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「ごふっ……」
痛い……急な痛みが……と言うか何があったんだっけ?
「げほげほ……」
「やっと起きたかしら?」
噎せていると、正面から声がする。
見ると翼の生えた少女が居る。
「君は……?」
「あら、まさかここまで来て知らないつもり?」
「ああ……ならば合っているのか」
「何が合っているか知らないし、どうでもいいけど」
そう言いつつ此方へと詰めて来る。
「不用心過ぎないかしら?それとも妖怪を舐めているの?」
「お願いがありまして……」
「……は?」
「そのためにここまで来て……」
「呆れた」
「……何が、ですか?」
紅い目で此方を睨みつけて来る。
一瞬気圧されそうになったが、上手く乗り切った。
「話を聞いてあげる立場ですら無いのに、お願いなんて通じると思っているの?」
「それは……」
言いたい事は分かる……ただ自分も。
「まあ、どうでもいいか」
目の前の少女は此方への興味を失ったかのように。
容易く殺された。
次に目を覚ました時には戻っており全てを理解した。
「……話すら」
やっと辿り着いたのに、こんなにあっさりと終わるのか……
「次は辿り着けるのだろうか……」
心は恐らく折れていた。しかし呪われたかのように進み続けた。
そうしなければならないのだから……
「……やってやる、やってやればいいんだろ○○」
そう意気込み……
「……え?」
今自分でなんて言った?誰の名前を呼んだ?
無意識だったせいで聞きそびれたが……
「……まあいいか」
思い出せない以上は仕方ない。今は兎に角行くしか無いのだと諦めて進んだ。
また湖でも館でも何度も死んだが、事態に変化が起きるのは思った以上に死ぬ前だった。
「また、何の用?いい加減にして欲しいんだけど」
唐突に目の前の館の主人はそう言った。
「……あら?また……初めての筈」
彼女は困惑しているようだ。
正直自分も何が起きたのか分かってないが、むしろ助かったのだと思う。
「貴方何処かで……」
「何度か殺されました」
「……へぇ」
ジロジロと眺めて来る。
「死んでるのに来るなんて馬鹿かしら?」
「……やらなきゃいけない事があったので」
「……咲夜」
その言葉と共に目の前に銀髪の女性が現れる。
また特別な能力を持った存在なのだろうなと……少なくとも出鱈目に思える。
「お茶の準備をしなさい」
「はっ」
そのまま消えて行った……瞬間移動?
「お茶ですか?」
「話を聞いてあげると言っているの」
「ああそう言う事ですか」
「つまらなかったらその時点で死ぬ。それは自覚しなさい」
「……はい」
聞いてもらえるだけマシなのだが……予想はしていたものの誰も彼もとてつもない存在なんだなと思い知らされた。
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「異変を起こして欲しい……ねえ」
「そのお願いに来ました」
「……正気?」
凄い戸惑うような顔を見られた。この人こんな顔も出来たんだな……
「正気です」
「異変を起こすなとか言われるなら分かるけど。むしろ私達に起こせって来るなんて異常でしか無いのだけど?」
「起こすな?と言う事は起こす気があったのですか?」
「いや無いわ、魔界で異変を起こした奴が居たらしいけど」
「魔界?」
「そこを詳しく話す気は無いわね。異変を起こして退治されただけだもの」
「成程……」
「だから異変を起こす気も無ければ、起こす意味もないの」
「……」
「少なくとも、何度も死んでいる人間らしい、実に人間らしく無い狂った提案だと思ったわ。だから特別に生かしてあげる」
死は免れたようだが……それではダメなのだ。どっちみち死ぬ未来しか無い。
「何かありませんか?」
「……どう言う事?」
「何か異変を起こす理由がありませんか?」
「……起こすかの提案では無くて起こさないとダメなの?」
「そうしなければ今生きても結局死ぬので」
「そう、どうでもいいわ」
「どうでもいいですか……」
当然そうなのだろうけど、なんとしても成し遂げなければ……
「やる意味も無ければ、義理もないそれで十分でしょ」
「……外に出たいとは思いませんか?」
「は?」
唐突に何を言い出すのだろうと顔で見る。
唐突にこんな話をすれば当然だろうが……
「ただでさえ、制限されてますよね?」
吸血鬼と言う存在の習性を考える。
当てずっぽうとも言えるが、周囲が霧だらけな以上全く無いわけでは無く思える。
「何を根拠に?」
思いついた事をひたすら並べてみる。
合っているとは限らないが、全て外れているとも思えない。
「当てずっぽうね」
当然それはバレるのだが……
「何かは当てはまる理由はあると思いましたので」
「そうね……確かにその通りかもしれないわね」
その言葉を聞き安堵する、多少はなんとかなりそう……
「ただ一つ、それで私を動かせると思うな。人間風情が」
「……そうですね」
手厳しい……成さねばならぬが突っ込み過ぎてもダメなのはきつい……
まだ話を聞いてくれているだけマシなのは確かだが……
「具体的な案をまず出しなさい。起こせと言って丸投げするつもりなら許せない」
「ああ……それはそうですね」
元からそのつもりは無かったが、そう言ってもらえるならむしろ助かる。
「貴方が本当にそのつもりなら、共犯者として協力しなさい」
「色々と考えてみます」
綱渡りしつつも協力が得られた。
目に付くような大きな異変を起こすための最初の一歩に……
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to be continued