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永遠亭と呼ばれる場所がある。
この竹林の中なのだが全く見当たらない。
そもそも里の人達でさえ噂ではと言った話だったし、存在しているのかすら疑問があるようだった。
「迷いの竹林と呼ばれているらしいけど……」
この先に人が住めるのか?
いくら道を覚えているとしても、ふと気を抜いたら迷うぞ絶対。
「案内役すらいないのはどうにも……」
少し幽々子さん達から聞いてくるべきだなと思いつつも進む。
ただ同じ場所を繰り返しているようにしか思えない。
「……帰り道も無いとなると。ん?」
何も居ないと思って居たが、何かが居る?
その見た目は兎に見えるのだが……
「あっやばっ」
こちらが気付いた事を察したのかそそくさと逃げ……っとちょっと待て。
「待って待って、逃げないでくれ」
慌てて追いかける。
見失ったら本当に碌な事にならない。
「速っ……」
うさ耳が生えていた以上人間では無いのだろうけど、身体能力の高さに驚く。
気を抜けない。抜いたら見失ってしまうから。
息を切らせながら必死に追う。
同じ場所を走っていると思われたが……それが見えた。
「ここは……いや、ここが?」
白玉楼にも劣らない古屋敷が見える。
そもそも竹林にこのような場所があったのかと疑問に思う。
「ただ、それつまりはここでいいって事だよな?」
竹林にあると言う永遠亭。
どう考えてもこことしか思えない。
「げげっ、追いついてんの?」
先程の兎が驚いたように此方を見る。
完全にやらかしたと顔を手で覆った。
「全力で追いかけましたんで」
「え?何?ストーカー?」
「違います……」
確かに周りから見たら、ストーカーとか危険人物に見える可能性はあったかもしれない……
「じゃあ何さ。意地悪でもしたかったのか?」
「永遠亭に用があったんです」
「は?ここに、人間が?」
人里の者達は確かにここを知らなかったが、全く人間が来てないのかと。
「お兄さん病気ってわけでも無さそうだけど?」
「病気?何の話です?」
「えぇ……それすら分からず来たんだ」
「少し会いたい人が居まして」
「お師匠様かな?生憎忙しいよ?」
「お師匠様ってのが分かりませんが……」
「八意永琳じゃない?違うの?」
「えっと……」
と言うか誰一人名前で言われても知らない。
人里でも何も情報が手に入らなかったしな……
「流石に姫様では無いだろうし……」
「あの……」
「何?」
「不老不死って分かります?」
「……は?」
流石に幽々子さんがあの場面で嘘を言うとは思わないけど、それでも不安になって聞いてしまった。
「何それ?」
……不老不死があると聞いたが、もしかしてここじゃなかった?
ならまた竹林を走り回る事になるのだが……
「知らない知らないっと。さっさと帰った帰った」
……なんかおかしいと言うかなんというか。
さっきまでは少なくとも聞く気がありそうだったが、急に追い出そうとしているように思える。
「……本当に知らないです?」
「知らないってば。少なくともここいらには関係ないよ」
……なんか自爆してないか?
「出来れば話せればと……」
「……」
「どうしました?」
「何処で聞いた?」
雰囲気は変わり本気の顔で睨み付けてくる。
「……知り合いからですね」
詳しくは言うわけにはいかないが、流石に何も言わないわけにも行かず。
「ふぅん」
「どうにかなりませんかね……」
「生憎だけど、姫様に会わせたくないね」
姫様、先程も言っていた人か。
その人が不老不死なのか……?
「これ以上居座るなら実力行使に出るけど?」
「……うぐ」
確かに知れたとはいえだから良いとはいかない。
無理して追いかけて来た以上はもう来れない可能性すら考えられる。
紅魔館の……比じゃないしなここ。
「そもそも会ってくれないだろうけど。面倒事は避けたいんでね」
手から爪を剥き出しにする。
流石に危険で済むレベルじゃないやつだ。
「じゃあ数えるよ、さーん、にー」
「待て待て待て」
スピードがおかしいし、逃げるにしたって絶対碌な事にならない。
「いちー」
あっダメだ間に合わな……
「にー、さーん」
……増えた?
「……何してるんです?」
「何ってこっちの台詞よ。面白そうな事してるじゃない」
正面を見ると、気付けば人が増えている。
黒い長髪で……凄い綺麗な人だ。
「でも姫様……」
この人が姫様?確かにそんな雰囲気はある。
「ただでさえここに人間なんて珍しいのだから追い出しちゃつまらないでしょ」
つまらないって言った?そんな理由で決められるのか???
「姫様、と言うか珍しく出て来たんですね」
「まあねえ。永遠亭の前で揉めてて何だろうって出たらこれだったし」
「ああそれはすまねっす」
「いいわよてゐ。その分退屈しのぎは出来そうなのだから」
そう言うと此方をじっと見てくる。
「それで貴方。永遠亭に何か用かしら?」
「……不老不死の方が居ると聞いて来ました」
「食べても不死にならないわよ?」
「いえ、そう言うのじゃないです」
金魚とかでそんな話を聞いた事はあるけど……どちらにせよ人の肉を食うってないだろうに。
「少なくともここで話す話ではないわね。来なさい」
「分かりました」
彼女に誘われるまま、永遠亭の中へと踏み入れた。
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to be continued