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「こいしお姉ちゃん」
「どうしたのフラン」
「……やっぱやめない?」
「順番って約束でしょ?」
「それはそうだけど……」
あれから数日経ってフランちゃんの方が飽きたのかもしれないな……
と言うか呼び名に飽きたってあるのか……?
「まっ、その話は置いておいて……遊びにいこー!」
フランはまるで逃げるかのように部屋を出て行った。
「あっともう速いなあ……」
「ですね……フランちゃんいつでも元気そうだ」
「姉として誇らしいよ」
「……フランちゃん居なくても続けるんですね」
「当然でしょ、悪いかな?」
「まあ悪いわけではありませんが」
「まあそうだよねー」
「そして、追わなくていいんです?」
「ちょっと気付いた事があってね」
「気付いた事?なんでしょうか?」
特に何かあったように思えないが……彼女には何かあったのか?
「お兄さんと二人きりになるのは初めてだなと」
「ああ、そう言われると……」
紅魔館ではこいしさんと二人になることは無かった、と言うよりもいつもフランちゃんが側に居たし。
「なんかさー、お兄さんは私の事情を知ってるみたいだし……今しか話せない事あったら聞くよ?」
こいしさんが伏せていた事……そう言われると聞きたい事がいっぱいあるな……
「地霊殿に戻らないんですか?」
「どうして?邪魔なの?」
「いや……そうでは無くてさとりさん心配してませんか?って」
「あーお姉ちゃんかー、確かに心配してるだろうけど……」
「……帰らないんですね」
「こっちにも事情があるからねえ……」
幾ら無意識で奔放でもそりゃ事情はあるよな……
「まあさとりさんに恩がありますし、一度顔を出したら程度には言っておきます」
「考えておくー」
「それじゃあもう一つ……」
「なぁに?」
「なんで地底の事黙ったのかなって……」
「……忌み嫌われてるのは分かるでしょう?」
「それはそうですが……」
「だったら何を言いたいの?」
「いや、何かあったから紅魔館に来たんじゃないんですか?」
流石になんと無くで紅魔館内に侵入出来るとは思わないが……
「それは、言いたくないかな」
一番大事そうだが、答えてくれなかった。
「じゃあ追いましょうか」
「そうだね」
……言いたくないと言った事以外にもまだ何かを隠している、なんなら嘘を吐いているようにさえ思った。
ただ……今はまだ問いただす気になれなかった。
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「……?」
階段を登るとフランちゃんが居たが……一体何が起きているんだ?
「分かりました?」
「うぅ……」
「あの……咲夜さん?」
「ちょっと、妹様の面倒を言われてるんじゃないのかしら?」
「それは言われましたが……」
まさかあの短時間に何か起きてるなんてと。
と言うか四六時中見てるのも無理だし。
「階段登って暴れまわったのだけど……」
「マジですか……?」
周囲を見ると確かに傷や穴が目立つ。
「何故こんなことに?」
「ちょっと楽しくなっちゃって」
「……妖精達や人的被害は?」
「無いよ!狙ってないもん」
「それならまだいいのかな?」
「いいと思ってるのかしら?」
「……いえ」
「全く……ちゃんと見て……」
ガシャン
「……」
恐る恐る後ろを見る。
振り向くとこいしさんが花瓶を割っていた。
「ちょっとなんで?」
「あれ……なんでだろ?」
「無意識を盾に好き放題してませんか?」
「してないよ!」
「そうですか……」
流石に叱らないとな……
「ちょっと小野寺君」
「え!?これも俺のせい!?」
そのまま説教をされる事になった……何故だ?
「ごめんねお兄さん」
「……やる前に止めて欲しかったなあ」
「いやぁ、だってお兄さん達来なかったし」
それでも問題行動は避けてほしいんだが……
「ちょっと行くの遅れたね……」
「何してたの?」
「特にはして無いかな」
「じゃあフランの事どうでも良くなっちゃったの?」
「そうでは無いってば……」
いつのまにか俺が悪いになって来てないか?
「まあまあそのくらいで……」
「……なんで花瓶割ったんです?」
「さあ?」
「さあって……掃除しますからね」
「はーい」
正直逃げられたり反発されると思ったが、従ってくれるようで良かった……ここで逃げられたらまた咲夜さんに何か言われそうだし。
「それじゃあお兄さん、こいしお姉ちゃん頑張ってー」
フランちゃんは逃げた。
まあ花瓶割ったわけでは無いしいいか……
「それで……こいしさんなんで割ったんですか?」
「どう言う事?」
「いや……今はフランちゃん居ませんし」
「ええっとね……なんでだろ?」
「本気で無意識ですか……」
「うーん、あの時はそうした方がいいって思ったからだけど……なんでだろ?」
「えぇ……」
この子には何が見えてるんだ?
「まあ気にしなくていいよ」
「いや、気にしないとまた怒られるんですが……」
「そっかあ……」
「もういっそ自分でも無意識を抑え切れないなら瞳を開いた方が……」
「ダメ」
目付きが変わりゾクっとした。
またやらかしたかようだ……
「これは開いちゃいけないの」
「なんで……いや分かった」
なんでと聞き出すのも危険だなと察した。
そのため余計に触れるのはやめておこう。
「良かったねお兄さん」
「何がです?」
「命拾いして」
「……」
ほんと平和に生きるのが許されないのだろうか?
「私もお兄さん“だけ”とは仲良くしたいって思ってるし、殺さずに済んで本当に良かった良かった」
「……だけって」
未だに瞳は闇のように黒く染まっていて続きを聞くことが出来なかった。
「それじゃあまた遅れて壊されてもあれだし、行こっか」
こいしは、そのまま階段を降りてフランの部屋へと向かっていった。
「……」
残された俺は少しだけ震える足を叩いて落ち着かせる。
これだけで終わりじゃ無いんだと言い聞かせる。
「無意識ってなんなんだろうな……」
その三文字の言葉は何を起こすか分からず、ただただ戸惑いが残るのであった。
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to be continued