幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

17 / 238
十五話 煉獄異変〜burn out world.

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

地霊殿に戻ってみると慌ただしかった。

さとりさんやお燐さんが慌ただしいのはまだしも、妖精達まで総動員でドタバタしてるのは初めて見た。

 

 

「さとりさん……何をしているんですか?」

 

 

「ちょうど良かった、貴方達お空を見なかったかしら?」

 

 

「いや……見てませんけど」

 

 

「不味いわね……」

 

 

「何があったか聞いてもいいですか?」

 

 

流石に雰囲気から放置出来るケースでは無いと悟る。

ならば聞かなきゃならないだろう。

 

 

「お燐から聞きました、お空がやろうとしていることを……」

 

 

「一体何を……?」

 

 

「貴方は灼熱地獄を見ましたか?」

 

 

「いえ……見てないです」

 

 

「でしょうね、アレは人間が耐えられるものではありません」

 

 

地霊殿内は色々環境が整っていて暑いと言うことはないが……核施設の内部でも暑過ぎた。

一時間も持たないだろう。

 

 

「それが……どうしたんですか?」

 

 

「お空は地上にも灼熱地獄を作ろうとしています」

 

 

「……え?」

 

 

それは……止めなければならない事だろう。

地底には影響なくとも地上が滅びるぞ?

 

 

「まるで浄化の火のように地上が全て焼き払われるでしょう……」

 

 

「さしずめ煉獄(れんごく)ですか……」

 

 

「本来であればこう言った異変を解決するための巫女がいます」

 

 

「……初耳ですね」

 

 

「博麗の巫女、まもなく地底に来るでしょう」

 

 

「なら助かっ……」

 

 

いや、そんなわけはないだろう。

巫女が来るって、そしたら地底の住人達はどうなるんだ?

 

 

「そこは……まあ大丈夫です」

 

 

大丈夫とは言うが、その彼女に若干陰りが見えていた。

 

 

「だから探せってわけですか?」

 

 

「いいえ、違います」

 

 

「え?」

 

 

「こいしを連れて急いで地上に逃げてください」

 

 

「……え?」

 

 

「お姉ちゃん、何言ってるのさ」

 

 

「お燐が出したSOSが間に合えば問題ありませんが……間に合わなかった場合地底が焦土へ変わる可能性があります」

 

 

「……」

 

 

「そうなった場合は、貴方は耐えられないでしょう。妖怪である私達でさえだいぶ厳しいでしょうから」

 

 

「さとりさんは?」

 

 

「私は地霊殿の主人で、お空は私のペットです」

 

 

「だから残ると?それなら……」

 

 

「貴方も家族の一人なのですから」

 

 

「それなら俺だって……」

 

 

「あの子に家族殺しをさせないで下さい」

 

 

「っ……」

 

 

こんなことって……こんなことって……

 

 

「お兄さん」

 

 

「お燐さん……何が言ってくださいよ」

 

 

「残念だけど妖怪に対して人間はちっぽけなんだ。だからお兄さんが何をしようとしても無駄なんだよ」

 

 

……分かってる、空さんと戦えやしないし。

妖怪に勝つなんざ狂気じみた事を出来るわけないって。

その場でチリンと鈴の音がなる、ハッと意識を戻される。

 

 

「行くよお兄さん」

 

 

「こいしさん」

 

 

「お姉ちゃんがそうするって言うなら頑として動かないから諦めるよ」

 

 

「……いいんですか?」

 

 

「どうせ私は不良妹だからね」

 

 

さとりさんの急いでくださいと言う言葉に慌てて地霊殿を出て行った。

そして……旧都へと辿り着いた。

 

 

「ねえお兄さん」

 

 

「こいしさん、今は急ぎますよ」

 

 

さとりさんの意思を継ぐように急かす、逃げたのに巻き込まれたじゃ馬鹿だし。

 

 

「ごめんね、やっぱいけないや」

 

 

「何を……?」

 

 

「お姉ちゃんがいてこその私なんだ」

 

 

そう言うとくるりと回転して地霊殿の方へと向きを変える。

 

 

「……そうは言っても、だからこそ逃げるのでは?」

 

 

「お姉ちゃんがいて、お燐がいて、お空がいて、妖精のみんなとか他のペットがいて」

 

 

黙々と指を曲げて数えるような仕草をしながら呟く。

 

 

「そして貴方がいて、それが地霊殿なんだ」

 

 

「……」

 

 

「だからいけないや」

 

 

「死ぬかもしれないってのに……」

 

 

「確実に死ぬお兄さんよりはまだ私達は可能性あるしね、だから信じてねって事で」

 

 

「ダメです、連れて行きます」

 

 

縛ってても連れて行こうと構える。

さとりさんに言われたのだから。

 

 

「ごめんね」

 

 

そう言ってこいしは鈴を投げる。

一瞬目線が投げられた鈴の方へと向き……こいしさんを見失った。

 

 

「何処か……いや探すのは無理か」

 

 

彼女を一度見失ってしまったらもう見つけるのは無理だろう

だから諦めて一人でも……

 

 

「家族か……」

 

 

彼女は自分を嫌われ者だと言った。

能力を理解して、分かるとは思ったが俺には到底そうは思えなかった。

人里でも家族みたいに扱ってはもらえたが結局は化け物扱いされて殺された。

 

 

「今回だって」

 

 

空さんからしたら、俺が灼熱地獄を見に行かなかったからも間違いなくあるだろう、それどころか動機かもしれない。

なのに俺が一切悪いと誰も言わなかった……いや言われてもは?ってなるんだけどさ。

居るのは好きにしていいって言った癖に、不自由なく客人として家族として扱ってくれた。

 

 

「家族殺しはさせたくない、か」

 

 

そんなの俺だって同じわけだ。

そう思うと自然と足が灼熱地獄へと向かって行った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「さて、どっかにはいるんだろ?」

 

 

正直ぶっ倒れそうな高熱で体が満たされる。

あちこちから焦げたような匂いがするがもう気にしてられない。

 

 

「本当に君が勧めるほど綺麗な場所だってのは分かったよ」

 

 

体が乾き血が流れ始める。そしてすぐに蒸発する。

既に乾いた目で全体を見渡す。

至る所に見える炎がまるで宝石かのように美しく燃えている。

地獄のように燃やし尽くす炎だからこそ美しく見える。

 

 

「さとりさんが……かz ……おく殺しにはさせたくないってさ」

 

 

何が持つだ、こんなの持つわけないだろうと。

乾き切って声が出辛くなった声から掠れた声を出す。

 

 

「ーー、ーー」

 

 

そして声が出なくなるまではすぐだった。

 

 

自分は空さんが本当にさとりさんとか地霊殿が大好きだってことはわかってる。

その善意が歪んだ方向へと曲がったことも。

 

 

「ーー、ーーーーー」

 

 

震える身体を見る、周りが暑過ぎて身体が壊れてこれは寒いから震えているのか。

それとも死への恐怖で震えているのかと。

 

 

後者だったら良いのかもしれない。

ここに来るまではどうでも良かったはずなのに、また死への恐怖を思い出したのだから。

ここの人達が思い出させてくれたのだから。

 

 

怖いけど、やらなきゃいけないと思いながら。

さとりさんが空さんに家族殺しをさせたくないと言うのなら、自分で命を絶って全て平和に戻すと。

俺だってそれが正しいと思ったから。

 

 

そう思いながら灼熱地獄の中へ自ら飛び込んでいった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

to be continued

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。