幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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二十五話 森を出る魔法使い〜with the witch.

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「それじゃあ、忘れ物はない?」

 

 

「はい……と言うかここに来る時に大したもの持ってませんでしたし」

 

 

数ヶ月前、この森に来た時は本当に食糧すら無かった状態だ。

本当に持っていくものなんて無いに等しいだろう。

 

 

「何か持ってく?」

 

 

「いや、流石に何か持ってくってのもなあ……」

 

 

「じゃあ人形だけにする?」

 

 

「いや……流石に人形持ってくのも……見栄えはいいんですけど。流石に男だと周りの目が」

 

 

「だったら他に何か欲しいものとかないの?」

 

 

「欲しいものと言われましてもね……」

 

 

「この数ヶ月の間お世話になったしなんだっていいのよ?」

 

 

「と言っても欲しいものなぁ……」

 

 

物は持つのもかさむし……人間の里で買い足すと思うし

それよりかは……

 

 

「うーん、アリス?」

 

 

「え?」

 

 

「いやうん……これは言い方が悪いな」

 

 

「私が欲しいってこと!?」

 

 

「ああごめんなさい、やっぱ言い方が悪かった!!」

 

 

そうだよな……これダメなやつじゃん。

 

 

「え?」

 

 

「いやあのですね、実はですね……この言葉についてはなんですが……」

 

 

弁明しようと早口になる。恩人になんてこと言ってんだっての。

 

 

「無理だってことは分かってますが、この旅……幻想郷を回ったことはなくて不安な自分には誰か一緒にいてくれたらと甘えたわけです」

 

 

「ああ、旅の道連れが欲しかったってわけね……」

 

 

「悪く言えばそうです」

 

 

「紛らわしいのだけど」

 

 

「ごめんなさい」

 

 

今のは100%俺が悪い。

と言うかアリスさんが無理なの分かってるのに調子乗ってるんじゃないぞと。

 

 

「……とりあえず何も無しでいいのね」

 

 

「はい……本当に申し訳ありませんでした」

 

 

「それじゃあ、森を抜けるから付いてきて」

 

 

アリスさんの後を追って森を抜けていくのであった。

 

 

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「上海さんは結局来なかったですね」

 

 

「多分、上海は貴方になんて言えばいいのか分からなかったのよ」

 

 

「そんなもんなんですかね?」

 

 

嫌われてないならいいけど……アリスさんがそう言った以上は信じるとしようそんなこと思ってないって。

 

 

「森の中、ちゃんと地図を覚えておいてね」

 

 

「……流石にキツすぎないでしょうか?」

 

 

森の地形覚えるとか難儀すぎないか……?

馬鹿ではないけどどこもかしこも似たようにしか思えないんだが。

 

 

「覚えてないと不都合生じるのよ」

 

 

「何かあるんです……?」

 

 

「もううちに来れないわよ?」

 

 

「あー……」

 

 

「万が一死んだ時もう辿り着けなくなるの不都合に思えたけど」

 

 

「死ぬ気で覚えます!!」

 

 

そう言いながら必死に覚えようとしてみた。

と言うか覚えきれないので何往復かして貰ってやっと覚えることが出来た。

 

 

「もう大丈夫そう?」

 

 

「大丈夫だと思います」

 

 

「それじゃあ、これでお別れね」

 

 

「そうですね……本当に数ヶ月有り難うございました」

 

 

「外の世界から来た貴方の話を沢山聞けて良かったわ」

 

 

「はい……俺もそう思います」

 

 

「何暗い顔してるのよ」

 

 

「いやあ……しんどいなって」

 

 

何処に行けばいいのかとかもあるが、不安がまだまだある。

 

 

「しっかし本当に色々とあったわね」

 

 

「ありましたね……思い出しても悪い記憶がないのは恐ろしいんですが……」

 

 

アリスさんの家に泊まってる間文句も無かったし、聞くこともなかった。

勿論喧嘩もない落ち着いた生活だった。

……相手に無理させてた可能性はゼロじゃないけどさ。

 

 

「私も上海も、これだけ誰かと仲良くしてたのは久々だしね」

 

 

「魔理沙さんや霊夢さんは……?」

 

 

「知り合いってだけよ……私は……いえこれはやめておきましょうか」

 

 

「まあ、仲良い人は一人でも多い方がいいですからね」

 

 

「また、いつでもいらっしゃい。歓迎するわ」

 

 

「多分、こうやって過ごしたアリスさんとはもう会えないんですけどね」

 

 

多分この世界を回る以上は死ぬだろうしな。

大まかな地図は見せてもらったけど危険そうな場所ばかりな気がするんですけど……と言うか三途の川なかったっけ!?

