ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
人里を離れ、誰も居ない事を確認する。
相手は待たされ過ぎたせいか若干苛立っている。
事のあらましを全て伝えた。
「……」
しかし彼女は何も答えない。どうしろと言うのだ。
「あの……」
「到底信じられない……と言うか嘘だと思ってますね」
「まあ……分からなくはないですが」
「ただ、貴方が危険人物だと思わされましたね」
「それも……分からなくないですが言ってくれ言われて言ったのにそれはあんまりでは?」
「こちらには信じられない理由があるのですよ」
「……聞いても良いですか?」
流石に理由が分からない以上はどうしようもない。
秘密などと言われたらどうしようもないが……
「紫様がそのような事をするとは思いません」
「知り合いなんです?」
正直、驚きだが……そもそも。
そのような事ガッツリするタイプなのではとしか思えんが。
「正確には、私の主人と友人です」
え、友人……は流石にいるか流石に。
しかし真実しか言ってないのだが……どうしたものか。
「そして紫様がそのような事をする時は、必ず幽々子様に話しますので」
「幽々子様……」
「おや、知り合いですか?」
「いえ、全然」
「でしょうね。知り合いと言ったら斬る所でした」
「物騒な……」
「冥界の人間と知り合いと言えば私でもキレますので」
既にキレているような気しかしないのだが。
ただ余計な事を言う必要は無いな……じゃなくて。
「冥界?」
あの死神が連れてく予定だった冥土の事か……?
いやいや……ツッコミどころだらけなのだが!?
「なんでそんな所に人が……?能力者だとしても」
「ある程度察せるでしょうけど、人じゃ無いですよ?」
「……成程」
力を持っているのは妖怪だと言う事は分かるのだが、本当に人間は一般人しか居ないな……
「その主人さんを心配されて話さなかったとかは無いでしょうか?」
明らかに、危険を通り越した事をしている自覚はあるし、だからこそ話さなかったと言われてもおかしくは無い。
「それは……うーん」
悩み始めたようだ。問答無用じゃなくて本当に良かった。
「そもそも、話している人物が同じなのか不安になってきましたけどね」
「え?同じだと思いますが……」
「自分が知っている紫さんとはかけ離れてそうなので。そんな事平気でしそうと思ってましたし」
「ああ、そう言う事では無いです。紫様ならやるでしょうし」
「……んー?」
いまいち理解しきれずにいる。
「紫様ならやりそうなんですが……しかし殆どは話してからやってましたし……その点での疑問点です」
「本当に仲が良かったんですね」
だったら、既に話している?いや分からない。
そもそもその幽々子さん自体を知らない以上、進展はしないだろうが。
「……正直、貴方の法螺話で済めばいいのですが」
「残念ですが」
そんなわけはないのだ。
「仕方ありませんね。一度戻って幽々子様に聞きましょう。私としても気になりましたので。では失礼しますね」
ああお買い物もしていかないとと喋りながら去ろうとする。
とりあえず危機は去ったのだと安堵する筈だったが。
「あの……」
「ああ。いきなり食いかかってしまって申し訳ありませんでした。つい冷静さを失ってしまう悪い癖が……」
文句を言われるとでも思ったのか謝罪される。
疑われる理由も自分の迂闊が理由だし文句は無いが……殺されかけたのはやり過ぎだが。
「文句が言いたいわけではなくてですね」
「では……まだ何か?」
正直自分でもなんで止めたのか分からない。
ただ止めないといけないと思ったからであって……
ああ、でもそうだ。このまま他で探し続けても見当たらないのだ。きっとだから自分は……
「自分も連れて行って貰えませんか?」
「……寝惚けてます?」
「いえ、特には」
「冥界って分かりますよね?死後の世界ですよ?人間が行く場所ではありません」
「行ったら死ぬとかは無いですよね」
「流石に行っただけで死ぬわけでは無いですね」
「なら行ってはいけないと言うわけでは無さそうですが」
「それはそうですが……」
信じられないと言う顔をしているが普通の人間ならそうだろう。
ただ自分は普通じゃないしな……
「行っただけでは死にはしないものの、命の保証は出来ませんよ?」
「守ってくれとまでは言いませんよ」
「狂人ですか?怖くなってきました」
このまま何をすればいいのか分からない状況を続けても仕方がない。
それに紫さんの知り合いだと言う以上はどう言う人なのか気になるのもある。
「本当に連れて行っていいのか怪しいですが……貴方に行く気があるのならば連れて行く方がいいのも事実ですが……」
そのまま彼女は少しうんうんと悩んだ後。
「……分かりましたが、失礼のないように」
「気を付けます」
観念したかのように受け入れた。
最初に断った冥土に行く事になるとは思わなかったが、これも異変のためだ。
「先が作れるといいけど……」
本当にその先があるのかと頭によぎりつつ、無理矢理振り払ってこれからやるべき事を考えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
to be continued