幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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二百二十二話 口実〜reasons to help.

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船から降りて岸へと着く。

ただし全く分からない。それはまあ当然ではあるが。

 

 

「ここは……?」

 

 

「無縁塚って所さ」

 

 

「……身寄りの無い墓場だったか?」

 

 

「そうさ。と言っても幻想郷ではここに入るのは外の人間だらけなんだがね」

 

 

「確かに……外の人間は身寄りが無いか……」

 

 

「っとここじゃ無いな、ついて来な」

 

 

「ここじゃ無いって何処へ?」

 

 

「結界の抜け穴さ」

 

 

「ちょっと聞き慣れない単語ばかりだが」

 

 

結界は確かあの妖怪が言ってた気がするが……抜け穴って……

 

 

「本来三途の川は人間じゃ通れないからねえ……」

 

 

「そう言われると……」

 

 

一般人が冥土普通に行ける方が怖いしな。

 

 

「ただそれはそれで抜け穴があるのは不味いんじゃ?」

 

 

「抜け穴って言うか、正確には綻びだし……何よりそれが無いと戻れなくなるんでねぇ」

 

 

「確かに、それは不味いな……」

 

 

自分同様戻れない人達も出て来るだろう。

それこそ三途に辿り着いたら詰みとか困るぞ……

 

 

「っとここか」

 

 

「何も無さそうだが……」

 

 

「いいやあるんだよ。見え辛いけどねえ」

 

 

あると言われても……そんなもの微塵も感じない。

と言うかさっきから普通の道に見えるんだが……

 

 

「なんだい疑っているのか?」

 

 

「疑っていると言うか……」

 

 

自分のそう言った才能が低いせいだろうか分からんとしか言いようがない。

 

 

「真っ簡単な話だが触ってみりゃ良い」

 

 

「……危なくないのか?」

 

 

「んー、腕が溶けるくらいかねえ」

 

 

「は……腕が!?」

 

 

慌てて触れようとした腕を引っ込める。

いきなり危険じゃないか……あんまりだ。

 

 

「なんでそんな危険な事をさせようと?」

 

 

「え?だって実際そんな事無いしな」

 

 

「……」

 

 

「そんな怒った顔すんなって。ただの冗談じゃんか」

 

 

「笑えない冗談だが」

 

 

「そりゃ悪かったね。真面目事な雰囲気は苦手でねえ」

 

 

そう言う性格なのだろうけど……正直信じたくなくなってきた。

ただ……この人居ないと抜け出せないしなあ……

 

 

「ほらここさ」

 

 

そのまま、彼女は鎌を使い見えない何かを割る。

……って割った!?

 

 

「ちょっと何して!?」

 

 

「ああ、問題無い。すぐ直せる所だ」

 

 

「直せるからって良いわけじゃ無い気がするんだが」

 

 

「いいのさ。死神の特権って事でね」

 

 

「……無茶苦茶だ」

 

 

呆気に取られつつ、後に続き墓場を進む。

本来ならば不気味な筈なのだが……それ以上の存在が目の前にいるせいで然程感じない。

 

 

「……」

 

 

「ん?どした?墓場だらけで怖いのかい?」

 

 

「いや……」

 

 

しかし、貴女の方が怖いですとも言い出せず。

 

 

「……仕事は?助けてもらいはしたものの、こちらにかかりきりでいいのか?」

 

 

なんとか誤魔化した。

 

 

「あー……」

 

 

すると彼女はバツが悪そうな反応をする。

 

 

「失言だったか?」

 

 

「いやその……これは内緒だけどさ」

 

 

「……む」

 

 

嫌な予感がしてきたぞ、逃げる事は出来ないんだが。

 

 

「……サボり中なんだよねえ」

 

 

……これ、巻き添い食らわないだろうか?

 

 

「……ちなみにいつから?」

 

 

「サボってた時丁度乗ってきたかな。こいつ利用すればサボれるかなって」

 

 

「……問題は?」

 

 

「大アリだねぃ」

 

 

「っ……」

 

 

彼女を追い越して全力で走る。

死神でさえもやばいと言うのにその上の存在の巻き添いなんてごめんに決まっている。

 

 

「おっとそりゃ酷いねえ」

 

 

悪いが俺は安全に出世して……じゃなかった目的があるからここで終わるわけには……

 

 

「……あれ?」

 

 

だいぶ遠くに逃げた筈なのに、真後ろに彼女がいる。

走ったとか飛んだようでは無いのに……瞬間移動?

 

 

「何が……」

 

 

「ちょっとだけズルをね」

 

 

「……能力か?」

 

 

「おっと知っているのかい、そう言うことさ」

 

 

「……本当に出鱈目な能力だらけだな」

 

 

また逃げた所で同じだろう。観念して後を着いて行くことにした。

そのまま話を続けながら道を進む。

 

 

「そう言えば」

 

 

「何か?」

 

 

「お兄さんも大概そうなもの持ってそうだけどね」

 

 

「え?」

 

 

大概そうなものって……能力の事か?

 

 

「気のせいかもしれないけどさ」

 

 

「外の人間なんだが」

 

 

俺は妖怪と違って人間だし……そもそも幻想郷の住人では無いぞ?

 

 

「外の人間でも持つ事は出来るってわけさ……っと」

 

 

話が途切れる。何があったか……

 

 

「おっとこりゃ不味いね……」

 

 

「不味いって、理解出来てないが」

 

 

唐突に不味い言われても不安になるだけで、何がどうとか分からないんだが……

 

 

「あー、えっとだ……」

 

 

「……上司にバレたとでも?」

 

 

「いいや、そうではないんだけどねえ」

 

 

本当にこれ以上は不安しか残らないからやめて欲しい。

 

 

「そろそろ仕事に戻らないとなって思ったわけさ」

 

 

「さっきまでサボりたがってたのにそりゃ無いだろ……」

 

 

しかし彼女は聞く耳を持たず、逃走準備をする。

 

 

「それじゃ、ここまで連れて来たしあたいはここまでって事で」

 

 

「本気かよ!?」

 

 

慌てて手を伸ばすが能力を使ったのか消えてしまった。

周囲には見えず途方に暮れる。

 

 

「……戻りてえ」

 

 

あの態度な以上間違いなく何かを感じ取ったのだろう。

足取りが重いと言うよりも、進む気が失せる。

 

 

「ただ、行くしかないか……」

 

 

鬼が出るか蛇が出るか。それともそれ以上のものが居るかもしれないな……

 

 

「……」

 

 

一歩一歩進む度に空気が重くなる錯覚を覚える。

そのまま歩いて行くとひらけた場所に出る。

 

 

「……彼女は」

 

 

その先で佇む少女を見かける。

しかしその姿は少女と言うよりは……

 

 

「例え話だったんだけどな……」

 

 

飲んだくれた、鬼が居た。

 

 

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to be continued

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