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言われた事をこなすのはだいぶ無理難題な気もするが、弾幕ごっことか言われるよりはマシだと思った。
ただどうしたものかと頭を抱える。
「それじゃあ頑張ってね」
「……」
遊びたかったんじゃないのか、と言うくらいに単純なゲーム。
外の世界では宝探しと呼ばれたものだが……何故やらされているのか。
姉妹の言い分としては私達の欲しい物を持ってきてってらしいが……それがどっかに埋まってるって言ってたしな。
「見つけたら通すからそれまではダメよ」
「いや……見つからなくても無理でも行く予定ではありますが」
「ダメ」
「ダメなのは分かってますけどさあ……」
だからってこれどうしろって言うんだよ。
そう思っているがカウントダウンを始めてしまい、仕方なくスコップを持つ。
「アリスさんも頭抱えてるよ……」
正直今日から行く気だったし何してんだって話だもんなこれ……
先行ってていいとは言ったけど……残ってくれてはいるのはありがたい……手伝えないのは分かるけど居てくれるだけでも嬉しい。
「ただ……なんだって話だけどな」
何かと聞いても答えてくれない……埋まってるって言ったけどそれ片っ端から探せと?
「せめてどの辺とか……?」
「さあ、何処かしらね?」
知ってた、どうせ教えてくれないんだって。
諦めて土を掘り始める。
石が出て来た……が流石に石を渡したら怒られるだろう。
「何処か埋まってるなら分かるはずなんですけどね……」
ここら辺が掘り返した跡がない……ならここら辺じゃないのか?
ただ妖怪の山の方かと向かおうとすると怒られるし。
「まだー?」
「まだ掘り始めたばかりなんですけど!?」
「えー、飽きたんだけど」
「マジですか……?」
「いや飽きてはないけど秋姉妹として言わなくちゃとね」
「……」
しょうもないギャグにも付き合う気はなく黙々と掘り進める。
二人共文句言ってるけど今それどころじゃ無いんで……
「ん……?」
何か光る物がと……これって宝石だろうか?
生憎宝石とかには詳しく無いが……これなら大丈夫だろうか?
「あの穣子様……」
「様付けじゃなくていいわよ、どうせ信徒じゃないんだし」
「それでは穣子さん、これはどうでしょうか?」
「何?」
そう言って宝石らしき物を見せる。
宝探しながら間違いなく当たりの品だと思うが。
「ダメよ」
「なんで!?」
え?お宝探しってこう言ったものを探すんじゃないのか……?違うの。
「私達が求めてるのはこう言う物じゃないわ……ちゃんとしてちょうだい」
「だからどう言う物なんですかって!?」
「頑張りなさい」
「ぐぬぬ……」
これよく気が付いたらケチ付ければ永久にお宝じゃないって出来るんじゃ?
それだったら俺、確実に神様の玩具なんじゃ……?
「……」
勝てないとは思うけど……このまま玩具扱いされてた所で未来が無いか?
そうなるくらいなら……
「っと風が……」
突風が吹いて尻餅を付く。
アリスさんに心配されるが慌てて立ち上がる。
「……あれ?」
よろけて一瞬だけ地面から目を逸らしたが、よく見ればなんか埋まっている?
さっきまであったっけ?
「よいしょっと……」
慌ててそれを引っこ抜くと……
「……芋?」
あれ……今夏だよな?
なんでこの時期にこんな出来の良い芋があるんだ?
分からないけど……とりあえずこれはアリだろうか?
「あの穣子さん……?」
「宝石とか持って来ても認めないわよ?」
「何故か薩摩芋が出てきました」
「本当?……。」
穣子さんに芋を渡した、それをマジマジと見ている。
「かなり質の良い物だけど……本当になんで埋まっているの?」
「申し訳ありませんが……流石に俺だって分からないですよ」
「まあ……いいわ。秋を象徴とする薩摩芋……これを奉納品として受け取るわね」
「えっやった……。やった!!」
この一日中何をしていたんだと思うのもあるが、達成感もあり歓喜する。
豊穣の神の名の通りにそう言った物を探せってことだったのだろうか?
「小野寺君、終わったで良いかしら?」
「大丈夫みたいです……今日から……は遅いですから明日から登りましょう」
射命丸さんが待ってたはずが申し訳ない事をしてしまった。
ただ……流石に許してくれないかなあ。
「貴方達二人に神のご加護があります様に」
「加護などもやっているんですね」
「やってないけど、神様だものいいじゃ無いの」
「実際に神様に言われると嬉しすぎるんですけどね」
「本当は人を山に入れるのは不安なのだけど……生きて戻ってね」
「分かりました!」
そうして俺達は一度集落へと戻った。
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「大分遅いお帰りですね」
「射命丸さん!?」
なんで家の中にいるのかと言う最大の疑問があるが……ひとまずそれは置いておいて。
「集落の中にいて大丈夫なんですか?」
「あまりやりたくは無いですが、バレないようにすれば良いだけですので」
「凄いですね……」
少なくとも人にバレないように建物の中に入るのは無理だと思う。
「それより酷くないですか?今日待っていたのに」
「いえ……事情があるんですよ」
「まあ……分かってはいるんですけどね」
「え……?流石は鴉天狗という所でしょうか?」
「分かってないんですか?」
「え?」
何かあったのだろうか?
飛んでたような姿は見えなかったが……
「季節にそぐわないものありましたよね?」
「あー……」
やっとそれで気付いた、射命丸さんが助けてくれていたのか。
そうじゃなきゃ確かにあったらおかしいものでもあったけど。
「あの姉妹が喜ぶものって分かっていましたので」
「わざわざ貴重でしょうに……ありがとうございました」
「こっちが誘った身ですしね。それに貴方がいないとアリスさんが山に登ってくれないので」
「あくまで、小野寺君が今回のメインだしね」
「だからそこまで気にしていただかないで大丈夫ですよ」
「感謝だけは忘れないようにします」
「ついでに山から降りることも忘れないでくださいってことで」
「念を押しますね……」
射命丸さんも山の妖怪だしそこまで気にしないと思ったが。
「自分の故郷で人間が失踪とか気分が悪いので」
「あー……」
確かに地元とかは特殊な思い入れとかはあるものだし分かるわ。
「流石に明日遅れたら私も怒るかもしれないのでご注意を」
「気を付けます……」
「それではまた明日!」
そうして窓から猛スピードで羽ばたいて行く。
そう言えばどうやって入ったんだろうか……
「まあ明日でいいかな」
そうして席に着くと疲れが一気に来る……一日中力仕事だったしな。
「お疲れ様」
「アリスさんもずっと見ていただいてありがとうございます」
「構わないわそのくらい」
本当に一々こちらに気遣ってもらって有り難いばかりだ。
「でも明日が本番だからね」
「分かっています」
妖怪の山……神でさえ入る事を止めに来た。
そこには何があるのだろうと。
不安も期待もそれ以外の感情も様々抱いて明日に備えるのであった。
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to be continued