幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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二百十七話 妙手〜insane thing.

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「河城みとり、彼女がこれ以上何を?」

 

 

「アンタと同じよ」

 

 

「俺と同じって?」

 

 

「記憶が一部禁止されている。あの子の能力だけどね」

 

 

「禁止?それで何が?」

 

 

「この子達のこと分かるでしょ?」

 

 

「……」

 

 

少し考え理解する。

ぬえを通じて解放され、魔界に向かったわけだが……その記憶が無いとなると、必死になるってわけか。

 

 

「ならばどうすれば……」

 

 

「どうしようもないわ」

 

 

「え?」

 

 

「それは貴方自身が一番分かるでしょ?」

 

 

「……本当にどうしようもないのか」

 

 

自分がどうにかならない事がよく分かっているか。

悔しいが、事実のため言葉が出ない。

 

 

「だからどのみち、やらなきゃならないのだけど……邪魔ね」

 

 

「……説得や共闘が出来れば楽ですが」

 

 

「どれだけの時間封印されてて、開放されたばかりよ」

 

 

既に何も信じられないか……特に皆聖さんを大事に思っていた以上、目の前の敵全て薙ぎ倒さなければ止まらないだろうと……思った以上に厄介だ。

 

 

「手加減なんて出来ない上にね」

 

 

「本命はこの後……」

 

 

異変の原因である彼女をどうにかしないといけない。

地上の事も考えれば今すぐにでも解決したいのに、どうしようもない。

 

 

「やり辛いな……」

 

 

「あら?貴女はこう言った戦いに慣れてるのでは?」

 

 

苦戦する妹紅に紫が尋ねる。

 

 

「ん?」

 

 

「普段から散々やってるじゃない」

 

 

「アレは本気の殺し合いだぞ?」

 

 

確かに自分はスペカを介さないバトルはしているが、それは輝夜との全力の殺し合いであって他の人には通じない。

 

 

「最悪、その方法もあるのよ」

 

 

「……は?」

 

 

「確かに記憶を消されているだけ。あくまで利用されてるだけで、この二人には悪い所は一切無いかもしれない」

 

 

「そっそうだよな……?」

 

 

「ただ、それをどうにかするためのルールがスペカルール。それすらも出来ないんじゃどうしようもないわ。ルール制定前の人間と妖怪の殺し合いに戻るだけ」

 

 

「だからってそれじゃあ……」

 

 

「それに優先度だってある。この二人よりも人里の方が大事だもの」

 

 

「それはそうか……仕方ないな」

 

 

妹紅は全身に炎を纏う。今までとは違い本気で殺す気のようだ。

 

 

「それ……は……」

 

 

止めないとと思いつつ言葉に詰まる。

自分じゃどうする事も出来ないし、それが最適に思えるから……例えそれが知り合いだとしても……

 

 

「まあ焦んなって」

 

 

「神奈子さん……?」

 

 

焼き尽くそうとする妹紅を止めにかかる。

 

 

「邪魔してる場合じゃないだろ?」

 

 

「まあそうだな。急がなきゃならない」

 

 

「だったら……」

 

 

「だがウチの宗教的にあまり妖怪殺すのは良くないんでね。今後に響く」

 

 

「っ今それどころじゃないだろ!!」

 

 

「それも分かってる。だからこそ必死に考えたものを一つだけ試させてはくれないかとな」

 

 

「何かあるんですか?」

 

 

「本当は巻き込みたくないが、あんたが一番危険になる」

 

 

「……分かりました」

 

 

「……即答かい。流石に驚きだがね」

 

 

「大丈夫です」

 

 

大丈夫と決めつけるのは無謀でしかないが、このままでは何が起きてもダメにしか思えない。

なら例え危険であっても……

 

 

「それじゃあ悪いが妹紅暫く全力で時間稼ぎを頼んだよ」

 

 

「時間稼ぎ?」

 

 

「ああ、殺すなって事だ。頼んだよ」

 

 

「分かったがなんで……」

 

 

疑問に思いつつも全力で戦いに挑む。

しかし決死の相手を止めるまでは流石に至らない。

 

 

「あー紫。あんたも頼めるかい?」

 

 

「……」

 

 

「あの嬢ちゃんをフリーにしたいんだよ」

 

 

「ああ、大体やりたい事は理解したわ。細かくは分からないけど」

 

 

「そういう事だから」

 

 

「仕方ないわねえ……少しだけよ」

 

 

俺には理解出来ないが何か通じ合っているようで紫さんも向かう。

それと同時にさとりさんが此方へと向かって来る。

 

 

「何をする気ですか?」

 

 

「分かるだろう?」

 

 

「幾ら私とて話された方が楽なのですが……正気ですか?」

 

 

