幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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二百二十六話 紅魔館へ〜steep road to death.

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「ん……」

 

 

目を覚まし周囲を見渡す。

見覚えない場所だ。

 

 

「平原?」

 

 

ここが何処だか分からない、ただ幻想郷なのだろう。

頭の中のこの記憶が到底夢などとは思えないし……

 

 

「倒れているわけにはいかない……」

 

 

やらなきゃいけない事があると足を進める。

まだフラフラだがそれを気にしない。

ただ、運が良かった。すぐに人と出会った。

 

 

「おいアンタ、そんなボロボロでどうした?」

 

 

「すみません。迷子でして」

 

 

「迷子?何処に行く予定だったんだ?」

 

 

「紅魔館です」

 

 

「……は?」

 

 

目の前の人物が固まる。

そこまでなのだろうか?

 

 

「……何が目的で?」

 

 

「少し、主人と話したいことがありまして」

 

 

「……」

 

 

男は悩みに悩んで蓮司に場所を伝えた。

何度も気を付けろよと言われた……そこまでなのか。

だが……その方が都合が良い。

 

 

「さて、こっちか」

 

 

聞いた方向へと向かう、空気が変わった気がした。

この奥に進めば、いずれは目的の妖怪に出会えるだろうと考えた。

 

 

「……」

 

 

しかしそうは上手くいかないようで……

 

 

「なんだこれは……」

 

 

進むにつれ霧に包まれて行く。

雨などが降ったわけでは無い筈だが……

 

 

「行くしか無いか……」

 

 

もっと周囲の事を聞いておくべきだったな……

ただ急がないと行けなかったから……そう急がないと……

そう思い駆けながら霧の中を進む。

 

 

「……大丈夫、大丈夫」

 

 

進む度に不安に思いつつそれを押さえつけて走る。

合ってるよな?霧のせいで分かりづらくなってきた。

 

 

「これは……」

 

 

目の前の水に突っ込みかける。

見辛いため気付いて良かった……落ちたら洒落にならないし。

 

 

「これが言われていた奴か……?」

 

 

湖の近くにあると聞いていた。ならば近いか……

そのまま湖の周りを歩いて行く。

ひたすらひたすら……

 

 

「……長く無いか?」

 

 

かなりの時間湖を回った気がする。

しかし一向に他の景色が見えない。

 

 

「霧のせいだけじゃ無いよな……」

 

 

ただひたすらに大きい。琵琶湖とか程では無いだろうが、そこら辺によくあるレベルでは無いと思う……

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

息が切れてくる。疲れも溜まって来る。

少し休めば良いのだが、休まずに進み続ける。

それは霧の中と言う不安からか、それとも異様に駆られてる使命感からか……止まる事は無かった。

しかし遂に問題が起きた。

 

 

「……あ」

 

 

足がもつれた。それだけと言えばそれだけなのだが、そのまま湖へと落下した。

 

 

「あぶっ……ばっ」

 

 

慌てて陸へと上がろうとするが、手が届かない。

動き続けて疲れ果てた身体が上手く動かない……

 

 

「嫌だ……嫌……」

 

 

服が水を吸って行く。身体が重くなって行く。

 

 

助けてという言葉も消えて行き……水底へと沈んで行った。

 

 

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「……」

 

 

目が覚めて思った事はまたあの距離を進まなければならないのかだった。

水底も苦しさしか無かったし、本当にあるのかと不安しか無かった……

 

 

「だから……」

 

 

行かないと、行かないといけないんだ。異変を起こさなきゃ行けないんだ。

行かなきゃ行かなきゃ行かなきゃ行かなきゃ……

 

 

「そうするように……決められているのだから」

 

 

その後、何回も死んだ。

何回も落ちた。

何回か何かに襲われた。

突然氷の塊が落ちてきたりもした。

 

 

「またここか……」

 

 

既に心は折れている気がした。

しかしそれでもやらねばならないので続けた。

ここまでやって着かないのなら本当にあるのか疑わなければならないだろう。

なのに決意は鈍らずに再び愚直に進み続けた。

 

 

「なんで、なんだろうな……」

 

 

自分でも分からない、分からないけど続けなきゃならない。

そうしなければならないから。

きっと成した時に答えが分かると信じて。

 

 

「……ぜぇ、ぜぇ」

 

 

疲れながらも考える。今回は大丈夫だと思い込みながら。

 

 

「霧の中には変わりないけど、少しずつはマシになっている筈……」

 

 

疲れきった脳内は都合の良い想像ばかり浮かぶ。そんな事は無いはずなのに、縋り続ける。

転んでは起きて、倒れては身体を叩いて奮い立たせる。

 

 

「あと少し、あと少し……」

 

 

そのまま一歩進むと、霧が晴れた気がした。

 

 

「……あれ?霧が」

 

 

霧が完全に消えたわけでは無い。しかし薄くなった気がする。

そのお陰で周囲が見渡せる。

 

 

「……幻覚じゃ無いよな」

 

 

今まで一度も霧が晴れたことなど無かったし、何より目の前にあるそれが到底現実だと思わなかった。

 

 

「赤い……赤くて……」

 

 

吸い込まれそうな、不気味なような真っ赤な建物に目を奪われる。

趣味が悪いとまでは言わないが……やはり現実離れしている。

 

 

「ただ……そうか」

 

 

紅魔館と言うには相応しい見た目とも言える。

ならば……確かに辿り着いたのだろう……

 

 

「良かった……」

 

 

喜ぶのも束の間、それ以上に身体が限界だった……

紅い建物を目に映しながら……気を失った。

 

 

危険な妖怪達の住処で。

 

 

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to be continued

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