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「ああダメだダメだ……」
数日が経てば心の整理が出来ると思っていた。
しかし全く出来ていない。
自分では何も出来ない歯痒さ、自分の行為の無駄が予想以上に響く。
「なんで……」
落ち着け、落ち着こう。
夜だって碌に寝れてないのに……
いつまでも乱されているわけにはいかないだろうよ……
「……」
「お兄さーん!」
何か出来る事は本当にないのか?
数日そんな事を考えてばかりだった。
「ねえ聞いてる?」
考えたが浮かばないな……俺じゃ突破しようにもないし……
「ねえってば……」
だからって相談するわけにもいかないよなあ……
「お兄さん!!」
「うわっと!?」
思いきり衝突される。そのままつい倒れ込んでしまう。
呼ばれている事に気付かなかったのは悪かったが……痛い……
「もー、なんで気付かないの?」
「すみません……考え事を……」
「そっかごめんね……でも暇なんだもん」
「そうですか……今起きるので待ってくださいね……」
そのまま起きようとする……が……
「……あれ?」
起き上がれない……一体何が?
意識が……大した一撃じゃ無かったよな?
「お兄さん……?」
心臓がバクバク鳴り始め……そのまま意識を失った。
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「……ここは」
あれ?さとりさん?
いや……あり得ないな。周りは明らかに地上だ……夢でも見てるのか?
「何処……何処なの?」
何を探しているのだろうか?
色々とあやふやでワケが分からなくなっている……
「何処なの……こいし?」
「え?」
こいしさんを探している?
ただ地上に出るとは思えないし……何より俺がここにいるわけ無いもんな……
「さとりさん!!」
声を掛けるが届かない。
やっぱりまやかしでしか無いのだろうか?
「やっぱダメなのか……」
何もかも届かないのか……?
せめて彼女に何か届けば……
「暴れないの」
「え?」
その言葉とともに、目が開いた。
「散々迷惑掛けた癖に呑気ね」
「パチュリーさん……レミリア」
「ただの寝不足よ。そのせいで倒れたそうだけど」
「ああ寝不足だったんですね……」
さっき何が起きたのか分からず戸惑っていたが……そうか寝不足か。
「何があったの?」
「いえ……ちょっと夜更かししていたようです」
「……あの子の面倒を見てて時間が足りないかもしれないけど……ダメよ?」
「すみません……」
「……まあ、私は行くからしっかり今日だけは休みなさい」
「了解です」
目が覚めた事を確認だけしに来たのかすぐにパチュリーさんは出て行った。
「……」
「寝不足か……ダメだな本当に」
「いつもいつもなら文句を言うけど、偶にならいいわよ」
「……あれ?レミリア?」
「何?」
「いや、一緒に出て行ったのかと思ったけど……まだ居たから驚いたわけで」
そう言えばレミリアは出て行ってなかったもんな。
「別に居ていいでしょ?貴方がまだ寝るとは思わないし」
「まあ……それはそうかな確かに」
流石にここで二度寝とかはしない。
申し訳なさが突破しそうだし……
「それに、パチェも察して出て行ってくれたしね」
「察して?」
「何を抱えているの?」
「何をって……特には何も無いけど」
「貴方が寝不足なんて相当でしょうよ……何か抱え込んでるんでしょ?」
「……そう見えたりする?」
「無理に話せとは言わないけど、パチェは居ないのだから話しやすいでしょ?」
「それは……否定は出来ないんだけどさ」
「どうせ、また倒れ込むくらいなら話しなさい」
「……」
言われた通り話せば少しは楽になるかもしれない。
ただ少し楽になるだけだ……自分が惨めになるし、何より話せない事だし……
それに……レミリアにさえどうしようもないと言われたらそれこそ意気消沈しそうだ……
「ごめん、話せない」
「成る程……」
組んだ脚を組み替えながら、こちらを見てくる。
本当に申し訳ないとしか言いようがない。
「じゃあ話しなさい」
「え?」
いや、レミリア何を言って?
「話さなくていいって話じゃ?」
「そんなわけ無いでしょ?あるかどうか聞きたかっただけよ」
「図られた……」
「なら話しなさい」
その後、多少の抵抗を試みるが……流石に無理だと諦めた。
「……前に話した事だけど、レミリアとフランちゃんは仲良いって」
「そうね、喧嘩はしない事もないけど。それくらい些細な事だわ」
「……その件で仲の悪い……いや悪くは無いかすれ違いしている人達が居まして」
「最近居付いてるあの子?」
「……何故そう思ったの?」
「貴方がそこまで頭を抱えるって事はねえ……」
「……」
誤魔化すのは無理だな……話せないところを避けた上で本音を告げよう。
「……ここからは主観だけどいい?」
「構わないわ」
「二人は仲が良い……と俺は思い込んでいるけど、すれ違いのようで離れ離れになっていて」
やっぱりさとりさんがこいしさんを迷惑に思っていると思えない。
かつてのあの時からそう思っている。
「ああ、さとりの事ね」
「……!?」
何故……その名前が出てくるんだ?
まさか、最初から知っていた?
「……知り合いなんですか?」
「どうだと思う?」
だったら何処で会ったと言うんだ?
そんな事出来る筈が……
「……」
「冗談よ」
「何が冗談なんだ……?」
知る筈のない名前を知っていて、冗談も何も……
「貴方が寝てた時、出ていた言葉よ」
「……え?」
確かに……夢で見たけど。
「気を付けなさい。簡単にカマなんてかけられるのだから」
「……はい」
ただただ、自分が迂闊だっただけらしい。
「それで、その二人がねえ……」
「はい、どうにかと」
「……そうね、どうしようもないわ」
「……」
やっぱりか……これだったらやっぱり聞かなかった方が……
「ねえ蓮司」
「何?」
「少しは信じなさい」
「信じる……?」
「姉って言うのは強いのよ」
それだけ告げて部屋を出て行った。
「姉は強いか……」
確かに……さとりさんは強いのは分かる。
だけど無理なものは無理……
「だったら何が出来るって話だよな……」
だから信じるしか無い……そう思いつつも身体の中には燻りが残るままだった。
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to be continued