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「……ここは?」
スキマを通ったが変な場所に出たな……と言うか船?
「おんや?」
他に乗ってる人間が居た様で驚かれる。
「ああすまない、驚かせた」
「そいつは構わないけどねえ……問題はそうじゃないさ」
「何かあったか?」
「アンタ、何者だい?死者かと思えばそうには見えないし」
「一応死んでは……」
死人では無いと言おうとして言葉に詰まる。
いきなり目の前の人間が鎌を持っていたのだから。
「ん?どうしたよ?」
「いや……」
彼女はそれが当然のように振る舞っている。
だからこそ、問い質して触発させたく無いが……
「(この子が妖怪って奴か……?)」
と言うかそう思わざるを得ない。
笑顔で鎌持ってる人間の方が絶対怖い……いや今も大概だが。
「ふむ、まあいいか。気になったのはお兄さん生きてるか死んでいるか分からないって事なんだけどさ」
「ああ……って分かるものなのか?」
「そりゃね。あたいはそう言うもんだし」
「そう言うもん?一体それは?」
不思議な言い方に戸惑う。
人間じゃ無いって彼女からそう言われたでいいのだろうか?
「だからこそお兄さんをこのまま連れてっていいか悩むわけさ」
「連れて行く?何処に?」
「何処って冥土にさ」
「……は?」
メイド?メイド喫茶……いや死者を気にしているなら冥土か。
「驚いてるが……ここが何処だか分かっているのかい?」
「いや……」
船には乗っているなと思ったが理解はしていない。
そのため周囲を見渡すと……
「川……」
海か川か、或いは池かもしれないが、乗っている船的に川かと判断する。
川岸が見えるが……赤い花が咲いている。
「当たりっちゃ当たりだけどもって所かねえ」
「何か違うのか?」
「三途の川って分かるかい?」
「……冗談だろ?」
「冗談では無いさ。死神のあたいが言うんだからさ」
「死……!?」
妖怪だと思ってたのにそんなものじゃ済まないんだが……
「まだ死んでない……ですが」
「なんだいなんだい改っちまって、別に取って食いやしないだろうよ」
豪快に笑いながら答える。
この態度はむしろ畏まった方がダメなタイプだ。
「はっはあ……」
「それでだ、お兄さんはどうしたい?」
「どうしたいとは?」
「このまま行くかだけど」
「戻る」
「即だね」
「死にたくないからここにいる訳だし」
「訳あり……ってそりゃそうだろうね」
「八雲紫に死にたくないなら幻想郷にと」
「はぁ……あのスキマ妖怪にかい」
「ええ。だから冥土に向かわずに戻らないとと」
「……一つ忠告しておくと、幻想郷はそんなに甘くはないよ?」
「それは既に言われた。でもこれしかないんだ」
「そう言うならいいけどさあ、仕事は増やさないでおくれよ」
「そりゃ……なあ」
死んでも戻るとは言われた。ただそれを信じ切っている訳ではないし、何より冥土に行ったらどっちみちアウトそうでここを切り抜ける必要があるのは間違い無い。
「分かってるならいいさ」
「やっぱり、死神とは言え誰かが死ぬのは困ると」
「いいや、あたいがめんどい」
「……?」
「どうした?」
「いや、今死神にあるまじき言葉を聞いたような」
「さぼりたーい働きたくなーい」
「……」
気にしたら、負けなのかもしれない。
「幻想郷で生きてくなら、深く考えずにいけばいいんじゃないかな」
「さっきと言ってる事違う!?」
「実際の話、幻想郷自体はいいとこだしそこまで危険じゃ無いけど、ここいらが危ないって話さ」
「……分かった、気を付ける」
三途の川の付近なんて確かに危なさしか無いか……
「……と言うか、結局どう生きればいいか分からないが」
「いい言葉がある」
「なんです?」
「常識に囚われるな」
「そんな……幼馴染みたいな事を」
早苗さんみたいなタイプの人何処にでも居るのか?
「実際そうなんだよ。外の世界の人間程自分で分かるものと考える。外じゃ起こり得ない事なのに」
「……まあ、それは」
この子が実は人間だったって言っても鎌持ってる時点で常識とは離れてるしな。
「おっと、そろそろいい具合か」
彼女の言葉を聞きつつ後ろを振り向く。
確かに陸地が見えて来た。
「それじゃ、ここを進めば無縁塚に出るから。後は勝手にしといてくれ」
「投げっぱなし……」
「そもそも本来乗客じゃ無いしな」
「それもそうか」
彼女からすれば急に船に乗っていた相手だろうし。
「これからどうするんだい?」
「……当初の目的を」
少々毒気を抜かれかけたが、本来の八雲紫に言われた目的を果たす準備をする。まずはそれ優先だ。
「そうかい、うーん……」
「一体どうしたんです?」
「いやちょっとこっちにも考え事がね」
「考え事?」
急に変わってどうしたと言うのだろうか?
「ああいや気が変わった、アンタに付いて行けばサb ……いやなんでもない」
「……?」
何か言いかけた気がするが、気にしても仕方ないか。
「と言うか勝手にしろって感じだったのに急に何故?」
「まあまあ。旅は道連れ世は情けって事で」
理由は不明だが同行者が増えてくれるのは有難い。
少なくとも彼女は強いだろうし……頼って良いだろうか?
「それじゃ終点ですよっとこっから先付いてきて下さいってね」
彼女が業務報告の様な物をした後、目の前に道が見えたのだった。
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to be continued