幻想郷で死に戻る俺は   作:せかいちっ!

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三十九話 禁じられた土地〜important thing.

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翌日、射命丸さんは用があれば来ると言われていた。

だから来たと言う事は用があるって事だが……嫌な予感はする。

 

 

「小野寺さん、こんにちわー」

 

 

「射命丸さんどうしたんです?」

 

 

「いや、久々に山以外行きませんかって?」

 

 

「え?いや今日休み言ったのは射命丸さんの方じゃ?」

 

 

「いいから行きますよ!」

 

 

「何かあったんですか?」

 

 

「いえ……何も……」

 

 

……当然と言うレベルで挙動がおかしい。

絶対に何か隠しているが。

 

 

「なんですか?そんなジロジロ見て……私の可愛さに気付いたんですか?」

 

 

「射命丸さん、らしく無い事言いますね……」

 

 

「うぐ……私だって乙女なんです、こう思ったっていいじゃ無いですか」

 

 

「それは……確かに可愛いとかは事実なんですが……」

 

 

と言うか幻想郷の皆は明らかに可愛いし……

射命丸さんじゃなかったら騙されてたと思う。

 

 

「……何があったんですか?」

 

 

「いえ、何も無いです……心配する事はありませんってば」

 

 

「……だったら今から妖怪の山行ってもいいですよね?」

 

 

「ダメです!!」

 

 

「何故ですか?」

 

 

「いや……身体もまずいでしょうし……」

 

 

「だから何があったんですか?」

 

 

「……妖怪の山の現トップから貴方に妖怪の山の追放令が出ました」

 

 

「え……?」

 

 

「最初に言いましたよね……外の手を加える事を嫌うって」

 

 

「何かしました……?」

 

 

「河童と一緒に作りましたよね?」

 

 

「え?アレは……むしろにとりさんに頼まれたものですし」

 

 

「河童に知識与えたの貴方ですよね?」

 

 

「まあそうですね……」

 

 

「それに対して天魔様がだいぶお怒りのようで……」

 

 

「そうですか……」

 

 

大きくし過ぎないように……いや十分大きいが、それでも配慮した気でいたが……

そもそも存在することすら許されなかったらしい。

 

 

「申し訳ありません……」

 

 

「私もすみませんが……今回の件は庇ってはいけないらしいので」

 

 

「……せめてあと一回頂上だけでも」

 

 

「ダメです」

 

 

「そこをなんとか……!」

 

 

「見つかれば貴方は高確率で天魔様に殺されるでしょう」

 

 

「死ぬくらいなんともありませんよ」

 

 

「……貴方は!!」

 

 

「どうせ死んだら戻るだけです」

 

 

「何を……言っているんですか?」

 

 

「死に戻りって言うんですかね……死んだら元の場所に戻るんです。残念ながら紅霧異変と春雪異変との間ですが」

 

 

「寝惚けているんですか?そんなことある筈ないですよ」

 

 

「実際に何度か死んでるんですよ」

 

 

「……」

 

 

その言葉に射命丸さんは黙る。

しかしその顔は怒り混じりに見える。

 

 

「……だったら何故貴方は異変について探っていたんですか?」

 

 

「死にたくないからですよ」

 

 

「だったら今探る事は死に繋がる事では?」

 

 

「……死んでも得るべき情報と考えたまでです」

 

 

忘れた何かがそこにある。

だから、今見なければならない。

 

 

「……何を犠牲にしてでもですか?」

 

 

「ああ、今回の事は命より大切な事だと思ったから」

 

 

「……他人の思いを踏みにじっても?」

 

 

「……」

 

 

「アリスさんの思いを踏みにじってでもですか?」

 

 

「……え?」

 

 

「アリスさんは死に戻りのこと知ってたんですよね?」

 

 

「伝えましたから」

 

 

戸惑う俺の胸倉を掴む。

え?一体何が……?

