 

「戻した所で死ぬわ。境界が閉じて死の運命が決まるだけだもの」

 

 

「だったら意味は……」

 

 

「正直引き伸ばしでしかないわ」

 

 

「……絶対に死ぬと?」

 

 

「今の所わね」

 

 

「記憶に、死に掛けに……ほんと勘弁してくれよ……俺はただの人間なんだぞ……」

 

 

投げ出したくなる。投げ出した所で意味があるわけではないが……それでもやる気は失せていく。

普通の人なら死んでいて助かった分マシかもしれないが、心臓を握られているのと同義に思える。

 

 

「……まっ自由に生きなさい」

 

 

「そうすればどうにかなると……?」

 

 

「確証は無いけどね」

 

 

そのまま落胆している俺を置いて去って行った。

にとりさんや文さんも唖然としているが……

 

 

「予想以上でしたね……」

 

 

「と言うか文さん知ってましたっけ?」

 

 

「にとりから聞いています」

 

 

「……成る程」

 

 

「それで、この後どうしますか?」

 

 

「どうすればいいんだろうな……」

 

 

「あまり落ち込まないで。死んだわけでは無いでしょうよ」

 

 

「そりゃそうですが……」

 

 

「私の方も探してみますので、とりあえずは緩くやってきましょう。異変もちょうど終わった事ですし」

 

 

「……緩くと言われましても」

 

 

「一先ずは人里に戻って……それから……足を治しませんと」

 

 

「……それはそうですね」

 

 

忘れていたとは言わないが、それ以上に突きつけられた現実にそれどころでは無かった。

 

 

「永琳さんの元にでも向かいますかね……」

 

 

「それがいいかもしれませんね。にとり行きますよ」

 

 

「……ああ」

 

 

目に見えて落ち込んでいる。

にとりさんは何も悪く無いと思うのだがな……

そのまま声を掛けられずに霧の湖まで辿り着いた時、事件が起こった。

 

 

「しっ」

 

 

「……どうしました?」

 

 

「声を抑えて。突っ切るわ」

 

 

突っ切るって何をする気だろうか?

無謀じゃ無い?大丈夫か?

 

 

「脚が……」

 

 

「そうだったわね。捕まりなさい」

 

 

文さんの手を掴み空を飛ぶ。

その瞬間……霧の中でも状況を理解した。

霧の中に潜む赤い目……それは……

 

 

「咲夜」

 

 

「はっ」

 

 

レミリア・スカーレットと十六夜咲夜。

霧の湖は近くとは言え一体何が……?

 

 

「って事は……」

 

 

危惧していた事が起こった。

文さんの手を掴んでいた筈の手は宙を浮いている。

時を止められたか……

 

 

「あああああああああ」

 

 

その後に起きる状況を理解して叫び出す。

そのまま飛べる能力の無い俺は落下して行く。

 

 

「死ぬ……死ぬって……」

 

 

すると落下している最中に風に受け止められた。

 

 

「全く……レミィダメでしょう。しっかりしなさい」

 

 

パチュリーさんも紅魔館から出ているのか……!?

一体何をする気だ……?

 

 

「さて、初めましてかしら?ウチに何かご用かしら?」

 

 

「え?」

 

 

「え?じゃ無いでしょ、人の庭に入り込んで聞かせてもらうわよ」

 

 

「ここって、霧の湖の筈ですよね?」

 

 

「それが何か?」

 

 

「……少なくとも紅魔館に入った記憶は無いですが」

 

 

「ええそうね、貴方は」

 

 

「貴方は……?」

 

 

「あの天狗と一緒に居たでしょう?」

 

 

「……」

 

 

ああ、文さんか。俺が迷ってる間に何かあったのかもな……

関係ないなら少し泣きそうだ。

 

 

「ついて来てもらえるかしら?」

 

 

「……はい」

 

 

心臓を握られたと言った途端に本当に握られるケースになるとは思わなかった……

とにかく、また来るって言ったし丁度良かったと考える事にしよう……

 

 

「とりあえず……」

 

 

記憶の無いであろう彼女を相手に生き残れる事を祈るばかりだった。

 

 

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