幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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二百二十話 共犯者〜never dead that's way goes.

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「痛たたた……」

 

 

何があったっけ……?この痛みは……

 

 

「そういや……」

 

 

思い出した……思い出したのだが……

 

 

「本当にあった事なのか……?」

 

 

何かに襲われて……かなりの深傷を負った気がするのだが、痛みはあるが思った以上では無い。

 

 

「当然でしょ、いつまで寝惚けているつもりかしら?」

 

 

「……アンタか」

 

 

初対面で合ってはいるはず、ただ記憶を失う寸前聞いた声は彼女の物に違いない。

 

 

「何か不都合でも?助けた筈なのだけど」

 

 

「ああそっか……やっぱ助かったでいいんだな」

 

 

本来ならば何故助けたとかあんたは誰だとか聞くべきなのかもしれないが、今はそれどころでは無い。

死んだ筈の記憶があったからだ。

 

 

「残念だけど。そう言うわけでも無いのだけどね」

 

 

「……は?」

 

 

そう言うわけじゃない?何を言っているんだこの人は。

 

 

「簡単に言うと、肉体は死んでいるの」

 

 

「……まさか幽霊とか言い出さないよな?」

 

 

「幽霊とは少し異なるわね……肉体に無理矢理縛り付けているような感じね」

 

 

「なんで……そんな事を?」

 

 

「あら?死にたかったのかしら?」

 

 

「そう言うわけでは無いが、放置されてる気がしてならないのがね……」

 

 

「放置か……合ってるとは言わないけど私にはどうしようもないのよ」

 

 

「???」

 

 

色々とわけが分からない……ドッキリだとしても謎だがドッキリであって欲しいレベルだ。

 

 

「死に掛けだった貴方を死ねないように境界を切ったの。どっちかと言うと幽霊よりも亡者ね……」

 

 

「正直、言ってる事が理解出来ないが……」

 

 

オカルトなどに少し知識があったところでただの一般人だ。言ってる事が理解し切れない程非日常な事が起きている事だけが分かる。

 

 

「簡単に言うと……死ぬ筈だった貴方の死を切り離して無理矢理魂と肉体を繋いでいるけど、私にはそれを戻す力が無いってことよ」

 

 

「……つまり俺はどうしろと?」

 

 

このままゆっくり死んでいけとでも言われるのだろうか?

しかも全く知りもしない場所で。

 

 

「だから提案があるのよ」

 

 

「提案?」

 

 

何を考えている?何が出来るか分からないレベルの俺に何をさせる気だ?

 

 

「まず貴方には住んでいた世界を出てもらうわ。あの世界じゃ亡者の住み場所なんてないし、私も違う世界までは能力を維持出来ないわ」

 

 

つまり、近くに居ないと死ぬと言うわけか……ただ世界を出ると言うことは……

 

 

「……外国にでも行く気か?」

 

 

確かに、死体とかお化けとか動いてそうな国はありそうではあるが……言語大丈夫かな?

 

 

「違うわ。別の世界って言ったでしょ」

 

 

「……異世界転生とか言う奴か?」

 

 

正直、神様とかによるそう言った類のは別人にして欲しいんだが……

 

 

「そう言うのとも違うのだけど……幻想郷って言う場所に行ってもらうの」

 

 

「……会長の与太話がここでもか」

 

 

「会長の与太話?どう言うことよ」

 

 

「……ウチのとこの会長が幻想郷は存在するって喚き回っててな」

 

 

「……それも気になるけど今はそれどころじゃないわね」

 

 

「それで、幻想郷がどうかした?そこに何かあるのか?」

 

 

「そこにはありとあらゆる種族がいる。それこそ私の把握し切れない妖怪達なども」

 

 

「私の把握しきれないとは?」

 

 

「こう見えても私は幻想郷を作った一人なの」

 

 

「……え?」

 

 