「これしかないだろう?」

 

 

「そこまでは言い切れませんが……そもそも危険に思えますし」

 

 

「……いいんですね?小野寺さん」

 

 

「詳しくは聞いてないですが……」

 

 

「悪いが時間が惜しい。聖白蓮がどういう人物か詳しく言ってくれ」

 

 

「え?えっと……」

 

 

何をする気だと疑問に思いつつ神奈子さんに伝えた。

 

 

 

「よし、分かった問題ない」

 

 

「……不安しかないですが」

 

 

「そんなん失敗してからだろう?」

 

 

なんと無茶苦茶なと思っていると神奈子さんは二人の元へと突っ込んでいった。

 

 

「星、村紗。戦いをやめなさい」

 

 

普段とは違う神奈子さんの言葉遣いに驚きつつ、何が起きるのかと固唾を呑む。

その言葉に反応が無いと見ると再び神奈子は口を開く。

 

 

「二人とも、この聖白蓮の話が聞けないのですか?」

 

 

えっ……神奈子さんの言葉に驚いていると、それは自分達だけでは無かった。

ずっと暴れていた二人が止まり此方を見る。

 

 

「想起」

 

 

その動きを止めたタイミングで、さとりが想起を始める。

一体何を……?

 

 

「巫山戯るな、お前が聖なわけ無いだろ!!」

 

 

やっぱりダメかあ……そりゃそうだろうけど。

 

 

「あれから神になったのさ」

 

 

「聖を愚弄するのもいい加減にしろ!村紗」

 

 

「ああそうだね。肉片一つ残す必要なんて……」

 

 

……しかし驚いた。激昂とは言え話は通じるのかと。

正直話なんて一切通じないと思ってたし。

ただこの状況は明らかにまずい気がするが……

 

 

「ああそうだね。バレちまっては仕方ない」

 

 

「認めていいんですか!?」

 

 

この状況で相手を怒らせただけって不味くないか?でも確かに最後の手的なものだったし望みにかけるという意味ではおかしく無いのか……?

 

 

「ええそうですね」

 

 

「さとりさんまで……」

 

 

妹紅さん……すみませんが、止める事は無理だったようで……

 

 

「ああ。だってそこにいるもんな」

 

 

「……え?」

 

 

「居るでしょう、分かりますよね」

 

 

「ちょっと待って」

 

 

「おい付き合え」

 

 

「付き合えって……」

 

 

さとりさんと神奈子さん、それにあの二人が見てるのって……俺!?

 

 

「彼女が時間稼ぎしてくれていたので助かりました」

 

 

「……でも男だが?」

 

 

「今の二人は憔悴状態なのもあって曖昧ですよ。流石に神である彼女では騙しきれませんでしたが」

 

 

「……無茶苦茶じゃ無いですか?」

 

 

「戦っていたのならまだしも、貴方は見ていただけですしね。あの二人も違和感はあったようでそこに潜り込む事が出来ました」

 

 

「相変わらず凄い能力だ……」

 

 

本当になんでも出来るのではとすら思う。

 

 

「しかし……いいんだよなこれで」

 

 

「ふむ、ならば二人は死んだ方がいいと」

 

 

「……二人とも、この人達は協力者です」

 

 

流石に折れた、そんな事言われたら折れるしかない。

色々な人に謝らなきゃいけない気がして来たが今はそうも言ってられない。

 

 

「聖……?」

 

 

二人が近づいて来る。

 

 

「近付かせないで下さい。流石にバレますので」

 

 

「え……無茶な……」

 

 

危険だと言われた意味を理解した。

偽物と気付かれたら間違いなく俺が狙われる。

 

 

「聖……大丈夫だったのですか?」

 

 

「……ええ、ですので心配はいりません」

 

 

「それは無いよ。ずっとこっちも封印されてて心配だったのに」

 

 

「……ですので助けに来たのです。ここの親玉を懲らしめて脱出しましょう」

 

 

「分かったよ」

 

 

「……妙だね」

 

 

「何がですか?」

 

 

その光景を見て神奈子は不思議に思う。

確かに騙せるように努力はしたものの、こんなあっさり信じ込むのもだいぶ不自然だと。

 

 

「ただの運が良い人間なのかねえ」

 

 

「能力じゃ無いかしら?」

 

 

その疑問に紫が口を挟む。

 

 

「能力だって?ただの人間だろう?」

 

 

「そうかもしれないし、違うかもしれないわよ」

 

 

「なんだよそりゃ……」

 

 

「それは……あの子に聞きましょうか」

 

 

「あの子って……成程ね」

 

 

地の底から新たな妖怪が姿を現す。

それは河城にとりにそっくりな赤い妖怪……河城みとりだった。

 

 

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to be continued

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