 

 

「アリスさんに異変の時私は聞いたわ、危険なのになぜ行くかって」

 

 

「……」

 

 

「異変解決のためもあるけど……貴方のために行ったのよ!!」

 

 

「苦しっ……」

 

 

「死ぬのは恐れてないんでしょ?だったらそれが何?」

 

 

射命丸さんの言う通り……なのは分かるが……呼吸が……

 

 

「貴方が死ねるのを知った上で生きてて欲しかったんだから、だからその思いを踏みにじるな」

 

 

「ゲホッ……カフッ……」

 

 

振り落とされて息を吸う、苦しさにむせる。

 

 

「分かった?」

 

 

「すみません……。無力な癖に調子に乗っていたようです」

 

 

「無力までとは言わないけど……人間である事は自覚して」

 

 

「はい……」

 

 

「最初から本当に言うこと無視して連れて行けば良かった……」

 

 

「本当にすみません……そして目が覚めました。ありがとうございます」

 

 

「別にいいわ。これが仕事の一環だし」

 

 

アリスさんも射命丸さんも、わざわざ戦っているのに……俺は一人だけ立ち止るどころか足を引っ張ろうとしていた。

 

 

「それで、貴方を何処かへと連れて行かなければならないのだけど……希望はある?」

 

 

「希望って?」

 

 

「何処でもいいわよ、変な場所選んだら怒るけど」

 

 

自由な場所と言われても困るものは困る……

そもそも把握しきっていないのもあるし。

だから……俺は出来る事をだ。

 

 

「射命丸さん。」

 

 

「文でいいわ。貴方はもう生きると決めたんだから」

 

 

「では文さん、次の異変が起きそうな場所って何処ですか?」

 

 

「……それを聞いてどうするんですか?」

 

 

「そこの近くにお願いします」

 

 

「……散々あれだけ言ってまだ分かっていないようね」

 

 

「いえ……違うんですって」

 

 

「何がよ」

 

 

「アリスさんが言っていましたが……異変の主は時と場合によっては人を殺すかもしれないけど、異変自体は人を殺さないって」

 

 

紅霧が出た、春に雪が降ったなどを始め過去に異変が起きたらしいが、春雪異変で俺が死んだもののそれらは直接人を殺すわけではない。

勿論それは異変が解決されたため……その異変が成された時どうなったかを知らないからであるが。

 

 

「……まあそうね、異変で虐殺とか起きたら博麗の巫女がどうするかって話だし」

 

 

例外といえば地底だろうけど、少なくともその件はさとりさんに伝えてある。

だから地上が焼き尽くされる事はないだろう。

 

 

「俺とアリスさんが一緒に異変を探していたのもそれが理由です」

 

 

「……分かったわ、その理由なら手伝ってあげる。幸いその付近には協力者になってくれそうな人がいそうだし」

 

 

「本当ですか!?」

 

 

「と言うか文さん、異変が起きそうな場所探し当てていたのかよ……恐ろしいな」

 

 

「今は迷いの竹林付近に歪な気が集まっているのよ、だからその竹林に貴方を送るわ」

 

 

「迷いの竹林……」

 

 

地図を見た時は博麗神社の近くだったイメージだが実際はどうなんだろうか?

人里を挟んで妖怪の山と真反対の位置に存在しているって話は聞いた

場所はともかく……そこで何が起きるか……か。

 

 

「竹林では、友好的な人間がいるだろうからその人を頼ってちょうだい」

 

 

「いいんですかね?」

 

 

「どうせお節介焼きの暇人だろうし頼ってあげなさい」

 

 

「はっはあ……」

 

 

一体どういう人なんだろう?

 

 

「それじゃあ、送って私の役目は終わり楽しかったですよ小野寺さん」

 

 

「こちらこそ数ヶ月の間ありがとうございました」

 

 

文さんにお礼を言いつつ竹林へと運ばれる。

なんだかんだ森だの竹林だのと幻想郷には多いなと思った。

ただ、ここで異変を知りつつ人を頼って生きていこう、そう考えていた。

 

 

 

 

 

 

一つだけ言えるのは、山で死なずにこの異変を知れた事がまだマシだったのだろうか?

異変はただの人間が敵うわけがない、そんな事は当然だ。

しかし春雪異変の真意など、異変の本質を全くもって知っていなかったため俺は迂闊過ぎた。

 

 

悪夢の様な終わらない一日が始まる

 

 

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