ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それは、異変の可能性があるわね」
河童達の話を伝えてアリスさんはそう答えた。
「異変?今までのに比べてしょぼいと言うか何というか……」
「しょぼいもヤバいも異変には無いわ。起きたか起きてないかだけよ」
「では、アリスさんは起きたと考えるんですか?」
「ええ、だって妖気が溢れているもの」
「場所は?まさかこの山だとは言いませんよね?」
射命丸さんも焦っているようだけど、確かにこの山だとまずいかもしれない。
異変に対処出来る力は無いし……
「この山では無いと思うわ。ここではまばらだし……」
「でしょうね、私だってこの山を常日頃隅々まで見てますので」
「だから、何処で起きたかも探す必要があるわ」
「なるほど……私が探し回って来いと……」
「悪いけど、お願い出来るかしら?」
「構いませんが、妖気を探し切るのは難しいかもしれません……期待しないで待っていて下さい!」
「こう言う場面で貴女を期待しないでどうするのよ……」
「やれるだけはやってみますよ」
そう言いつつ射命丸さんは飛んで行ってしまった。
大丈夫だよな……?
「じゃあ、待つだけね」
「大丈夫ですかね……?」
「あの天狗の事そこまで信用してないのかしら?」
「いや……してはいますが……異変と言うものはそれでもって」
「信じるしか無いわよ」
「そうですね」
今回の異変がそもそも何を及ぼすか分からない……
無事に済めばいいなと思うことしか出来なかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日朝一で射命丸さんがやって来て、一先ずは無事だったかと安堵した。
それと同時に頭を下げられた。
「ごめんなさい!無理です!!」
「そっそれは分かりましたがどうしました!?」
「少々無理な出来事となりました……」
「……理由を聞かせてもらっていい?」
「……鬼が関わっています」
「鬼!?」
あの人達地底から出なかったんじゃ無かったのか……?
それとも、空さんが地底で異変が起こしたから!?
「場所は分かるかしら?」
「いえ……申し訳ありません……鬼は厳しいんです」
「そうなんですか?」
「妖怪の山の妖怪達は鬼に頭が上がらないんです……」
「見つけられないなら仕方ないですが……」
「しかしそれだと見つけられないわね……」
「あの……地底はどうですか?」
「地底?ああ、前に言っていた地底の住人って奴かしら?」
「はい、鬼が起こしたって言うなら……」
ただあの時起こしたのは空さんのはずだ……それに買い出しの時に街は見たが宴会の様なものばかりしていたようだし……
「それは無いですね」
「え?そうですか?」
「地底の鬼達にわざわざ地上に出て宴会する意味が無いですから」
「そうは言っても……」
「それにほんっっっっっっっとうに嫌ですが地底への道も一応見張りましたが何かが出ていた形跡はありませんでした……」
「なるほど……」
「なので……何処でかは分かりませんが……異変の元凶は残念ながら予想が付くんですよね」
「付くんですか!?」
「地上の鬼と言えば彼女しかいないので」
「聞いていいかしら?」
「……元妖怪の山のトップ、鬼の四天王の一人……伊吹萃香だと思います」
「鬼の四天王……?」
そんなものあるのか、と言うか……太刀打ち出来るのか?
「地上にいるのはまず彼女でしょうし……宴会が多いのも納得出来ます」
「そんなの……どうすればいいんですか?」
「私が行くわ」
「アリスさん!?」
アリスさんが行くと宣言する……正直行かせるわけには行かないが……
「怪我でもしたら大変ですし、辞めましょうよ……」
「勿論私が戦う気なんてないわよ……霊夢達に伝えに行くわ」
「それなら良かった……」
「だから、問題ないわ」
「でもそれなら射命丸さんが行ったほうが早いんじゃ……?」
「申し訳ありませんが、私博麗の巫女と仲良くないですし……異変と言っても信じて貰えないんですよね」
「え?なんでですか?」
「あの新聞のせいでしょうよ……」
「失礼な!新聞の何処が悪いんですか!!」
「……この前の新聞見たけど?」
「ちょっと用事が……」
「何があったんです?」
「森の人形師に男の影アリって……本当に記事にしたのよね」
「いやぁ……結果的に人気でしたし」
「だから私が行かなきゃならないの」
「そうですか……」
「少しの別れになるわ、多分異変が解決しても暫くは戻れないでしょうし」
「そうなんです?」
「ええ、多分異変後に色々あるでしょうからね」
「寂しくなりますね……」
「きっと、また会えるわよ」
「そうですね、そうに決まっています」
「……ちゃんと人形師としての腕も上げておくのよ」
「勿論ですよ、ですので安心してください」
「それじゃあ、人形大事にするから」
「今度会うときはその子以上の子になるでしょうけどね」
「頼もしいわね」
「行けるところまで送りますね」
「ありがとう」
こうしてアリスさんは山を降りて行った。
自分は一人暮らしになったが、夜間に外に絶対出ない事を条件に続ける事になった。
ついて行くことは鬼が危ないらしく許可は出なかった。
だからこそ俺は、アリスさんが無事である事を祈るばかりだった。
「……射命丸、彼を任せたわよ?」
「分かりましたが、だいぶお熱じゃないですか?」
「外の人間はそれだけ貴重なのよ」
「まあ、にとりもいますし彼女の周りには他の妖怪達も近寄り難いでしょうしねえ……」
「……それならいいけど」
「それで、実際どうなんです?」
「貴女何か言ったら新聞にする気でしょう」
「今回だけはしませんよ、山でだいぶお世話になったので」
「そうね……私には子煩悩の母は居たけど、それでもいつも孤独だったから……彼の隣は落ち着けたわ。一人じゃないんだって」
「……無理して帰るくらいなら私が土下座でもして伝えに行きますが」
「いいえ、彼を危険に晒したくないもの。一刻も早く終わらせるわ」
「なるほど、でも無茶しないでくださいよ?彼泣いちゃいますから」
「気を付けはするけどね」
「……約束ですからね?」
「ごめんなさい、私は森の悪い魔法使いなの」
そう言いながらアリス・マーガトロイドは儚げに笑うのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
to be continued