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「また……お前か」
「記憶に無いんですけどね」
「しかし……また来るか」
「来るに決まってるでしょうが」
いきなり驚かれたが意味が分からない。
逆になんで来ないと思ったのか。
「記憶を返してもらわないとなりませんし」
「あー……ああそうか」
しかし妙だな……この姿を見た限りこの前問答無用で地底に落としてきたのは彼女だ。
問答無用で襲って来ると思ったが……
「さっさと出すもん出して大人しくしな。面倒はごめんだよ」
「……」
「おい、何とか言ったら」
「まあ……構わないが」
「え?」
今、この子何て言った?
「むしろその方が好都合だしな」
「好都合って……」
何が好都合だ?今まで散々やっていた癖になんで急に変わった?
「驚いたわね」
「何がだ?そこの妖怪」
「あんたの態度が軟化したのも、こんな凶行に出るのもよ」
「別に、私の勝手だろう?」
「それで済む問題じゃ無いから言ってるのだけど」
それはそうだ、今回は確実に勝手で済む問題では無い。
「……」
「まさか、影響されたとか言わないわよね?」
「だと言ったら?」
影響された……なんの話だろうか?
関係あるように思えるが……全く分からない。
「冗談。としか思えないけど?じゃなきゃ今までの数十どころか数百年は何になるのって話よ」
「待ったからこそさ、一歩進めばそこから一方通行なのだから」
彼女に違和感しかない。唐突に協力的になる理由が分からないし、そもそもの行動全てが今までと変化し過ぎている。
しかし……その理由はと言うと分かるはずがなかった。
「そう……」
「それに、聞いた話ではあんたも賛成だったんだろう?」
「ええそうね」
「え……?」
紫さんも賛成?いやそれならなんで今協力してるんだ?
そもそもこの惨事に賛成って……
「紫、話が違うが?」
みとりを睨み続けていた妹紅も紫の方へと視線を変える。
その表情には憎悪が浮かぶ。
「別に、私はそんな事してないって言ってないじゃない」
「そうかよ。よおく分かった」
妹紅の手に火が宿る。一触即発状態に思える。
「紫さん……」
「一つだけ言い訳するなら、ここまでになるとは思ってなかったとだけ言っておくわ」
「それで、許されるとでも?」
「普通に考えてみなさい……地底に来ると思う?」
「……誰がだ?」
「彼よ」
「……俺?」
確かに因縁はあるのは分かるが……俺なのか?
だからこそ好都合……?一体何を……
「……」
折角ここまで来たというのに怖くなって来た。
今更逃げる事は出来ないのに、逃げるわけにも行かないのに。
「蓮司」
「にとりさん?」
「思い出すのが怖いのか?」
「……」
怖いが、その言葉すら出せない。
良い状況の筈なのに、何故か追い詰められている気分だ……
「私も思い出した身だ。怖いのは分かる」
そうだった、にとりさんも思い出したんだ。
しかもここに来る前。少ししか経ってないのに、既に落ち着いている。
「まあ私の方は自分から思い出したい身だったけどな。そこは違うかもしれないが……」
「いや……」
自分の知らない自分が居る。そんなのは戸惑いどころか恐怖でしか無い筈なのに、
それでも心配をさせないように……
「思い出すために歩き続けて、色んな人に協力して貰って……情けないままってわけにも行かない……そりゃそうだ」
「蓮司、大丈夫か?」
「ええおかげさまで。過去から逃げても変わりませんもんね」
「そうだな。それについでに言うなら」
「言うなら?」
「過去がどんなであろうとも、今のお前は私の中では変わらないよ」
「……ありがとうございます」
「ああ、終わったのかい?」
ふと横を見ると神奈子さんが妹紅さんを止めていた。
逆を見ると、星さんと村紗さんが状況を確認し合っているようだ。
その事からも彼女は嘘では無く本気らしい。
「やっと済んだか。待たされたこっちの身にもなってみろ」
「すみませんねと言いたいところですが……消したのそっちでしょうに」
「それもそうか」
「ただ、決意は付いた。俺はもう逃げないって」
「逃げようが関係ないけどな。決めた以上は逃げても能力を解くし」
「……」
決意を濁された気がするが……それでも腹を括って悪い事は無い。
拳を握り彼女の方へと一歩進む。
ここまでが罠だとしても死んでまた戻って来てやる。何度でも何度でも。
「それじゃあ……なんだ」
彼女はニヤッとした表情をし。
「お帰り。共犯者」
その言葉と共に、脳内に莫大な情報が入り込んで来たのだった。
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