幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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二百三十話 白玉楼〜mansion of the dead.

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冥界に行くためには三途の川を渡る必要があるかと思ったがそんな事は無かった。

吸血鬼達のように翼などが無いのにも関わらず空を飛んでいる……事はもう気にしない事にした。だって幻想郷だからって理由で済みそうだし……

 

 

「落ちないでくださいね」

 

 

「気を付けるとは言いたいですが……」

 

 

捕まってるだけな以上はどうする事も出来ない。

手を離されたら落ちるわけだし、こっちから何か出来るわけでも無い。

 

 

「少なくとも、気は張っておいてください。即死するので」

 

 

「……ですね」

 

 

今は雲の上を飛んでいる。死ぬなら良い方でこの高さだと絶対身体がバラバラになるだろう。

……流石にそんな死に方はごめんだ。

 

 

「普段人を乗せたりしないから、少し不安はあるんですけどね」

 

 

「何故今そんなことを言うんです?」

 

 

脅しか?脅しなのか?

いや、違うな。どっちかと言うと天然なんだろうなこの子。

 

 

「でも大丈夫でしょう」

 

 

何をどうして大丈夫になったかは分からない。

ただ自分に出来ることは信じるしか無いと思いつつ、空を飛んで行く。

 

 

「しかし、冥界って空にあるのだろうか?」

 

 

「何故ですか?」

 

 

「今、飛んでるわけですし」

 

 

この前三途の川を渡った筈なのだが、その時は地上を動いていた。

到底あの舟が空を飛ぶと言う事は無いように思えたが。

 

 

「大丈夫ですよ。目的地は此方なので」

 

 

実際違うと言われてもどうする事も出来ないのが結論なのだが。

ただ、合ってるなら何も心配はない。

 

 

「っとこの辺ですね」

 

 

彼女が動きを止めると雲の切れ間に差し掛かる。

そこから見えるものは……

 

 

「いやいや……いや、え?」

 

 

気流が発生している。なんかこの距離でもゴーゴーと風の音が聞こえるレベルなんだが……

 

 

「どうしました?」

 

 

「……そこ?」

 

 

「そうですが」

 

 

え?明らかに人を引き裂きそうなアレに突っ込むの?死ぬんじゃ無いかな?

 

 

「と言ってもここから結界に入るしか無いのですが」

 

 

そっかあ、そうなのかあ……なら仕方ないな。

 

 

「死んだらすみませんね」

 

 

と言うか多分死ぬ、俺は妖怪達と違うもん。

 

 

「人間でも、死なないとは思いますが」

 

 

「そこは断定して欲しかったかな……」

 

 

死んだら仕方ないで割り切ろう、どうせ一人じゃここまで来れないのだから。

ならば次回気をつければ良いと。

恐怖は消え切らず、飛び込む瞬間目を閉じた。

 

 

「……生きてるな」

 

 

むしろ傷すら無かった、よかったよかった。

 

 

「だから言ったでしょう」

 

 

そう言う彼女はふんすと、自信満々な振る舞いをしている。

今自信満々になるなら最初からそのままでいて欲しかったと……言い出すのは良くないな。

 

 

「ええ。疑ってしまってすみませんでした」

 

 

それ以前にここは謝るべきだろうとしっかり謝罪する。

 

 

「構いませんよ、それよりここです」

 

 

「……なっ!?」

 

 

雲の隙間からはこのような建物は見えなかった。

見逃していた?いや目を閉じていたとはいえその前から確認出来た筈だ。

そう考えると急に現れた気がするのだが。

 

 

「ここが、私や幽々子様が住む白玉楼です」

 

 

妖夢さんから降りた後、外を周り門をくぐる。

 

 

「……これは」

 

 

ここは本当に冥界なのだろうか?地上と違いが分からない。

死者の住む場所と言うのに全く生者と住処が変わりがないのだが。

そして何より……

 

 

「広いってレベルじゃ……」

 

 

屋敷も庭も異様な程の大きさを持つ。

紅魔館も大きかったが庭園などを含めるとこちらの方が広いだろう。

そもそも日本にこれ程の屋敷があったっけレベルなんだが。

 

 

「そこまでですか?」

 

 

「ええ。それに素晴らしいとしか言えなくて」

 

 

歴史的建造物などに興味があるわけでは無いが、誰だってこれを見たら感動するだろ。特に日本人は。

 

 

「それは嬉しい限りですが。生憎今は案内とかは後にしませんと」

 

 

「と言うと?」

 

 

「まずは、幽々子様の元へ向かいます。付いてきてください」

 

 

周りが気になりはするが、立ち止まるわけにもいかないか。

 

 

「どうしました、こっちですよ」

 

 

「あっすみません」

 

 

待たせるわけには行かないと後を追う。

 

 

「あら……?」

 

 

庭に誰かを見かける。一瞬屋敷仕えの人かと思ったが……そのような雰囲気ではない。

 

 

「妖夢ぅ、遅かったじゃない」

 

 

「幽々子様、すみません」

 

 

幽々子様、妖夢さんが言っていた人だな。

 

 

「それに、その人は誰かしら?」

 

 

「……冥界に来たいと言った人物です」

 

 

「……えぇ、狂人?」

 

 

酷い言い様だ……いや事実だな。

と言うかそんなところまで主従で同じなのか……

 

 

「理由は一応あるんです」

 

 

「無いと言われたらどうすればいいか分からなかったけどねぇ」

 

 

「それはそうかもしれませんね」

 

 

「それじゃあ、理由を聞いても良いかしら?」

 

 

そのまま彼女はこちらの話を聞く気だが……

なんだか、目が輝いていないだろうか?

いきなり来たわけだし、不審とかそう言った感じな目で見られると思ったが。

 

 

「あぁ……成程」

 

 

「どう言う事です?」

 

 

「冥界だと、何も無いので幽々子様も聞く事が楽しみって事ですよ」

 

 

そうなのだろうか?確か今は咲いてないが、形的に桜の大樹であろうものもあるし何も無いと言った程では無いとは思うが。

 

 

「一つは紫さんの知り合いだと言った事」

 

 

「貴方も紫と知り合いなの?」

 

 

「ここに連れてきたのは彼女ですし」

 

 

「ふむふむ、それでそれで?」

 

 

一つ一つにワクワクしている姿がよく分かる。

歳を取っているようには見えない。ただ少女にも見えない彼女だが、その振る舞いは少女のように見えた。

 

 

「もう一つ、異変について探りに来ました」

 

 

「異変?」

 

 

そちらに関してはキョトンしている。

まあそうか、異変については関係無い筈だし。

 

 

「彼が、もうすぐ異変が起きると言ったので私が少し突っかかったんです」

 

 

「妖夢から?珍しいわね」

 

 

「それ程、看過出来なかったので」

 

 

「そうねぇ……確かにそれを言われると気になっちゃうものねえ」

 

 

「実は……」

 

 

「まぁまぁ、長話になりそうだしお茶でも飲みながらにしましょうか」

 

 

……冥界にお茶ってあるのか?いや言った以上はあるんだろうが。

しかし、少女みたいかと思いきや、マイペースだな……

 

 

「異変もそうだけど、紫について聞きたいからね。聞かせてちょうだい」

 

 

「……大した事は知りませんが」

 

 

「構わないわよ」

 

 

そのまま中へと案内された俺は、知ってる事を全部話す事にした。

少なくとも彼女は何かありそうだから、そう思って。

 

 

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to be continued

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