幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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二百三話 山の主との対談〜foundling girl.

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「やれやれ、君が直接出向いて来るとは思わなかったな」

 

 

目の前の天狗は文さんとかとはレベルが違う。

本当に嫌なくらい圧を掛けてきてるな……

天魔、文さんが言うには今の妖怪の山の主らしい。

 

 

「緊急事態だし仕方ないじゃ無いか」

 

 

「……山を出て行った貴女が来る以上は相当なんでしょうが」

 

 

「ああ、相当だと聞いた」

 

 

「聞きますが、そこの彼は終わり次第追い出してくださいよ」

 

 

「いや、そんな事言ってる問題じゃないんだ」

 

 

「……妖怪の山は基本人間達に無関係だと分かっていてもかい?」

 

 

「ああ」

 

 

「……分かった。要件を聞こう」

 

 

面倒くさそうな顔を一瞬だけして、それでも切り替え話を聞こうとする。

 

 

「鬼が出る。地上にな」

 

 

「……貴女が増えるとなると頭を抱えるのだが。そもそもあの子はどうした?」

 

 

「ああ。みとりが原因らしいんだよね」

 

 

「なっ……あの子が……何故唐突に?」

 

 

「理由までは分からんさ。ただ放置出来るわけじゃないだろう?」

 

 

「……そうだな、どちらにせよ地底の異変を無視出来るわけがない」

 

 

追い出したわけではあるけど優しくはあるのか?

誰も彼もがじゃなくて不本意さを感じてた人達もいるだろうし……

 

 

「……まあ近いもんな」

 

 

「不本意でしかないが」

 

 

「え?」

 

 

「何?」

 

 

「いえ……」

 

 

どうやら慈悲の類では無かったらしい。

ただあると信じるとしよう。

 

 

「しかし……どうしたものか」

 

 

「紫達からすればお前に手伝って欲しいらしいが」

 

 

「ご冗談を。元々妖怪の山の主だった貴女なら分かる筈だ」

 

 

「分かるって?」

 

 

「君とは話してないのだが……異変とあれど動けないと言う事だよ。妖怪達はトップが消えた事に気付けば無秩序になる」

 

 

「そこまでなんですか……」

 

 

まあ河童や天狗など自我が強い妖怪ばかりなイメージはあるけど……

 

 

「それくらいなら問題は無いのだが……」

 

 

「……ないんです?」

 

 

ついつい先程から突っ込んでしまってるが流石にえってなるだろうよ……

 

 

「生憎山頂の面子を信用しきってないのでね。無秩序の中でアイツらが中心になられても困るのさ」

 

 

「あー……」

 

 

確かに悪人では無いことは分かるけど……あの神様達は野心があるのは分かるし、乗っ取られそうではある。

 

 

「特に今は一柱は何やら企んでいるようだしな」

 

 

確か地底に向かったって話だったもんな……

 

 

「だから無理だねと言う話だ」

 

 

「……それは、そうですね」

 

 

異変も問題とは言え別の問題もある以上はなんとも言えない……

ただ、本格的にどう対処すれば良いんだ?

 

 

「うぐ……すまないな紫。これを説得するのは無理だ」

 

 

「確かに天魔は無理そうですね」

 

 

「私はと来たか。ああ山頂の奴らは自由に持っていって良いぞ」

 

 

「そうしたいのは山々ですが。生憎あの巫女は霊夢が求めている一人でしょうなので」

 

 

「だったら無謀に特攻します?」

 

 

またあの時のように鬼達に暴れられて死にたくなんぞ無いが、これ以上何も出来ないならそうするしか無い。

 

 

「いいえ。まだ手が残っているわ。そもそもそのために来たのだし」

 

 

「そのためにって、山の主への協力要請じゃ無かったですっけ……?」

 

 

「それは出来ればよ。本題は……この異変で関わらなきゃダメな子がいるでしょ?」

 

 

「関わらなきゃいけない子?」

 

 

「ええいるでしょ?首謀者に関わりのある子が」

 

 

関わりのある子……正直一人しか思い付かない……実際そうなのだろうけど。

 

 

「八雲紫……まさかお前!?」

 

 

「元から彼と仲良いし、山としても何もしないわけにはいかないでしょ?」

 

 

「だからってあの子を巻き込むな」

 

 

「巻き込まない方がおかしいでしょうよ。関係者を蚊帳の外にするつもり?」

 

 

「……」

 

 

「あの……紫さん、何が?」

 

 

「萃香は元から言うタイプじゃないけど、アンタもやっぱそうよね」

 

 

「五月蝿い」

 

 

「え?え?」

 

 

「ああ蓮司。簡単に言うと、にとりは姉の存在すら知らなかったって事だ」

 

 

「え……」

 

 

驚きかけたが、確かに昔にとりさんは姉などは居ないって言ってたな……

 

 

「いつまで隠している気?あの子には死ぬまで教えないつもり?」

 

 

「外部が口を出すな」

 

 

殺意を隠さずに表して来る。

関係ない筈だが、それはこちらにも届き怯みそうになるも、必死に耐える。

 

 

「外部が口を出すなと言われてもね……そうやって山の事しか考えないからこうなったんじゃないの?」

 

 

「……っ」

 

 

「山が大事なのも分かるわ。だけど山の都合であの子に散々な事させておいてそれでいてその扱いはみとりが可哀想じゃないの」

 

 

「……」

 

 

萃香さんもただただ紫さんの言葉を聞いている。

 

 

「トップのあんた達と彼女がそう言った以上変えろよは言わないけど、少しは腫れ物扱いじゃなくて対応したらどうかしら?」

 

 

「そのために、あの子を危険に晒せと?」

 

 

「異変と言うものは誰しも危険になるものよ」

 

 

「あの子はただの河童なのに、迫害を受けるかもしれない事をしろと?巫山戯てる」

 

 

口を突っ込めない。異変以前にこの件はどちらの言い分も分かる。

にとりさんだって大事だし面倒事になりそうなのは分かるからどうにかしたい気持ちも、紫さんのようにそのせいで不幸になっている人物がいるのも……

何が正解なんだ?

 

 

「なあ蓮司」

 

 

「萃香さん」

 

 

「何が正解だと思う?」

 

 

「正解って……」

 

 

そもそも正解があるのだろうか?

無いのではとすら思ってしまう。

 

 

「あー難しく考えるな。お前が思った事で良いよ、どうだ?」

 

 

「自分が思った事……」

 

 

正解じゃ無いにしろ、自分がどうするべきかが大事か。

 

 

「本人が居ないのに決まるものじゃ無いかなと……」

 

 

にとりさんがどうしたいのか全く分からない、どちらも正解な気だってするしハズレだとも思う……ならば隠したいとしても聞くしか無いだろう。

 

 

「成程な。じゃあ向かうか」

 

 

「え?向かうって?」

 

 

天魔の方を見る。今行けるのか……?殺されないだろうか……

 

 

「わざわざ紫が挑発しているあたり時間稼ぐって事だろうからな。お前が聞くって判断したんなら行こう」

 

 

「……そうですね」

 

 

この件をにとりさんが聞かずに進むのもおかしいなと思う。

にとりさんが勝手にしてくれって言ったならまだしも彼女は知りすらもしない。

だから……彼女の意見を聞く為に探す事にした。

 

 

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to be continued


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