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魔法の森を抜けて、人里で一晩泊めて貰った後博麗神社へと着く。
長い階段で足がパンパンに腫れながらも、なんとか登りきった。
「お前達遅すぎだろ?ふざけてんのか?」
「いやいやいや……そもそも遠くまで頑張って歩いて来たんですよ!?」
「あー……飛べないなら言えよな?」
「言う前に飛んでっちゃったでしょうよ……」
「そうだっけか?」
「……」
諦めた目で見つつ、境内へと辿り着く。
ただ……見た感じ寂れているように見えるんだが……
「あれ?巫女さんは?」
魔理沙さんに尋ねると親指でこっちこっちと指示する。
宿舎のようだが……昼だよな今?
「まだ休んでるの霊夢は」
「え?これが普通なんですか?」
「普通よ。神社に一人だからってダレてるわ」
「えぇ……」
巫女だったり魔女だったり、この幻想郷に来てから色々と夢がぶち壊されてる気がするんだけど。
強く生きよう。アリスさんと言う希望がまだいるし。
「え?宿舎行けばいいんですか?」
「機嫌悪ければぶっ飛ばされるぞ?」
「酷くないですか?」
「だったら機嫌良くなるようにすればいい」
「どうすりゃいいんですかねえ」
「神社に来たらやる事あるだろう?」
「……いや神社って年始しか来なかったので正直何をすればって」
「魔理沙、本当にあの巫女にお賽銭なんて必要だと思ってるの?」
「いやあ、私はご機嫌になる方法を教えただけだぜ?」
「それもそうだけど……」
「お賽銭ですね、分かりました」
拝殿前まで歩いて行ってお賽銭を用意する。
えっと……あまり出せないし無理もないように千円くらい……
「あっ……」
やべえ……ここの通貨持ってないじゃん。
特に小銭ならまだしも……お札なんざ入れても価値無いよな。
「……また今度ってことにしよう」
そうして後ろを向いて戻ろうとするが。
「……」
宿舎の方から誰かが顔出して睨んでいる。
あれが……博麗の巫女……あれが!?
「……入れられるものはないんだ」
「お賽銭入れてくれたの?」
拝殿から戻ってきた時に巫女さんに声をかけられた。
と言うか……こっちに恐ろしく速いスピードで掛けてきたし。
「えっあの」
「幾ら!!幾ら入れてくれたの!!」
「霊夢、彼が困ってるでしょう?」
そのままアリスさんが助け船に来てくれた……助かった。
「そっそうね、ごめんなさい。久々にお賽銭が入ったことに驚いちゃって」
「そっそうですか……」
入れてないなんて言い辛いんだが。
「それで、幾ら……」
「霊夢、こいつが面白そうな情報持って来たから来たんだぜ?」
「え?何よ?」
「春に異変が起きるらしいぜ?」
「はぁ?この前吸血鬼達が異変起こしたばかりじゃない。第一なんで知ってるのよ」
「未来の事を知っているらしいぜ」
「……能力?」
「正確には死んでこの時期に戻ったから知ったので、そう言う能力ですが」
「ふーん」
そう言うと賽銭箱の方に向かう、あっまずい。
「で?どうすんだ霊夢?」
「どうもこうも、紅霧異変の時は私だったし魔理沙が解決すればいいんじゃないの?そもそもそう言う話は信用できてないし」
そう言いながら賽銭箱を漁る、そしてこっちに詰め寄ってくる。
「ちょっと入ってないじゃないの!!」
「すみません……幻想郷の通貨持ってなくて」
「……はぁ?」
「彼は外の世界の人間なのよ」
「そんな事言われたって元の世界に戻す方法なんて知らないわよ」
「彼は今すぐ戻る気なんてないから」
「え?」
「まあ……その前にやらなきゃいけないことだらけですからね……」
「そう……なら戻りたい気持ちは?」
「なくは無いですが……だんだん薄れて行ってますし……その前にやる事全部やってからですかね」
「結構わがままなのね……死に戻りなんてあるらしいのに」
「まあ、そうですね」
「要件は分かったわ、ただそれについては魔理沙に任せると思うけど」
「霊夢もやる気出せよな?」
「巫女は起こってから動くのよ」
「なんかそう聞いた気がします……」
「まあ、何か異変が起きていたら言ってちょうだい。未来の話は許さないけど」
「分かりました」
「それと……次はお賽銭持ってくる事。分かった?」
「分かりました、出来ればですけど」
「気概があるだけいいわ。それじゃあまたいずれ」
そう言って去っていく。
その姿は凄くカッコいい気がした。
「アイツあの後ゴロゴロするだけだぜ?」
前言撤回した。ダメな人だ。
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「それじゃあどうすんだこれから?」
「伝える事伝えましたし、少し幻想郷を見てみたいなと」
「ダメだ」
「ダメよ」
一斉に却下された……なんでだ?
「まず、貴方はこの幻想郷について知らな過ぎるでしょ……そうするとしても少し勉強してからにしなさい」
「えー」
「我儘言うんじゃないの……寺子屋みたいにキツくはしないから」
「分かりました……」
「それにだ」
「え?まだ何かあるんですか?」
「春に何もなかったとかあるかもしれないしな。逃す気はないぜ?」
「……マジですか?」
「逃すわけないだろうよ」
「分かりました……それで俺はどうすれば……?」
「アリス、大丈夫か?」
「構わないわよ、まだ聞きたいことも多いし」
「と言うわけで異変解決まではアリスの家な」
「えぇ……」
「文句あんのか?」
「無いですが……」
緊急事態の一昨日みたいではなく長期滞在になるのか。
何というか地霊殿と違って本当に一軒家でそこまで広いわけじゃ無いし……流石に緊張するんですがねえ。
ただ……拒否権も無いか。
「分かりました、迷惑じゃ無ければお願いします」
「迷惑では無いわ、上海も喜ぶだろうし」
「ほんと……分かっていますが彼女完全に人形とは逸脱してますね……」
しかし幻想郷について学ぶか……魔法とかについても教わるのかな?
そしたらもしかして空飛べるようになるのか?
「少なくとも、終わっても常識を覚え切るまでは帰さないから」
「やっぱスパルタなんじゃ……?」
「スパルタ?」
「慧音が言ってたぜ鬼みたいだって」
「へえ……」
「違います!!違いますってば!!」
そう言いながら逃げて行く。
それを追っかけてくる。
その姿は本当に鬼教官のように思えたが……
「ちゃんと覚えますから、しっかり教えてくださいね」
「分かってるわ、ただ今はそれとは別よ」
そのまま階段付近まで追いかけられたのだった。
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to be continued