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「少しよろしいでしょうか?」
「どうかされました?」
探索中にさとりさんが声を掛けてくる。
一度足を止めて彼女の方に耳を傾けた。
「本当にこいしは見つかるのですか?」
「自信無くしちゃダメですよ」
「しかし……」
「こいしさんは鈴を付けてます」
「鈴を?」
「こいしさんが付けてくれました。音を頼りにすれば少しはマシになるかなと……」
当然無意識な以上音も聞こえないのだが……それでも完全に聞こえないと言うわけでは無いしな……現に地霊殿の時は鈴の音で気付いた時もあったし。
「それは有難うございます」
「いえ、こちらも必要だと思ったわけですし」
「少しは耳も澄ませましょうか」
人々の声が聞こえて来るが、その中に鈴の音が紛れていないかと。
当然紛れていなかったがそれを頼りに探し始めた……のだが……
「……」
「さとりさん?」
すぐにまた彼女は足を止めてしまった。
「あの……どうしました?」
「ああすみません。なんでもないです」
「……分かりました」
……うーん。こいしさんが心配なのは分かるが。
一人で探すか?
「すみません……本当に……」
「大丈夫です……見失わなければ」
「そうですね……こいし……やっぱり」
「やっぱり何でしょうか?」
「いえ……特に……」
「……話してくれませんと分かりませんよ」
「……そうですね」
誰もかれもさとりさんのようには行かないしな……
「あの……小野寺さん」
「はい、なんでしょう」
「こいしを探すのやめません?」
「何を……?」
いきなり……どうしたんださとりさん?
「こいしが居なくなったのは私のせいでしょう?」
「そんなことありませんよ」
こいしさんが本当に嫌だったなら、拒絶している筈だ。
あくまで彼女は信じられないってだけで嫌っているわけでは無かった筈だ。
「……いえ、こいしはきっと」
「……まずは話してください」
「話して……?」
「話さないとどうしようもないですよ。決めつけてもいいことはありません」
「……だったらあの子は突然居なくなんてならなくて」
「何か事情があったかもしれません」
「そんな事言っても……」
「……お願いします」
こいしさんを信じて欲しいと彼女にただ懇願する。
あの時の地霊殿の二人みたいに……ただ戻って欲しいと。
「怖いんです……」
「分かりますよ」
誰だって怖いのは分かる。
他人の考えなんて理解出来ないから。
「私は人の心を覗けるんです」
「そうですね」
さとり妖怪がそう言う妖怪だったのはあの時から分かっていた。
最初の頃は驚いたが……死に戻る今ではむしろ安心する方だ。
「だから……尚更怖いんです」
妹のこいしさんは心が覗けない以上彼女にとって怖いのだろう……
普段知れる以上尚更だろうな……
「もし嫌われているとしたら私は……」
「絶対に無いですよ」
万が一あるとしても、今現状嫌われていると思っている以上変わらないだろう。
だからこそ……会って欲しいが。
「……確かに変わりませんが」
「自分が無責任な立場なのは分かりますが……お願いします」
自分で言い出せる立場じゃ無いことは分かっている。
なんせ今の俺とさとりさんは他人だし。
だから感情の押し付けではあるのだが……
「このままじゃ……」
誰も幸せになれないから。
「……そうですよね」
「さとりさん?」
「私だって会いたくてここまで来たんです」
こいしさんに会いたくてわざわざ地上まで来た。
彼女は絶対に来たくないだろう場所に。
あらゆる感情が籠った人混みが嫌だと言った。
彼女にとって雑音だらけの地上に……それでも大切な妹のために来た。
「全力で手伝います」
どんなに疲れてもやってやるぞーと、そう思い耳を澄ませると……
チリン
「今……音が……」
「さとりさん行きましょう!!」
「……はい!!」
そのまま音を追いかけた。
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「……ここは」
中心部から外れた廃屋、ここで音が消えた。
自分が先導して中へと入って行った……後で怒られそうだが。
「……ここに」
「あらら、見つかっちゃった」
「こいしさん」
「お兄さん、どうしたの?」
そこにはこいしさんがニコニコした顔で座っていた。
「心配したんですよ……」
「ごめんごめん、無意識だからさ」
相変わらずニコニコしながらそう答える。
「それで、なんでお姉ちゃんが地上に……」
「こいし!!」
話しているにも関わらずさとりさんは抱き締めていた。
「ちょっとお姉ちゃん……」
「こいし……居て良かった……」
笑顔は崩れて今は慌てている。
俺も驚いたし仕方ない気もする。
「もう……しょうがないなお姉ちゃんは」
「いや……しょうがないのはこいしさんのような」
「えー、酷いなぁ」
泣いているさとりさんを撫でながら文句を言っている。
「まあ……良かったのは事実ですが」
「まだ何も話し合ってないんだけどね」
「でも、大丈夫そうですが……」
「……ちょっと悩んでたのが馬鹿みたい」
「こいしさんでも悩むんですか?」
「酷くない?」
「ごめんなさい」
「まあ……ちょっとね……」
「こいしは何を?」
「……お姉ちゃんに何言われるか分からないから逃げちゃった」
「ああ……」
互いが嫌っていると言うわけではなく、互いが相手の反応が怖いとそれで離れて行ったわけか。
仕方がないが本当に辛いやつだなそれは……
「まあお姉ちゃんに話したい事はあるんだけど……」
「おい兄ちゃん勝手に入ってんじゃねえぞ!!」
「あっごめんなさい」
ここに入っているのをついに怒られてしまった。
まあ居続けるわけにもいかないと……
「場所を変えよっか」
「そうですね……でも何処に?」
「一度戻らない?」
「紅魔館にですか、分かりました」
あれ……紅魔館大丈夫なのか?
まあ……少しだけならいいか……
「それじゃレッツゴー!」
「ちょっと引っ張らないで……」
戸惑うさとりさんを引っ張りながらこいしさんは紅魔館へと向かって……
「そっちじゃない!!そっちじゃないです!!」
向かっては居なかった。
少し溜息をついて、それでも安堵もしながら二人を追いかけたのだった。
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to be continued