 

 

「……」

 

 

「どうしました?アリスさん?」

 

 

「ちょっとだけ待ってて貰っていい?渡したい物があったの忘れてたわ」

 

 

「え……分かりました」

 

 

そう言ってアリスさんは森の方に戻って行く。

地形の確認ついでに俺も戻った方がいいんじゃ?とは思ったが残ることにした。

 

 

「……あー」

 

 

ただ問題が一つ発生した。

これ以上留まると躊躇ってしまいそうで。

この楽しかった数ヶ月を思い出して旅に出られなくなっちゃうんじゃないかって。

 

 

「……アリスさんには悪いけど」

 

 

決心が鈍る前に……行かないと。

じゃないと俺はずっと踏み出せないんじゃ……?

 

 

【嘘つき】

 

 

「っ……」

 

 

またあの言葉を思い出す……そっかそうだよな。

また約束を放って行っちゃならないって。

そう思って待つことにした。

 

 

「……」

 

 

数十分であるはずが凄く長く感じる。

まだまだアリスさんに聞きたいことや教わりたいことがあるなって。

徐々に足が重くなって行く。

 

 

「……ダメだダメだ」

 

 

異変が起こる可能性もある、その異変を探しておきたいのもある。

たったちっぽけな人間だからこそ死んでも記憶しなきゃと。

 

 

「大丈夫!?」

 

 

「うぇっ!?アリスさん」

 

 

「何よ……?」

 

 

「いやちょっと……ダウナーになってまして」

 

 

「……ちょっと反応に困るわね」

 

 

「ごめんなさい」

 

 

そう言いながらアリスさんの方を見る。

あれ?何も持ってないようだけど。

 

 

「何か渡す物があったんじゃ……?」

 

 

「プレゼントは私、と言うのが外の世界では流行ってるって聞いたけど」

 

 

「は?」

 

 

「冗談よ。プレゼントではないわ」

 

 

いやいや、そう言うことじゃなくてどう言うことなんです?

 

 

「混乱してるのですが」

 

 

「私もその旅に付いて行くってこと、上海にその事伝えてたのよ」

 

 

「大丈夫なんですか?森の方は」

 

 

「上海がいるし大丈夫でしょう、それに……」

 

 

それにって……まさか俺がついて来て欲しいって言ったから無理させちゃったんじゃ?

本当に申し訳ないって可能性ががが。

 

 

「私もね、この幻想郷を少し回ってみたいって思ってたのよ」

 

 

「魔法使いだし結構あちこち言ってるのかと思いましたが」

 

 

少なくともあの森だけじゃ、魔法使いってなれるか不安だし

 

 

「生まれ育った場所が特殊だったのよ」

 

 

「そうですか、予想は付かないですけど」

 

 

「それより、私も同行していいかしら?」

 

 

「喜んで。むしろ願ったり叶ったりです」

 

 

「良かった……」

 

 

「良かったって、むしろこちらが喜ばしいばかりなんですが?」

 

 

「っ……あっああ、こっちの事情だから」

 

 

もしかして、久々に仲良くって言ってたしアリスさんも寂しかった?

いや……恩人に対して偏見で見るのはまずいか。

 

 

「一人より二人のがいいのは当たり前ですし、色々と回っていきましょうか!」

 

 

「そうね、エスコートお願いね?」

 

 

「いや、俺ほぼ場所わかんないんですけど!?」

 

 

正直な話一人では少し不安だった。

だからこそアリスさんが居るだけでも凄い安心するし、なんだかんだ聞きたかったこととかまだあったしな。

 

 

「それじゃあ行きましょうか!」

 

 

「ええ」

 

 

この後すぐに地底で異変が起きるかもしれない、ただそれは既に魔理沙さん達に伝えてるし他を回ろう。

この世界で生きて行く以上、もっとこの世界を知るためにも。

 

 

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