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「さて……」
休日になり自由行動の出来る日。
例の大穴へと辿り着いた。
地底へと続く道、鬼など地上では見ないもの達がいる。
「行くしかないよな……」
その最奥に近い場所にある地霊殿、そこの主に。
飛ぶことが出来ないためそのまま穴へと飛び降りる。
流石に香霖堂でパラシュートに似た物は貰ってきたが。
「今考えたらよくあの道から落ちて生きてたなあ俺」
ここでさえ命の危険があるが、地霊殿への直通の道なんてもっと異常だった。
生きていられる筈なんて無いレベルなのに。
何も着けて無かったのに。
そう考えながら降りていると何かに引っかかる。
「わっ」
糸……ここら辺にも張っていたのか?
「何かが引っ掛かった?」
黒谷ヤマメ、さとりさんから聞いていた土蜘蛛の一匹だ。
一度地上に出た時にこいしさんと一緒に顔を合わせた事があるな。
蜘蛛と言う割には人間のようにしか見えないんだが……
鬼とかもそうだが地底の妖怪達って言っても皆人型だった気もした。
「ああすみません、邪魔してしまって」
「それは構わない……ってわけでも無いんだが」
「え……?」
何が起きると言うのか?
全く分からずに恐怖に思える。
「さっさと帰らせないとね。地底はアンタ達の住む場所じゃ無いし」
「成る程……」
当たり前だが……歓迎されるわけないもんな。
住む場所じゃ無いと言うけど、そんな優しい話ではなく、その目はここに入り込んで来るなって言っているようにしか見えない。
「地底に用があるんです」
「はぁ?何寝ぼけた事を言ってるんだ?」
そりゃそうだよな……普通くる人間なんて居ないだろうし。
「迷い込んだじゃなくて、自分から来たのか……変な奴だ」
「……自覚はありますよ」
「ただの家出とかじゃ無さそうだが……地底へと行かせるわけにはならないねえ」
「そこをなんとか……」
糸に掴まりながらヤマメさんへと懇願する。
と言うか掴まっていると言うか……くっ付いていて捕まってないか?
「そもそも……お前は何する気なんだよ?」
「地霊殿に用がありまして」
「……ふーん」
視線が更に険しいものになる、完全に敵を見る目なんだが……
「あの子に何の用だい?」
「さとりさんに少し話が……」
「やっぱいいや、今始末しよう」
「え?」
さっきまで無かった足が生えている。
まさしく彼女は蜘蛛だと言わんばかりに。
「ただの人間に害を与えるのは可哀想だけど……あの子達を酷い目に合わせたく無いしね」
「別に酷い目に遭わせる気なんて……」
「いいや、さとりなのは分かるならなんで気付かないんだ」
さとりは心を覗く。それは誰でも知っていてだからこそ皆が嫌がる。
ただし……その嫌悪を覗いたさとりだって嫌がる……当然だ。
「そんな事をする気はありませんから」
「そう言った人間は沢山いるんだよ。だからここでバイバイだ」
危険なのは承知とはいえ、あの時素通しされたヤマメさんでさえこれなのか……
彼女達も意外と慕われてるんじゃと思わされた。
「さて、貴方はどんな病に掛かるかな?」
そのまま毒針を……
一瞬カチリと音がした。
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「ああ草原だ……」
そうかまた死んだのか……流石に仕方ないか。
「これで、何回死んだっけな……思い出せないや」
徐々に進んでいるが……それでもどれだけ戻ったか……
「それでも進めばそのうちどうにかなるか……死にたく無いけどさ」
「何やら不穏な単語ばかり聞こえるのですが」
「!?」
慌てて振り向く。そこには見知った従者がいた。
「咲夜さん……?どうしてここに?」
「どうしてって、貴方を助けたのだけど」
「え?俺を?」
「死に掛けていたじゃ無い」
「……ああ、もしかしてあの音って」
「……全く、迷惑を掛けないで頂戴」
「助けて頂きありがとうございます」
「地底に行きたかったの?」
「はい、少し用事がありまして……咲夜さんは何故ここに?」
「貴方に着いてきたのよ」
「俺にですか?」
なんで……としか思えないんだが。
「頼まれたのよ」
「誰にですか……?」
「こいしさん、彼女にね」
「え?」
「貴方が無茶するのを予想していたらしいわよ」
「みたいですね……」
即向かう事を予想していたのか……恐ろしいな。
「色々と聞きたいけど、お嬢様が把握しているだろうから聞かないでおくわ」
「感謝します……」
「それじゃあ戻るわよ」
「はい」
本来の目的である地霊殿へと向かう事は出来なかったが……仕方ない。
やっぱりこいしさんをどうにかしないと話にならないか……正直彼女がどうするか分からないが……
……難しいが、やれる事をやろうとそう決めた。
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to be continued