幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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百九十七話 不穏と日常〜unrest suddenly.

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「失踪ねえ……そりゃ不味そうだ」

 

 

諏訪子さんも不審に思っているようだ、そんなの無いとか言われたらどうしようかと思ったが。

 

 

「まあでも神奈子は失踪じゃないから安心していいよ」

 

 

「そうなんです?」

 

 

「ああ地底に行ったからねえ」

 

 

「また地底ですか……」

 

 

「どうかしたのかい?」

 

 

「地底に行った皆が失踪になってるんですよね」

 

 

「あー……そう言うことかあ……」

 

 

正直皆大丈夫とは言うが、立て続けに大丈夫と言われている人が失踪しているのは怖い。

 

 

「だから……どうしたものかと」

 

 

「言いたいことは分かったけど……正直厳しいね」

 

 

「厳しいですか?」

 

 

「純粋に人手が足りない。神奈子の事は心配だけど私も早苗も神社を離れるわけにはいかないんだ」

 

 

「家族が行方不明なのにそっちが優先なのかい?」

 

 

「おやおや河童君。だったらここで私達が居なくてもいいと言うのかい?」

 

 

「それは……困りそうだな」

 

 

「そうなんだよ。タイミングが悪過ぎる」

 

 

神社は妖怪の山で知られ始めた時。今人が居ないと言うことはあってはならないのか……

それもギリギリな人数だと言うのに……

 

 

「むしろ君達妖怪の山のメンツが助けてくれるといいんだけどな」

 

 

「私はその……」

 

 

にとりさんが後退りする。

その顔は拒否と言うよりは戸惑いに見えた。

 

 

「まあ君じゃなくてもいいさ。誰か出来そうな子はいないかい?」

 

 

「それは……」

 

 

諏訪子さんが詰め寄り、にとりさんが後退る。

いい加減口を挟もうとするが……

 

 

「あまりにとりを虐めないでくださいな」

 

 

「文さん」

 

 

にとりさんの事をよく知る人物が助け舟を出した。

 

 

「あーえっと……情報屋だっけ?」

 

 

「いいえ。新聞記者ですね」

 

 

「新聞……幻想郷にもあったのか」

 

 

確かに前はそう思ったこともあった。

 

 

「ええ、ありますよ。今回のイジメについてもスクープにしようか悩みましたが流石に止めさせていただきました」

 

 

「イジメでは無いんだけどね……」

 

 

「私がイジメと書けばイジメになるので問題ないです」

 

 

「だからあの新聞は人気がないのよ……」

 

 

アリスさんが呆れ出した。

ただ信憑性がないのは確かに残当なのが……

 

 

「……流石に彼女に協力を頼んでいたのにイジメ扱いはやめてくれないかい?」

 

 

「おや?協力ですか?」

 

 

「ああそうさ。彼女に調べてもらいたい事があったのさ」

 

 

「失踪事件の事ですか?」

 

 

「およ?君も知っていたのか」

 

 

「ええ。あちこち回っていてそんな噂を耳に挟んだので」

 

 

……確かに文さんならそう言う情報は回ってくるか。ならば話を聞きたいところだが。

 

 

「正直半信半疑でしたが、ここまで言われる以上は真実なんでしょうね。少し聞いてきますか」

 

 

「地底ってのが行き辛くはあるんだが……」

 

 

「……まあ普通は行きたがらないわよ」

 

 

アリスさんが此方を睨みながら言う。

はい、分かってます普通ではないです。

 

 

「じゃあ分かった。大変すまないんだがそこの新聞記者も合わせて調査に行ってくれると有難い」

 

 

「文はもういないぞ?」

 

 

「……え?」

 

 

にとりさん以外の皆が周囲を確認するが確かに居ない。

聞いてきますか言っていたがもう行ったのか?

