幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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十八話 人形屋敷と少女〜doll house.

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空腹時には何を食べても美味しいと聞くが、更に言うなら純粋にこの人は料理上手なんだなと思う。

 

 

「しかし……なんで魚釣ってるかと思えばこう言う事だったんですね」

 

 

「モンクアンノカ?」

 

 

「いえ、ありませんが」

 

 

「フンダ」

 

 

「こら、上海ダメでしょ。ごめんなさいね」

 

 

「いえ、心優しい事は分かって……痛い痛い突かないで」

 

 

チクチク痛い、手加減はされてるんだろうけど。

 

 

「ヨケイナコトハイウナッテノ」

 

 

「分かりました……」

 

 

やっぱりと言うか……この子人形だけど絶対自我あるよな?

 

 

「そう言えば小野寺君ちょっといい?」

 

 

「どうしましたアリスさん?」

 

 

「どうしてこの森に入ったの?」

 

 

「ああそれはっすね。探してる人がいまして」

 

 

この森にいるかな……いればいいんだが。

 

 

「それって森の住人なのかしら?」

 

 

「分かりません。ただ森にいそうかなって」

 

 

「誰が?」

 

 

「魔法使いが?」

 

 

「私のことかしら?」

 

 

「すみませんが違います」

 

 

髪の色は一緒だが根本的に違う相手だしな。

 

 

「じゃあ魔理沙?」

 

 

「知ってるんですか!?」

 

 

「ええ、この森に住んでいるもの」

 

 

「やっぱり魔法使いって、森に住むのが定番なんですか?」

 

 

「別にそう言うわけじゃないけど……。図書館に住んでる人も居るし」

 

 

「図書館に!?」

 

 

「ええ、魔法使いは何処にだっているもの」

 

 

「それは凄いですね」

 

 

確かにさとりとか火車とかもいたけど、魔法使いだとファンタジー感が増す気がする。

 

 

「オマエハナンカアンノカ?」

 

 

「いや……人間に期待されても」

 

 

「マァソウカ」

 

 

「……それで、魔理沙さんは何処に?」

 

 

「ひとまず明日ね」

 

 

「分かりましたが……。」

 

 

「なんでそんなに焦ってるの?」

 

 

「すぐにやらないといけない事がありまして」

 

 

「分かったわ。なら明日連れてくわ」

 

 

「いいんですか」

 

 

「困ってるんでしょう?」

 

 

「ありがとうございます。……ただ何も聞かなくていいんですか?」

 

 

「言いたくないものを聞く必要ないし、必要なら話すでしょう?」

 

 

「アリスハオメーヲシンジテンダヨ」

 

 

「さっき会ったばかりなんですが」

 

 

「ヤサシスギンダヨ」

 

 

「確かに……それだと優しすぎますね」

 

 

「ダカラ、ミハンネートイケネーンダヨ」

 

 

「そう言うところが、上海さんも優しいですよね?」

 

 

「……」

 

 

上海さんがそっぽを向く、口調的に褒められ慣れてないのかな?

 

 

「それじゃあまた明日って事で」

 

 

アリスさんがそう言って上海さんに案内される。

午前中までの状況ではあり付けると思わなかったベッドだぁ。

今日の自分本当に助かって良かったとベッドに潜った。

 

 

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そのまま寝つこうとするが……少しは寝たもののうまく寝付けない。

……枕が変わると寝れないなんてタイプじゃないと思ったんだがな。

明日が肝心だしあまり部屋を探索するのはよくないと思いつつ、まだ明かりが付いているようなので少し気になる。

 

 

「見に行くだけしますか」

 

 

何をしているのかなと見に行く。

そこではアリスさんがまだ起きていたようだ。

 

 

「アリスさん魔法の練習ですか?」

 

 

「まだ起きていたの?」

 

 

「はい、目が覚めちゃいまして」

 

 

「そうだったの」

 

 

「えっと……魔法じゃなくて人形?」

 

 

「そうよ、今縫っているの」

 

 

「新しい人形ですか?」

 

 

「ええ、いつもこうやって夜に増やしているの」

 

 

この部屋の周囲を見渡すと確かに人形だらけだ。

ただ、日本人形とかとは違って見た目が可愛らしいから囲まれていてもほんわかする……って言うか日本人形に囲まれたくない!!

 

 

「折角起きてきたなら少し話していいかしら?」

 

 

「勿論です」

 

 

泊めてもらってる立場だし文句も何もない。

 

 

「上海のことどう思う?」

 

 

「どうって?口は悪いけどいい子だと思ってますが」

 

 

それもそれで理由があってみたいだったし文句はないが。

 

 

「そう言うことじゃないのだけど……」

 

 

「え?どう言うことです?」

 

 

「普通は人形とかが喋ってたとか、動いただとかで……気味が悪いってなると思ったのだけど」

 

 

「え……そうなんですか……!?」

 

 

「誰かが操ってるなら分かるけど……勝手に自立して動いているところを見たらしいし」

 

 

「別に、妖怪だってなんだっているこの世界で普通じゃないですかね?」

 

 

「そう……」

 

 

「もしかして……何かやらかしました?」

 

 

妖怪では無いけれど、驚く事が喜びだって言う人だって存在してるしそうやって驚かせたかったのかもしれない。

それだったらやらかしたわけだが。

 

 

「いえ……色々と思うところがあっただけよ」

 

 

話しながらも黙々と人形が完成していく。

相当手先器用じゃ無いとここまで出来ないぞこれ。

 

 

「なんかすみません」

 

 

「いえ、私からしたら嬉しい事だし問題ないわ」

 

 

「あっ嬉しいんですね」

 

 

「そうね、自分の人形達を褒めて貰えてるしね。勝手に動いたって怖がられる事が多いのだけど」

 

 

「だってこの見た目可愛いですしね」

 

 

なんとなくアリスさんに似てるような気がするが……流石に可愛いと言った以上それ言い出すのはヤバいやつだ。

 

 

「変な人とは言わないけど、本当に他の人と違うわね」

 

 

「そうなんですかね?分からない」

 

 

一匹の人形が完成してまた一匹の人形が作り始められる。

一体何匹作る気だろうか?

 

 

「そう言えば思うところって何ですか?」

 

 

「……それを聞くの?」

 

 

「いや、自分が不手際してたらまずいなと」

 

 

出来るだけいい子でいたいのは事実だし、機嫌を損ねたりさせるのはよく無いしな。

気をつけるところは気を付けないと。

 

 

「少しとある事に気付いただけよ」

 

 

「とある事ですか?」

 

 

「ええ、単純な事だけどね」

 

 

「聞いていいんですか?」

 

 

「貴方のことだしね」

 

 

俺の事……一体何なのだろう?

 

 

「貴方、結界の外の人間でしょ?」

 

 

何?この子もさとりなの?

魔法使いって超能力者なのかなって思わされたのだった。

 

 

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to be continued


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