幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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三十二話 様々な問題点〜don't sleep.

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結論から言うと夜前に山から降りることができた。

自然なままの山は狂うと言っていたが、どの道樹海に取り残されていたら狂っていただろうし、夜の山の中に潜ったままでいる度胸もないしな……

そのままアリスさんに心配はされたが怒られはしなかった。

 

 

「そして疲れて寝ようとしたんだが……」

 

 

はい、いつも通り眠れません。

疲れてるしゴリ押せるかなって思ったんですが無理です。

やっぱ一部屋って少ないだろって思うんすけど……

 

 

「仕方ないか……」

 

 

アリスさんが部屋の中にいることを確認して風呂場に入る。

万が一鉢合わせるわけにはいかないし……

そしていつも通り空になった浴槽で寝る。

当然身体を痛めるが……自分が部屋で寝れない以上仕方ないのだ……自分が悪い。

 

 

「……寝ない方がしんどいしな」

 

 

やっぱり人形を作った方がいいんじゃと思いつつ眠りにつく……。

 

 

「小野寺君?」

 

 

「……」

 

 

部屋の方から声がする、寝ようとした身体を起こして部屋へと向かう。

 

 

「はいはい、なんですか……?」

 

 

「何処行ってたの?」

 

 

「いやいや家に居ますからねもう時間も時間ですし寝ましょう」

 

 

「そうね……」

 

 

そうして安心したのか就寝する。

夜になると不安になるのか、それとも俺が心配なのか分からないが……最近こんな調子で心配になる。

 

 

「やっぱり森から出たのも関係してるかな……」

 

 

住み慣れた家を出て行くとかは不安になるのも分かるし、人形……いや家族と暮らしていたなら尚更かな。

上京してホームシックになった人とかの話もよく聞いたしなあ。

 

 

「だったら部屋で寝ろって話かもしれませんが無理です。諦めてください」

 

 

再び浴槽に戻って目を瞑る。

流石に起きてこないだろうとそのまま就寝する。

まだ学生だから数徹くらいは耐えられるが……このまま続くとぶっ倒れるんだよな……

 

 

「恩人に迷惑を掛けたくないのと、帰られると俺が詰むって言う二拍子があるせいでなにかと口出しは出来ないんだけど……」

 

 

そうやってどっち付かずの状況が続いているのが現状である。

 

 

「明日人形試しに作ってみるだけ作ってみるか……」

 

 

結局最近はベッドよりも浴槽の方が慣れてしまったかもしれない……

それがいいことなのか、悪いことか悩みながらやっと就寝したのであった。

 

 

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「人形を作る?」

 

 

「はい、ダメですか?」

 

 

「本格的に天狗とかと会いに行くから、作る余裕なんてないわよ?」

 

 

「ああ自分で持ってきた素材で作るんで……」

 

 

「それならいいけど……必要なの?」

 

 

「はい、必要かなって」

 

 

「別にいいけど……それじゃあ今日はどうするの?」

 

 

「すみませんが、作ろうって思っているので」

 

 

「分かったわ」

 

 

そう言ってアリスさんを送り出して人形を作り始める。

厄神様にも言われたし上達もしないと……と。

樹海では厄を吸わせるために急いで作れってことだったし急いで作ったが今回は逆にいつも通り丁寧に作った……そのため日が暮れてやっと一人完成する……当然喋らないけど。

 

 

「一人いるだけでもマシかな?」

 

 

もう一人と言いたかったが……深夜になるだろうし今日は待つことにする。

改めて自分の出来を見る。

よく出来ているが……外の世界にいた頃なら、人形を作るのもあり得なかっただろうし……むしろ何やってんだって言い出しそうだな。

 

 

「ただ……この子がいれば」

 

 

アリスさん少しは寂しさ薄れないかなって……

そう思いながら出来上がった人形の頭を撫でる。

 

 

「頑張れよ」

 

 

返事があるはずのない人形にそう声をかける。

 

 

「戻ったわ」

 

 

「アリスさん、お帰りなさい」

 

 

山から帰還したアリスさんを迎え入れる。

昨日のこともあってかだいぶ早く帰ってきたようにも思える、まだ日は落ちきってないし。

 

 

「どうでした?」

 

 

「河童達は機械じゃないのかって興味なさげにすぐに去っていったけど、天狗達は興味持っていたわね」

 

 

「そりゃ良かったですね。アリスさんの人形は皆興味津々でしょうし」

 

 

「そう言えば、河童でも一人だけ興味を持っていたわね」

 

 

「へぇ、気になりますね、会えればいいですが……でも恐らくはいい顔されなそうですけど」

 

 

射命丸さんが言うには、河童はメカニック系ばかりって話で他にはあまり興味がないって聞いていた。

だからこそ、異端とは言わないが珍しいタイプの河童ならもしかしたらなどと考える。

 

