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アリスさんと別れて初めに射命丸さんに言われたことは、私か河城にとりから離れるな……だ。
異変の間誰かしら信じられる相手が側に居た方がいいらしいし、他の妖怪達は宴会していて頼りにならないと。
「やあ盟友、今日も来てくれたのかい?」
「射命丸さんも忙しいですし、にとりさんの作るロボットも気になりますしね」
異変が起きた現状、スクープも含めて射命丸さんは飛び回っているようだ。
そのせいである程度はこっちに来ることになっている。
「蓮司の作るロボットの人形は私の経験値になるからねえ」
「喜んでくれるのは嬉しいですが……人形だらけになってません?」
「なってるけど、それもこれも全部贈り物でもあるしね、貯まれば嬉しいものだよ」
「それならいいですけど……」
「それで、そろそろロボットを作りたいんだけど……」
「ダメみたいです。ロボットは異変が解決されたらって射命丸さんに何度も言われましたから……」
「ちぇー、つまんないの」
「まあそう言わずに……今日もまた気に入りそうな人形を作りますから……」
「しょうがないなあ……」
にとりさんの元で人形を作る日々が数日続いている。
解決までは作ることになりそうだと思ったが……それはそれで楽しい事だし十分だなと、今日は何を作ろうかと考える。
「蓮司は、今まで作ってきたようなロボットに乗りたいって感じかい?」
「そうですねー。最初のはロボットってこんな感じだろうってみたいなのを渡しましたが……今にとりさんに渡してるのとかは結構ロマン込みですね」
「やっぱか、分かってるじゃないか蓮司」
「そりゃあ……って何してるんです?」
何やら巨大な模造紙のようだが……一体何を?
「作るのはダメって言われたけど、流石に設計図を作るくらいはいいだろう?」
「それは……流石に構いませんが」
「ふんふん」
そうして設計図を書き上げて行く。
見ていて分からないが、楽しそうに描くのと見かけだけとは言えロボットが完成して行く所を見ているとこっちも楽しくなるし。
当然、そうしているとすぐに日が傾き始めた。
「そろそろ休んだ方がいいのでは?」
「後ちょっと……と言いたいが……そうだね、だいぶ疲れた」
「お疲れ様です」
「おや?あの鴉天狗はまだ来ていないのか」
「みたいですね……自力で降りるには結構遠いですし困りました……」
「ふむ、そうだな……ちょっと待っていてくれ」
そう言ってにとりさんは奥の方に潜って行き……何かを持って来た。
「さあ、どうぞ」
「なんですこれ?」
見るからにお酒のようだが……
「なぁに、異変とは言え他の皆が宴会してるのに私達だけしないのもなんだかなって思ってな」
「そんな事言っても酒は呑めませんよ?」
「全く外の世界の倫理など気にしなくてもいいだろうに……酒じゃないのも用意してある」
「それなら良かったですが……」
「それじゃあ、異変の解決を願って乾杯」
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ーー酒は呑まないって本当に真面目だなあ……
ーーまあこの酒は人間が呑めたものじゃないし仕方ないけど
ーー酒の匂いだけで酔ったって?弱いな本当に
ーーあー、はいはい……いつもの酔った大法螺だろう?
ーーはっはっは、“これだけは嘘じゃない”って?
ーー鬼に誓ったその言葉、忘れるなよ?
「小野寺さん!!」
「っとはいはい起きます!」
あの時と同じ様に何か夢で見ていた気がするが思い出せない……と言うかあの時って……まさか!!
「速報です!異変が終わりました!」
「……早くないですか!?まだアリスさんが離脱してから一週間経ってないですよ?」
「それもそうですが……鬼も事前準備していたものの、宴会をしたいだけと色々と雑でしたし……何より単独犯だったことが早期の解決に繋がりました」
「アリスさんは!?」
「無事ですが、後始末等があるので暫く来れそうにありません」
「無事なら良かったです」
「私も私で新聞発行とかあるので暫くはまだ同行出来ませんが……どうせ河童の元で何か作るのでしょう?」
「そうですね……だいぶ待たせていたので……優先して作ると思います」
「それが終わったくらいに私も予定が空きますかね……」
「ん?何かあるんです?」
「特には無いですが……頂上行きたいのでしょう?」
「行きたいのは事実です、でも頂上には何も無いんでしょう?」
「何もありませんよ、だからこそ何もないってことの証明を見せるってわけでもありますが……」
「なるほど……」
この前、射命丸さんが言っていたように何もないのは事実なんだろうなって……
だからこそ、神に成り上がろうとしている妖怪達に目を光らせてるって話は聞いたし。
「まあ、異変にならない程度にロボットでも作りながら待っていて下さいな」
「確かに……そうですね」
「こちらとしましても、ロボットのせいで妖怪の山で異変が起きたりとかは勘弁ですので」
「気を付けないと、にとりさんがやらかしそうで怖さがありますね」
正直、俺もやらかしそうであるが……作った場合の失敗パーツなどの処理などが巨大ロボでは面倒だし、大きさに拘って他がダメだ等とか出来るだけやらないように心がける。
「本当に……小野寺さんが頼りですからね?」
「それは……分かっております」
「それでは、河童の元へと案内するので捕まってくださいな」
「了解です」
そうして今日もにとりさんの元へと向かう事となった。
アッサリ終わったからこそ何故だろうと異変について考えるばかりだった。
ただそれは一刻も早くロボットの製作を進めたいにとりさんへの助言などが止まってしまうので不都合そうだが……
それに俺も俺で巨大ロボットが早く見たいと言うことで、助言が一層過大になって、にとりさんをもっと燃えさせてしまい、より一層設計図が一回り大きくなったことを見て少しだけ後悔することになるのであった。
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to be continued