幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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二百話 起こらないはずだった物〜worst worst.

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ここも地底ではあるが、地霊殿よりも更に下にある何もない場所だった。

何もない場所である筈なのに……そこには数人集まっていた。

 

 

「……なあやめないかみとり。こんな事したってどうしようもないだろう?」

 

 

目の前の少女、河城みとりに語り掛けるが何も答えない。

助けを求めるように隣の人物を目線を移すが……勿論彼女も捕まっていた。

 

 

「どうする星?このままじゃ」

 

 

「村紗、そうは言ったってどうしようもないでしょう?」

 

 

「それはそうだけど……」

 

 

身動きを完全に封じられている。簡単な動きすら出来ず、精々話す事くらいしか出来ない。

かつて封印されていたようにただそこに磔にされているようだった。

 

 

「前はこんな感じではなかった筈だけど……」

 

 

封印されていた時代にも彼女と話す事はあった。

その時は一匹狼のように周りを寄せ付けないように振る舞っていたが、根は優しく思えたのだが……

 

 

「……予想以上に力が余ったな」

 

 

目の前の少女はそう呟く。力……なんのことだ?

 

 

「力をどう使おうが勝手とは言え他人をこうするのは違うでしょ」

 

 

「……勝手に私のテリトリーに入ってきた癖に」

 

 

「うん?」

 

 

「邪魔しないでって前に言わなかった?」

 

 

「邪魔って……そりゃ悪かったがこうやって地底に押し込められてるのも居心地悪いだろうと思ってさ」

 

 

「……」

 

 

その言葉を言うと顔色が変わる。

まずい……怒らせてしまったか?

 

 

「ああすまない、勝手な事をした。もう関わらないと誓うから」

 

 

正直今の命蓮寺を何日も開けるわけにはいかないのだ。

だからこそ穏便に済ませたい。

 

 

「誓うから、何?」

 

 

「返してくれないかってね」

 

 

無理を承知でお願いする。

と言うよりも、身動きが出来ない以上これしかないわけでもあるし……

 

 

「……残念だけどそれは出来ないよ」

 

 

「なんでさ。お節介が迷惑だっただけだろう?」

 

 

「そうじゃ無いよ」

 

 

「だったら何さ」

 

 

「……始まるんだよ」

 

 

「何が始まるって言うのさ。地底から何も出来ないだろう?」

 

 

「いいや、私達の叛逆が始まるのさ」

 

 

「叛逆だって?やめておきなよ。私達だって失敗したばかりなんだから」

 

 

正確には叛逆と言うよりは聖を助けに行こうとしただけで目的だけなら成功しているが。

ただ元から聖を封印した人達は死んでいるわけだし復讐や叛逆なんて無いけどさ。

 

 

「あんた達には関係ないだろう?」

 

 

「こうやって動きを封じてる癖によく言うよ」

 

 

「それに、ここの方が安全だしね。勝手に侵入してきた相手を一応生かす気があるだけマシだと思うけど?」

 

 

「……は?何を言ってるのさ?」

 

 

生かす気?何を言っている?まるで誰かを殺すみたいに……

それにここの方が安全?異変は問題とは言え危険な程ではない認識であったが。

 

 

「さて、そろそろ集まってきたね」

 

 

みとりがそう言うとゾロゾロと集まってきている。

一体何かと確認したが……

 

 

「鬼……なんでこの規模で居るんだ?」

 

 

色々とおかしい。鬼がこうやって群れるのも違和感だが何か変だ。

 

 

「村紗、それ以上におかしいことがあります」

 

 

「え?何が……」

 

 

「なんで鬼が従ってるんですか?」

 

 

「あ……」

 

 

そうだ。あの子の事を見下してるわけじゃないけど、鬼ってそう言う種族なんだ。

他の鬼にもよほどが無ければ従わないと言うのになんで河童に従っているんだろうと。

 

 

「見た感じ洗脳とかには感じないし……」

 

 

むしろ鬼達にはやる気を感じる……何が起こっているんだ?

 

 

「集まってくれてありがとう。やっとこれで準備完了だ」

 

 

「やーっとって感じだよな」

 

 

「暴れていいのか?」

 

 

「ここで暴れられても困る。もう少し待ってくれたまえ」

 

 

「そこの妖怪達はダメなのか?」

 

 

「ダメだよ。ミスは許されない。万全の状態で居て貰わないと困る」

 

 

「しょうがない。ただすぐに暴れさせろよ?」

 

 

「ああ、地上で好きにしてくれ」

 

 

「地上……!?」

 

 

叛逆言っていたがまさか地上で何かする気なのか?

そんな事聖に知られたら不味いな……聖が危険になる。

 

 

「……と言うか聞いた話では鬼は地底から出れない筈では」

 

 

「……なんで出れないと思う?」

 

 

みとりが予想外に反応して来た。

何故出れないかか……

 

 

「そう言うルールだから?いや鬼がルールを守るわけないか……」

 

 

「私が出る事を禁止してたからだよ」

 

 

「……まさか」

 

 

「当然だろう?」

 

 

全員の禁止を解いた?リソースも余っていると言うことはそれが全部無くなったから?

 

 

「……おい、本当に何をする気だよ」

 

 

冷や汗が流れる。私達を生かすってことは地上でどれだけの生物を殺す気だ?

 

 

「待て、それだけはやっちゃダメだ。好き勝手に暴れたら本当に殺し合いで済まなくなるぞ?」

 

 

「上等じゃねえか。ただの喧嘩じゃすまねんだよ」

 

 

「おいっおいっ」

 

 

既にみとりは此方を見ていない。聞こえているはずの声に答えない。

 

 

「君達は虐げられて来た。こんな狭い場所に押し込められて……鬼だと言うのに自由すら無かったおかしいだろう?」

 

 

多くの鬼が首を縦に振っている……良くないことだ。

 

 

「さあ叛逆の時間だ。地上を我々の住処……獄都へと変えようじゃないか!!」

 

 

多くの鬼が諸手を挙げて賛同する。

そのままみとりは鬼を引き連れて地上へと向かった。

どうにかしたいのに……身体が動かない……動かないといけないのに。

 

 

「くそっなんでだよ……このままじゃダメなのに……」

 

 

それから数日後……人里は獄都へと成り果て、彼は命尽きた。

 

 

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