百七十四話 魔界にて〜suddenly dangerous.
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博麗神社のさらに奥深く。そこには洞窟があった。
本来であればすぐにでも向かう筈だったのだが……だいぶ時間がかかったな。
「道に迷わないようにな」
「どうでしょう?洞窟がどんな場所だか分かりませんし」
「行ってみなきゃ分からないって事ですね」
三人で洞窟に潜って行った。
「あれ?どう言う事だ?分かれ道とかは?」
「……無いみたいですね、ただこれは」
一方通行ではあるが、一歩進むたびに足取りが重くなって行く。
理由は分かるが……こんなに圧があるのか……
「いよいよ来たって感じですね」
「そりゃそうだろ。何言ってんだよ」
「えぇ……」
「いつまでもお気楽で居るんじゃねえよ。死ぬぞ?」
「……そうですね」
ぬえに叱責されて気持ちを改める。
流石に元からお気楽では無かったが、それでもだ。
これから向かう先は魔界だと言うのに気を抜いては居られない。
「死ぬわけには行かないもんな」
「そうですよ。死なないでくださいね本当に!」
早苗さんに注意される。本当に心配かけさせてばかりな気がする。
死に戻り出来るとしても何処まで戻るか分からないしな……
「それじゃあ入るぞ」
心臓が行くなと言いたいのか強く動く。
それを無理やり押さえ込みながら扉を開けて一歩先に進んだ。
「……綺麗」
「そうですね」
入るなりいきなり目に入ってきたのは一面銀世界だった。
季節外れとも言いたくはあるが……正しい季節が分かってないしなんとも言えない。
「気を付けろよ」
「そうですね……」
綺麗なのは確かだが雪が未だに降っている。
だいぶ積もっているようだが何処まで積もるのか不安でしかない。
「安全そうな場所を目指しましょう。このまま降られ続けると私達も危険ですし……」
「そうですね……」
周りには銀世界しか見えない。何処へ向かえばいいか分からない以上は少しでも動いて探さないと手遅れだってあり得る。
「ここからはある意味運がいいかどうかだろうな……」
今なら扉から戻る事も出来る。
だがここまで来た意味がなくなるだけだし戻る意味もない。
一度離れればもう戻れるか分からない。だが船を探しに進み出した。
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「……二人とも大丈夫ですか?」
「……ぃ、……ょ」
「……」
吹雪が強くなっていたのもあり二人の声が聞き取りづらくなっている。
二人の姿は目立つ事もありまだ見えるが……下手すれば見えなくなる可能性だってある。
「二人とも、ちょっと離れすぎ……」
「……ん、……せん」
「……ああくそっ……聞こえないな」
近寄らないといけないのにお互いが聞き取れていない。近付こうにも皆が先に行って追い付けない。
「……どうするんだよ」
徐々に二人が離れていることに気付く。
何故かと考えたが……身体が動かなくなってきている。
身体が凍えて動かない……無理して動かそうにも重くなって来ている。
「待って二人とも……」
当然その声が二人に届くわけがなく目立つはずの二人の姿も遂には見えなくなった。
「……大丈夫……動けば追い付く」
動けば追い付く筈なんだ……大丈夫すぐに……
よし無理してでも脚を動かして……
「……あれ?」
なんで倒れているんだ?
なんで歩いて居なくて既に倒れているんだ?
おいこれじゃあダメだろ……?
「異変を解決するんだろ?異変を止めるんだろ?」
だったら動かないとダメじゃないか……このままじゃどうしようもないじゃないか……
「あの時とは違うんだ」
春雪異変の時のように何も出来ずに雪に埋もれて死んだあの時とは違うんだ。
あれから何度も何年も経ち何個かの異変に会ってきたんだ。
あの時のように……何も出来ずに死にたくない。
「……戻れば全て済むとしても」
ここで戻ればぬえが復活する事は無いだろう。
早苗さんだって幻想郷にいるか分からない。
今回はぬえが復活させたあの子が異変を起こしたから早苗さん達も触発されて幻想入りしたその可能性も無いとは言い切れない。
そこまで考えるとこの二人は異変を起こしたから現れたのかもしれないしな……
第一何処まで戻るのかが分からないし。
「……生きるんだ」
もしそうならば二度と会う事は無いだろうから。
記憶を引き継いだ俺を相手にさとりさんが気付かないわけがないから……
もう二度と復活もさせないだろうな。
「だから……だからなんだっけ?」
色々と分からなくなって来た……自分は何を考えていたんだ?
「……眠いなあ」
眠くなって来た……眠いから寝ていいんだっけ?
いやダメだった気がする……
なんでダメなんだっけ……
「……」
分からないからいっか。寝てから考えよう……
また明日。思い出せると信じて……
「……」
「……」
「……ナンデコイツガ?」
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