 

 

「もう行ってくれたならむしろいいのだろうか?」

 

 

「……文のことだから情報集めてから行きそうだけどな」

 

 

「え?文さんなら現場直行だと思いましたが」

 

 

「現場主義とは言え慎重な一面もあるんだよ」

 

 

「そうでしたか……」

 

 

まだまだ文さんの事は知らないな……

と言うか自分の事を話す人じゃないだろうし知らないままだろうけど。

 

 

「ならこのまま行きますか?」

 

 

「いや、文を待とう」

 

 

「暫く掛かるのでは?」

 

 

「いや、文の脚なら多分そこまで掛からないだろうし……それに」

 

 

「それに?」

 

 

「私の目的もあるし……」

 

 

「ああ……」

 

 

そういえばにとりさん早苗さんに会いに来たんだもんな、またチャンスを逃すと大変そうだ。

 

 

「まあ別に文に何かあってもいい気味だろう」

 

 

「流石にそれは……」

 

 

「むしろ私もさっき庇ってもらったがそれ以上にやられまくってるし何か起これーとすら思うよ」

 

 

「それが起きたらマジで異変解決どうしようもないんですけどね!!」

 

 

「済まないね……そっちはそっちで本当に手が足りなそうだ」

 

 

「文さんが戻ってくれば事態が動く可能性はありますし」

 

 

「そうだな。あの新聞記者いい情報を持ってきてくれればいいが」

 

 

「……そうですね」

 

 

「どうした?」

 

 

「ただニュースというものは必ずしも良い事では無いですしねと。特に今の状況なら」

 

 

「ああ……そう言うことか」

 

 

「まあ待つしかないでしょ」

 

 

「早苗もその頃には終わるだろうからね」

 

 

「……そう言えば諏訪子さんは手伝わないのですか?」

 

 

「いや、神様が手伝ってるのはおかしいだろう?」

 

 

「……そうですね」

 

 

そのまま、不安に思いつつも待つ事となった。

 

 

「皆さん来ていたんですね!」

 

 

仕事が終わり早苗さんが此方へと向かって来る。

 

 

「早苗さん、お疲れ様です」

 

 

「いえ、このくらい大丈夫です!」

 

 

疲労が見えるもののまだ元気は残っているようだ。逞しいな……

 

 

「それで……そこの方は?」

 

 

早苗さんはにとりさんの方を見てにとりさんが隠れる。

 

 

「確か……この前助けてくれた方ですよね」

 

 

「……なんのことやら」

 

 

「あの時は霊夢さんが手をつけられない状態でしたからね。助かりました」

 

 

その後も褒め続け次第ににとりさんが出てきた。

話も合うようで不安げな顔から笑顔へとなっていき、その姿を見て安心した。

 

 

「早苗、確か非想天則見たかったんだよな。いいぞ」

 

 

「いいんですか!?」

 

 

「ああ。私と早苗は盟友だからな!」

 

 

「盟友ですか!やった」

 

 

そのまま2人は山道へと駆けていく。

文さんを待っている為止めようかと思ったが、伝えに行けばいいと判断して今は止めなかった。

 

 

「神奈子が心配だけど……早苗のあの顔見ちゃ私も止めらんないや」

 

 

「……ですね」

 

 

「あの記者が早く帰って来てくれてれば……」

 

 

文句を言おうとする諏訪子さんの前に黒い羽が舞う。

この羽は文さんのだが。

 

 

「文さん、戻ったんですね」

 

 

「ちょいとすみません。問題が起きました」

 

 

「問題ですか?ちょっと待っててくださいにとりさん達を……」

 

 

「いえ、そんな暇はありません。今すぐ向かわないと」

 

 

文さんの表情がいつも以上に深刻さを増している。

今すぐな事も加えてどう考えてもただごとではない。

 

 

 

「何があったの?」

 

 

アリスさんも表情を変える。

何が起こったというのだ?

 

 

「人里が何かに襲われています。急いで向かいましょう」

 

 

「人里が……?」

 

 

少し前までいた時は何も無かった……いや失踪らしきものはあったがそれくらいだった。

だから何か起きているようには思えないし命蓮寺のメンバーだっている大丈夫だ。

 

 

「……」

 

 

大丈夫なはずなのに……胸騒ぎが止まらなかった。

 

 

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to be continued

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