幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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百七十五話 目を覚まさぬ裏で〜sanae side.

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「命は無事そうね。暫くは目を覚まさないだろうけど」

 

 

「……有難うございます」

 

 

ぐっだりとした少年を早苗は不安そうに見ている。

実際彼女が居なかったら目の前の少年は死んでいただろう。

吹雪の中彼を見失い気付いた時には自分達じゃ手遅れだった。

 

 

「何があったの?」

 

 

「……」

 

 

「正直小野寺君が魔界にいるなんて驚きなんだけど……彼にとって魔界は全く関係ない筈なのに」

 

 

「知り合いだったんですか?」

 

 

「ええ。普段は幻想郷にいるからね」

 

 

「そうだったんですか。私も最近幻想入りしまして」

 

 

「そうなの。よろしくねと言うべきかしらね?」

 

 

「よろしくお願いします。アリスさんでしたっけ?」

 

 

「ええそうよ。普段は魔法の森に居るわ」

 

 

「東風谷早苗です。本当に今回はすみませんでした」

 

 

「いいのよとでも言ってあげたいところだけど……上海が見つけてくれてなかったら死んでたわよ」

 

 

「本当に良かった……」

 

 

「戻るだけだとしても……苦痛でしょうしね」

 

 

「……?」

 

 

「ああ……何でも無いわ」

 

 

「そうですか?」

 

 

「さて……彼が目覚める前に事情だけでも聞かせてもらおうかしらね」

 

 

「魔界に封印された危険人物がいると聞きまして」

 

 

「魔界に?あの人から聞いた事はないけど……」

 

 

「あの人?」

 

 

「この魔界を作った神に近い何かよ」

 

 

「創造神と知り合いなんですか!?」

 

 

「……今魔界にいるのは彼女に呼ばれたのが原因だしね」

 

 

「なるほど」

 

 

「それで、その危険な人間がなにかしら?封印を解いたりする気?」

 

 

「逆です。小野寺君が言ってた事は封印を解こうとする妖怪が居たのでそれを止めないとと」

 

 

「面倒そうな事になりそうね……言いたいこと分かったわ」

 

 

「信じてくれるんですか?」

 

 

自分とは初対面の筈なのに信じてくれるだなんて優しい人だ……

 

 

「小野寺君がそんな事する筈ないし」

 

 

「……そうですねえ」

 

 

知ってましたよ知ってましたとも。

なんか私に見えない魅力とかあるんじゃないかって思いましたがそりゃやっぱ彼ですよね。

 

 

「なんかしょんぼりしてないかしら?」

 

 

「いえそんな事は……」

 

 

「あー……勿論貴女のことも信用してるからこそ信じたんだから安心して」

 

 

「え?」

 

 

どうやら私にも魅力があったらしい。

 

 

「それで……そこの貴女も言ってる事あってるかしら?」

 

 

「……ん?合ってるんじゃない?」

 

 

「ぬえさん。貴女の方が知ってますよね!?」

 

 

「そうだっけ?」

 

 

「どうしたんです?」

 

 

「やる気が出ない」

 

 

「は?」

 

 

え?いきなり何を言い出すんですか?

小野寺君もですが二人がメインなのでは?

 

 

「なんかさあ。私は妖怪だし人間なんてどうでもいいんだけどさなんかそいつが死にかけな所見ると色々と冷めてさ」

 

 

めちゃくちゃ気にしてるじゃないですか……

あえて言い出す事はしませんけど。

 

 

「そうは言ってもやるしかないでしょう?」

 

 

「それなんだよなあ……」

 

 

私は最初からぬえさんと行動していたわけではないので分からないが、だいぶ変わったんだろうなとは思う。

 

 

「何が正しいとか何するべきとか分からなくなってる」

 

 

「とりあえず……封印はどうにかしないと」

 

 

「うーん……」

 

 

ここまで来て、急に冷められてどうしろと言うのだ……

ぬえさんの力も間違い無く必要なのは分かっているからこそ投げられても困る。

 

 

「彼がやる気だったんでしょ?」

 

 

「そうだなあ、責任感感じてたし」

 

 

「だったらいっそどうにかしてやるってやればいいんじゃない?」

 

 

「なんでアイツの為に」

 

 

「逆よ」

 

 

「逆?」

 

 

「自分がやろうとする事を先にやられるんだもの。悔しいに決まってるわ」

 

 

「悔しい……それもそうか。邪魔されるの嫌だよな」

 

 

「あの……小野寺君は多分……」

 

 

そんな事はないだろうと言おうとしたらアリスさんが静かにしてと合図してくる。

謎に思いながらも口をつぐんだ。

 

 

「彼が動けない今がチャンスじゃない?」

 

 

「成程。アンタ賢いな」

 

 

「じゃあ行ってきたらどうかしら?」

 

 

「了解。おい緑の行くぞ」

 

 

「緑のって……ちょっと待ってください」

 

 

「なんだよ」

 

 

「少し彼女に聞きたい事が……」

 

 

「……早くしてな」

 

 

そう言い残してぬえは出て行った。

 

 

「理由を聞いても?」

 

 

「ああ言うタイプは搦め手の方が通じるからよ」

 

 

「そうですか……ただ助かったのは事実です」

 

 

「それで貴女も行くのでしょ?近くに友好的な魔族が居るだろうから頼ってみるといいわ」

 

 

「アリスさんは来てくれないんですか?」

 

 

「ええ。彼を放置出来ないし」

 

 

「本当であれば彼を待つ気だったんですが……さっきの流れで行くしかないですが……」

 

 

「ダメよ」

 

 

「え?なんでですか?」

 

 

「彼がやらなきゃって言ったのだろうけど……彼は一般人なのよ」

 

 

「それはそうですね……」

 

 

「魔界まで着いてきたのはいいけどこれ以上はダメ。死ぬだけよ」

 

 

「……」

 

 

「納得出来ないのも分かるけどね」

 

 

「いえ……分かってます」

 

 

彼が起きていれば間違い無くどんな状態でも付いてきただろう。

それでさっきみたいにまたボロボロに……

 

 

「ぬえさんと二人で終わらせてきますよ」

 

 

「いや……さっきも言ったけど近くの魔族頼ってね?迷うわよ?」

 

 

「あっそうでした。気を付けます」

 

 

小野寺君のお陰で守矢は助かったんだ。

霊夢さんが特攻してきて彼の縁が無ければどうなってたか分からなかった。

その点に加え日本での彼にも感謝している。

本当に色々助けられたから。

 

 

「だから今度は私の番」

 

 

雪が弱まっているのを確認してぬえと共に飛び出したのだった。

 

 

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to be continued

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