年下とは言わないが、とてもそのような年齢には見えない。

会長が言う幻想郷の歴史に応じた年齢に見えない……と言うか作った人が生きてるとも思ってなかったし。

 

 

「他の賢者達も、力を持った妖怪達なども居る。そこにはもしかしたら貴方の魂を満たせる存在がいるかもしれないと言う話よ」

 

 

「かもしれないか……」

 

 

どうにか出来るならしたいが、それ以上の不安が募る。

妖怪達が当たり前にいるような世界で生きられるのかと。

 

 

「少なくとも、私は居ると思うけど。それくらいあらゆる能力が幻想郷には存在しているのだから」

 

 

「その分ただの人間は死にやすそうとしか思えないが……」

 

 

「死なないわよ?」

 

 

「……つまり身体が溶けても壊れても生きると。そう言うのじゃ生き返ったとしても困るな間違いなく」

 

 

「いいえ。それじゃあ身体が無くなれば貴方は消える。死の境界線が切れたとは言えないわ」

 

 

「だったらどうなる?」

 

 

「死ぬ前に巻き戻る」

 

 

「え……?」

 

 

「貴方は死ねないのよ。苦しくても肉体が滅びても巻き戻るから」

 

 

「……」

 

 

目の前の女性も人間ではないのだろうと思っていたが、まさか自分自身も人間とは言えないものになっているとは思わなかった。

 

 

「それとも、死んだ方がマシだったかしら?」

 

 

「いえ、生きている方が良いな」

 

 

確かにあの時、自分は死にたくないと願った筈だ。

今だって同じだ。死ぬよりはマシに決まっている……むしろ安全にも近いし。

 

 

「変わっているわね」

 

 

「周りがどう思ってるかまでは分からないがな」

 

 

ただ、そうか……成程な。

 

 

「つまりは幻想郷でその人物が見つかるまで何度も死に続けろと」

 

 

「それしか方法が無いもの。そうじゃなければ永遠に時は止まったままになるわ」

 

 

「……」

 

 

「私にも目的がある以上貴方に協力するけど、永遠に止まったままにさせるわけには行かないの」

 

 

「目的とは?」

 

 

「現在貴方に言えることは妖怪の地位の向上とだけかしら。兎に角今は幻想郷に向かってもらう事にしましょう」

 

 

「分かりました……が、一つだけ聞きたいことがある」

 

 

「何?」

 

 

「あんたの能力、詳しく聞きたい。生死を操るのか?」

 

 

「いいえ。私の能力は生死ではなく境界を操る方ね」

 

 

「その境界とは?」

 

 

「距離、場所、記憶、それこそ生死など様々なものよ」

 

 

「……記憶か」

 

 

「どうかしたかしら?」

 

 

「頼みたいことが出来た」

 

 

「聞くだけ聞いてあげる」

 

 

「他人の記憶の境界を操って欲しい」

 

 

「……だいぶ、危険な事を言うのね」

 

 

「死んだ筈の人間が目の前に現れたら恐怖でしか無いだろ?」

 

 

「それは事実ね、でもそれだけかしら?」

 

 

「……保険もある」

 

 

「保険……ね」

 

 

「何かしでかした時に、覚えておられると不都合な事とかあった時、手遅れとか困るしな」

 

 

そのせいで遠のいたならまだしも、関係修復不可能とか言ったらどうしようもない。

それならまだ初対面の方がどうにかなるから。

 

 

「分かったわ。貴方が死ぬ度に記憶から消えるように調整してあげる」

 

 

「有難うございます」

 

 

「いえ、これからの共犯者ですもの」

 

 

「共犯者か」

 

 

死にたく無かっただけなのに随分遠くまで来てしまった気がする。

ただ、人間に戻る為にはこれしか無い。

死なない為にはこれしか無い。

 

 

「それでは改めてようこそ幻想郷へ」

 

 

彼女が作り出したスキマの中へと進み出した。

 

 

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to be continued

 

長引いて本当にすみません、次回までまだ少しかかります。

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