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流されやすいのは自覚している。
その癖変な所で意地を張る。
殺されたのにそれでも向かうのは、だいぶ異常だと分かりつつ進む。
そこに生き返る手掛かりが……そして異変があるから。
「小野寺さんですか?」
「そうです……が」
また冥界に行く必要があると人里を歩く。
そこで運良く妖夢さんを見かけたと思ったら……何故か此方の事を分かっていた。
「幽々子様がその気があれば私に言ってくださいとの事です……そもそも貴方にとって何のことだって話かもしれませんが」
「いえ、大丈夫です」
幽々子さんがと言うことは……間違いなく覚えている?
「大丈夫ですって……なんで……いや詮索はやめておきましょう」
従者は従者として出過ぎないと言わんばかりに引き下がる。気になる事は尤もなはずなのに。
「それで、どうしますか?何も無いなら私は帰りますが」
「いえ、行きますよ。約束しましたので」
「……正気?そもそもどんな場所だか分かっているのですか?」
「はい。それで大丈夫と言っています」
「……分かりました」
一度だけ不安そうな顔で此方を見て表情を切り替える。
そのまま、前のように白玉楼へと案内された。
「……そう、来たのね」
「いや幽々子様?幽々子様は小野寺さんがくると思っていたのだからお誘いしたのでは?」
「そうねえ……」
「幽々子様、どうされたのです?」
「妖夢には申し訳ないんだけど、少し下がっててちょうだい」
「……分かりました」
不服と言うよりは不思議そうに、それでも主命ならばと言った感じで下がって行った。
……っと去って行った妖夢さんに注目しているばかりでは無いな。
「本当に良いのね?」
「……その前に聞きたい事があるんですが」
「何かしら?」
「なんで……記憶を?」
あの人が言う限り例外など無い筈なのだが……
「ああ、それは私が紫に頼んだからよ」
「頼んだ?」
「ええ。私の記憶は残してと」
「……出来たんですね」
正直、無差別に起こる事だと思っていた。
ただ、賢者ともあればなんだって可能みたいなものか。
「ええ。忘れるわけにはいかないもの」
「蘇る……ですね」
自分の最終目的。忘れる筈など無い。
「そのために貴方には協力して貰うわ。覚悟はいいのでしょう?」
「勿論」
彼女の手を取る。既にやると決めたのだ。
そのままあれやこれやと計画を進めていくうちに……ついにあの日となった。
レミリア・スカーレットによる紅霧異変が起きる、その日に。
「幽々子様。お話が」
「どうかしたの?」
いち早くそれを察知した妖夢が主人へと伝える。
「地上にて、吸血鬼達が異変を起こしたようです」
「成程……ねぇ」
「おおかた、彼の言う通りとなりました」
「と言う事は今度は私達ね」
「はい」
主人に意を唱える事はない。
計画を聞いた初めから彼女は粛々と従う。
「それじゃあ妖夢、引き続きお願いするわ」
「幽々子様は?」
「少し様子を見てくるわ」
そのまま中庭へと向かい。桜の木の前に着く。
西行妖。そこの前に彼の姿もあった。
「あっ幽々子さん」
「この子でも見ていたのかしら?」
「はい。満開になれば、今の状態はもう見れないと思ったので」
「ええ、確かにそうね」
満開になる事を考えると今のこの光景も物珍しくなるのだろう。
「西行妖が満開になれば私も蘇る」
「まるで魔法のようですがね。ただ幻想郷だからと納得出来るのもあるような」
「魔法のように思えるかもしれない。けど必要な事だからね」
「蘇る為に桜を調べて、色々とやってきましたしね」
「そうね……数ヶ月とは言え貴方だって待っていてくれたものね」
「約束しましたしね」
自分が出来る事はそこまで無かったが、それでもやれるだけの事はした。
「吸血鬼が異変を起こしてもうすぐ秋になるわね……だったら次の春かしら?」
「そうなりますかね」
春度を集めると言って混乱したが考えるのをやめたのでセーフだった。
「出来たのはいいけど、結構かかるのよねえ」
「いいじゃないですか。時間が足りないよりは」
「それはそうなのだけど……」
何か気まずそうだ。
「何かありましたか?」
「……まだまだ時間があるから小野寺君にお願いしたい事があるの」
「それは構いませんが」
むしろ頼られるなら好都合と言える。
「向かって欲しい場所があるの」
「場所……ですか?」
正直何かをしてくれだと思ったから驚いた。
「永遠亭。地上にそう呼ばれる場所があるの」
「永遠亭……」
正直幻想郷の場所など全然知らないに等しい。何処だか予想も付かない。
「多分紫に頼れば分かるはずよ」
「分かりました。そしてそこでは何が?」
「不老不死がいるらしいわ」
「不老不死……は?」
長寿や幽霊までいるならおかしくないのか?
いやでもと言う事は……
「貴方に関わる何かがあるかもしれないの。更に言うなら私の後押しになるかもしれないし」
「確かに……そうですね」
言う通りだ。不老不死ならこう言った現象について知っているかもしれない。
「だから本格的に春が来る前に行って欲しいと言うわけなの」
「分かりました」
即答した。一番重要な事かもしれないし。
「ええ。それじゃあお願いするわ」
一応まだやる事があるかだけ確認し、無かったため妖夢さんに連れられ地上へと戻る。
永遠亭と言う言葉に心を揺さぶられながら。
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「不死……ね本当に羨ましいわ」
死んだ事に後悔なんて無かったはずなのに彼が来てから生き返りたいと思ってしまった。
だからこそ前は目にもくれなかった不死に妬みを覚える。
「不死になる方法があるなら蘇生する方法もあるかしらね」
西行妖が満開になれば私は蘇れる。
ただしそれは私が埋まっているからであって彼は違うのだ。
「その人達を頼れば私だけじゃなくて貴方も……」
蘇れるだろうと思ってふと思い出した。
「ごめんなさい。貴方はまだ死んでなかったのよね」
冥界に居たため忘れていた……
いや……彼が心地良すぎて死んでいたと勘違いした?
彼は扇動すると聞いていたけど実際それ以上にさえ思わされた。
「無事に戻ればいいのは確かだけど……」
確か、確かなのだが……
「でも小野寺君……貴方は……」
元に戻ったらここには二度と来ないでしょう。
そう思うと胸がざわついた。
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to be continued