 

「小野寺君の方はどうだったの?」

 

 

「ああ自分の方は……丁寧に作ったんで一人だけですが」

 

 

そうして完成した人形をアリスさんに見せる。

ここ何回もの自信作でもある。

 

 

「凄いわね……たった数ヶ月教えただけなのに、もうここまで出来るなんて」

 

 

「本当に付きっきりでしたからね……」

 

 

「この子はどうするの?」

 

 

「アリスさんにプレゼントします」

 

 

「嬉しいけど……理由を聞いてもいいかしら?」

 

 

「アリスさんは森にいる頃人形達と当たり前のように暮らしていましたし、やっぱいないと寂しいかなって。アリスさん自身は人形を作って置いておくことが出来ませんし」

 

 

「今日もあげちゃったし、今後もそうなると思うわね」

 

 

「だから寂しくないようにって、その子がいれば紛らわせられるでしょう」

 

 

「小野寺君は?」

 

 

「いい加減別の家に移りたいなって……。寂しいのはその子で解消されるでしょうし」

 

 

「どうして?」

 

 

「いやー……正直言い出し辛いです」

 

 

本当に、そう言う話はやめましょう……はい。

 

 

「で、移るだけどダメよ?」

 

 

「えー、その子がいるし夜とかも大丈夫じゃないですか?」

 

 

「私が怖がっていると思っているの?」

 

 

「……」

 

 

違うんですって言い掛けたけど口を噤む。

危ない……危なかったな。

 

 

「元は魔界暮らしだったし、独りには慣れているの。それでも誰かいた方がいいとは思っているのだけどね」

 

 

「まあ、誰かと一緒な方がいいのは分かりますが……プライベート空間が一切ないこの部屋は……」

 

 

「あの鴉天狗に貴方を見張るようにも言われてるのよね」

 

 

「そう言うことももしかしたらあるかなとは思いましたが……やっぱあるんですか……」

 

 

「前に聞いたでしょう?山に魅入られるって」

 

 

「はい……聞きました」

 

 

その話は身体が震えるほどだったし今でもちゃんと覚えている。

 

 

「ただ、魅入られるじゃなくて山に(いざな)われるのよ」

 

 

「え?誘われるって?」

 

 

「その名の通り、山に無性に入りたくなるとか……やっぱり山の一部になりたがるのよ」

 

 

「勘弁してほしいですね」

 

 

「今日、聞いたのだけど……貴方が昨日樹海に入ったのも山に誘われたから……そうだと思われるって」

 

 

「アレは射命丸さんが樹海の方へ……」

 

 

「行ってないらしいわ」

 

 

「!?」

 

 

「幻覚を見たって、バカらしいと思うけど……特に人がよく失踪する場所では幻覚なんて起こって当然とか」

 

 

「……。正直帰りたくなって来ましたが、樹海しか見てないのに帰るってのもあんまりですし怖いですが続けます」

 

 

「何を調べたいのか分からないけど……危ないわよ?」

 

 

「だからこそ、今後本当に来なくていいように」

 

 

「……明日からは射命丸さんに捕まって山の登り降りしてもらうわ」

 

 

「……大して行けないのにまた樹海に入るとですしね」

 

 

「だから残念だけど、別の家は許されないの。貴方がいつ山に向かってしまうか分からないし……」

 

 

「分かりました……」

 

 

残念ながらこの生活をやめられないのかとガックシする。仕方ないけど身体を痛めるしかないか……死ぬよりマシだ。

 

 

「ねえ、何が不満なの?」

 

 

「不満って?」

 

 

「不満があるから分けたいんでしょう?だから言ってちょうだい」

 

 

これは言ってと言われて言っていいものなのか……

ただ言い訳が思い浮かばず観念する。

 

 

「夜が寝れなくて」

 

 

「不眠症?」

 

 

「いえ、アリスさんの家の頃はまだ別室で大丈夫でしたが……同じ部屋だと緊張して眠れず……最近浴槽で寝ています」

 

 

「だから居ないことがあるのね……」

 

 

「ええ、毎日確認してるってことを知らずに申し訳ありませんでした」

 

 

「身体は大丈夫なの?」

 

 

「多少は痛いですが……大丈夫です」

 

 

毎回心配して探しに来ることがなければ寝不足も解消されるし痛みは耐えれば……

 

 

「ただ山に登る以上翌日に痛みとかは……そうだわ」

 

 

アリスさんは何かを思いついたように提案してくる。

その晩……

 

 

「……眠れはする」

 

 

浴槽に一人、それはいつもと変わらない。

ただいつもと違うのは浴槽の中で布団を敷いている。

 

 

「身体も大丈夫だし」

 

 

ツッコミどころは満載な状況であるが、この家について初めて気持ちよく寝れたのであった。

……残念なことに納得は出来ないけど。

 

 

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to be continued

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