幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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二百四話 忘れし盟友〜left behind clue.

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山の中、相変わらず飛べない人間は苦労するような道を越えながら進む。目的のにとりさんを探して。

 

 

「足が……」

 

 

獣道すらない山道は改めてキツく感じ、歩く度に痛みも増して来る。

あの時はよく登って来れたなと感心すらしかける。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

「ええ、大丈夫です。ここで止まるわけには行きませんし」

 

 

「ならいい」

 

 

そのまま黙々と進んで行くと河童の住処へとやっと辿り着く。

 

 

「ここか……」

 

 

そこから少し離れたにとりさんの作業場、そこに色々な図面が散らばっている。

 

 

「非想天則が見当たらないけど……今はそれどころじゃないか」

 

 

にとりさんを呼びながら探すが見当たらない。

 

 

「どこか出掛けた……じゃあないよな」

 

 

「どうした?」

 

 

「にとりさんが見当たらなくて……」

 

 

「そうは言ってもここまで来た以上は探すしかないだろ」

 

 

「ですね」

 

 

一応他の河童達の集会所にも向かう……人間嫌いだろうけど一大事なのでごめんなさい。

 

 

「さて、居ればいいけ」

 

 

突然言葉が途切れる。

正確には唐突な痛みに言葉が出なくなったからである。

 

 

「あっぐっ……」

 

 

腹部の唐突な痛み……殴られた?

 

 

「ん?何があった?」

 

 

萃香さんも何があったか気付いていない様子で腹を押さえ始めてから違和感に気付いたようだ。

 

 

「何が……いや」

 

 

うずくまりながら必死に考える。

何かにやられたと言うなら答えは一つしかない。

 

 

「河童か……」

 

 

透明技術あるもんな……そりゃ気付かないが……

 

 

「妖怪の山に何の用だ?」

 

 

「!?」

 

 

姿こそ見えないものの何度も同行したため声で判断出来る。

この声は……にとりさんだ。

 

 

「にとりさん……良かった見つかった……」

 

 

「え?なんで……と言うか全然理解出来ないんだが?」

 

 

会えなければどうしようと考えたが、とりあえず居ないなんて事はなくて良かった。

ただ姿は見えないし、なんか様子はおかしい。

 

 

「何なんだよお前、一体何しに来たんだよ!!」

 

 

「……ああ」

 

 

そうか、そうだよな……そうじゃなきゃ殴って来ないよな……

死んだら記憶が消えると言っては居たものの紫さんが原因じゃないのか?

もしかしてこのケースで何もしてないのか……?

 

 

「妖怪の山に人間……お前達もなんだろ」

 

 

「お前達も……何があったんです?」

 

 

「惚けるな、人間が妖怪の山に居るなんてまたアイツら関係なんだろ?」

 

 

「アイツら、なあ妖怪の山になんかあったのか?」

 

 

「アイツら……」

 

 

考えて理解した。人間云々言っている以上は守矢神社だろうと。

またって事は何かあったのか?

 

 

「人間がこれ以上山に入って来るなって!!」

 

 

「……そこか」

 

 

萃香が辺りを散らす。透明だったにとりさんが出て来る。

 

 

「え?何が起きた!?何をやったんだ?」

 

 

「にとりさん……」

 

 

「なんで……私を知ってるんだよ」

 

 

「前に会ったことがありまして」

 

 

「私に……人間の知り合いなんて居ない」

 

 

「それでも、前に会ってるんです」

 

 

「……」

 

 

流石に何も知らない相手に言うだけキツイよな……

自分だって知らない人間に知り合いだって言われても困るし……

 

 

「……お前、名前は?」

 

 

「え?」

 

 

「名前はって聞いてるんだよ。本気でやるぞ?」

 

 

「……小野寺蓮司です」

 

 

威嚇したような目で見て来る。

これで知らないとか叫ばれたらどうするか……ってか言われるだろうけど。

 

 

「……これか」

 

 

にとりさんが何かを取り出す。日記みたいに思えるが……

 

 

「それは?」

 

 

「さあな。私自身も記憶に無いんだが……」

 

 

そう言いつつカチャカチャと弄り始め、その日記を開く。

 

 

「……だろうな」

 

 

「うん?」

 

 

「知り合いかあ……記憶に無いんだけどなあ」

 

 

「にとりさん、まさか」

 

 

「……ああ、正直人間の知り合いなんて居ないし嫌だと思ったんだけどな」

 

 

「……良かった」

 

 

にとりさんが記録に残してくれていたらしい。

ほんとそのお陰で助かったわけだが。

 

 

「だが納得は出来ないんだけどなあ……」

 

 

「それでも飲み込んでもらうしか無いみたいだぞ」

 

 

「君の事は書いてないんだけど……本当に誰?」

 

 

「うーん私なあ……言ってもいいんだけど……」

 

 

「いや言えよ」

 

 

「なあ、どう言えば面白いと思う?」

 

 

「えぇ……」

 

 

変な事を囁かれたんだが……萃香さんは何をしたいんだ?

 

 

「おい、普通に答えればいいだけだろ?何悩んでるんだ?」

 

 

「普通にかー、普通でいいのか」

 

 

「何だよ本当に」

 

 

「そっか、じゃあしょうがないよな」

 

 

「……?」

 

 

「元妖怪の山のトップだな」

 

 

「はぁああああああああ!?」

 

 

にとりさんが驚いた表情で此方を見る。

残念ながら真実なので首を縦に振った。

 

 

「いやいや……はあ?」

 

 

「にとりさん落ち着いて……」

 

 

「落ち着けるか!?唐突に知り合いらしい人間に元妖怪の山のトップだって、私じゃなくても困惑するわ」

 

 

「……すみません」

 

 

そりゃそうだ。誰だってそうだわ。

 

 

「……それで私に用があったんだよな。本当になんなんだよ」

 

 

「……あー」

 

 

「おいなんだ!?何があった!?何だよその顔……私にこれ以上何を言う気だよ……」

 

 

……今の彼女に言って大丈夫なのか?

これ以上言ったら混乱で済まないんじゃ無いか?

 

 

「実はお前の姉が居るって話なんだが」

 

 

「萃香さん!?」

 

 

唐突にぶっちゃけた!?そして案の定にとりさん混乱してるよ。

 

 

「……え?え……えええええ、あー」

 

 

既に言葉が安定しなくなっている。

もうにとりさんは限界としか思えないんだが……

 

 

「それで、協力してくれないかって」

 

 

「……そうか」

 

 

「にとりさん、大丈夫ですか?」

 

 

「とりあえずだ」

 

 

「はい」

 

 

「状況を整理させろ。全く訳が分からない」

 

 

「……ですね」

 

 

自分でも上手く話すことは無理だと考え、紫の元へと連れて行くことを決めたのだった。

 

 

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to be continued

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