ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
人里に鬼が来襲する数日前。
地底の奥底。ここに住む住人達を地底の妖怪達全員が把握しているわけではない。
そんな場所にある地霊殿には珍しく客がいた。
「悪いね」
「いえ大丈夫です」
妖怪の山のてっぺん、守矢神社にいる神と地の底の妖怪の代表の一人、古明寺さとりが対談していた。
「何の用……いえ。私達を利用する気ですか」
「ふぅん、心でも読めるのかい?」
「はい。そんな恐ろしい妖怪に何か?」
「いや、むしろ都合がいいねえ。一々細かい説明が面倒なんだ」
「細かい説明……待ってください。貴女達何をする気なんですか!?」
「やっと鉄仮面が崩れたか。その方がアンタにはいいよ」
「そんな事はどうでもいいんです!!何をやる気なんですか」
「所謂産業革命だよ」
産業革命……何を言い出すのだろうか?
しかし心の底からそう思っている……尚更地底を巻き込む理由が分からない。
「……貴女達の目的に地底を巻き込まないでください」
「いやいや、勿論アンタ達にだって利をもたらすさ。じゃなきゃ勝手にやってるよ」
「……場所が使いたいからですか」
「そう言う事だよ。それなら持ち主に聞いた方が都合がいいってね」
嘘を吐けばそこを突っ込めるのに真実だけを話してくる。だからこそ、厳しいものがある。
「別に何かしろってわけじゃ無いさ。ダメかい?」
「……地底に力を借りるとは相当ですね」
「別に、妖怪の山でも言われはしたがそれでもアンタ達に嫌悪感なんてないしねえ」
この人は本気で幻想郷を発展させる気なのは分かっている。
かと言って助ける義理は無いのだが……
「……そのエネルギーは全部使うのですか?」
「うん?どう言う事だい?」
「エネルギーの使い方は見ました。それを地底で使えませんか?と」
「地底でかい?」
「産業革命とは言いませんが……便利な事に越した事はないので」
本来ならば地底を発展なんて考えてなかったのだが……
あの人がまた来ると考えると少しはマシな方がいいかもしれない。
「……本当にあの人は読みきれませんし何するかも分かりませんし」
彼が行方不明になったあの後、八雲紫が地底へとやって来た。
彼の無事を伝るためだと言っていたが、信用ならないのだが……覗いても真実だったのだ。
「ん?どうかしたかい?」
「いえ……」
そのくせ、目を離すとすぐに危険になるらしい……地底で勝手に死なれても困るのだが……
「……さっき言った条件は飲めるのですか?」
「ああその事かい、構わないよ。全部のエネルギーを使えると思ってないし」
「そうですか。なら分かりました場所を貸す分には構わないです」
「有難いね。正直地上よりも地底の方が物分かりがいいのは驚きだけどさ」
「それで……核エネルギーとはなんですか?」
「うん?あーそう言う事か」
核と言うものは分からないが、彼女はそれを利用しようとしているらしい。
分からないまま受け入れるのもまずいだろう。
「簡単に言うと巨大な力だね。危険もあるから安全のために多くのスペースが欲しいのさ」
「全部言うんですね」
「バレてる事を黙る必要はないねえ」
「それもそうですか」
「で、だ。さっきは場所をとは言ったがもう一つ必要なものがある」
「何を……いえ、妖怪ですか?」
「ああその通り。地獄鴉を一羽貸して欲しい」
「地獄鴉……」
地獄が移り、灼熱地獄の規模が縮小されてから地獄鴉の数はだいぶ減った。
地獄には居ないこともないが、空以外をあまり見ない。
「ああ。地獄鴉の存在が今回は必要なんだよ」
「それはどうし……八咫烏」
「ああ本当に楽でいいねえ。それでどうだいって話だ?」
「それは……」
八咫烏。それは地底であっても存在は知っている。
その力を取り込めば巨大な力となるだろう。
お空も普段から灼熱地獄の温度の調節に苦戦していたり、力を欲しがっていたためまたとない話だ。
「……悪くはないですね」
「だろう」
お空を元に地底も発展する。
誰だって願ったり叶ったりの筈だ。
だから問題はない。
「……」
『地底に危機が訪れます』
彼曰く何度も死ぬたびに地底に伝えて来たらしい言葉。
聞いた話では最初の一度を除いて何もなかったらしいが。
『力を持った空さんが地上を焼き尽くそうとします』
地上の人間が地底にそんな忠告をしに来る。
地底に来るまで危険でしか無いのに。
何故かと聞いてみた。心から聞こえる声を聞き流しながら。
『空さんに誰かを殺してほしくないので』
私に向かってそう告げた。
お空が何かするようには思えないが……
お空が力を手に入れるとしたらここだ。
「……すみません。やっぱやめます」
「なんだい?やっと纏まったと思ったんだけど」
「お空に力を与えるのはダメですので」
「お空……がよく分からないけどダメなのかい?」
「人間にそう言われたので」
「ふむ……人間にか」
「悪くない条件だと思いましたが、ごめんなさい」
「いやいいよ。人間にダメと言われたなら諦めるさ」
「……粘られると思いましたが」
「いや、その人間って言うのが心当たりあるんでね」
「それは……」
「おっと覗かないでいいさ。大方地底に来る人間なんざアイツしか居ないからな」
その言葉に覗き込もうとしたが、雑念を混ぜられ覗けなかった。
「全く早苗に地底に行ってたって話は聞いていたが、異変だけじゃなくて色々と首突っ込んでるとはねえ」
「ちょっと、心を」
気になる。合ってるかもしれないと思うと気になる。しかしそうは行かない。
「やなこった。断られたせいで別の方法を考えなきゃならないんだ」
「あるんですか?」
「地獄鴉は否定されたけど場所は借りれているからねえ。地獄らしく火力発電でも作ろうかね」
「火力……火でもエネルギーは作れるのですか……」
「意外となんでも出来るものさ。ただこれは一度持ち帰ろうか……また来るよ」
「分かりました」
そうして神奈子は帰って行った。霊烏路空に関わる事をしないまま。
本来起こる筈だった異変は一人の少年の手によって止められたのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
to be continued