四十話 迷いの竹林〜mystery rabbit.
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迷いの竹林
ここは名前の通り魔法の森同様迷う場所……本当に幻想郷迷いやすいような……
文さんの話では、この竹林には心優しい少女が住むと言うが、何処にいるんだろうか?
「と言うかだ……良い人ほど僻地に追いやられてないか?」
アリスさんもさとりさんも、心優しい人達が日陰どころか不便としか言いようが無い場所に追いやられている気がする。
俺が叱るのは筋違いかもしれないけど。
「とにかくその人を探して会えだっけ……」
文さんでも迷うらしいこの竹林だから少し戸惑うが……
間違いなくこの竹林で異変を感じ取ったと言われた以上は探しながら異変の調査をするしかない。
「まあ今回はあの時のように迷いはしないんだけど……」
今回は秘策がある、文さんにあらかじめ迷いの竹林だって聞いていたしな。
そして糸を取り出して一つの竹に括り付ける。
長さだけは数キロ分になるまで繋ぎ合わせてきたし大丈夫だろう。
と言うか周囲数キロで見当たらないなら諦めざるを得ないし。
「……ダメそうなら人里へ行かないとな」
そうして糸を握り締めながら竹林へと潜って行った。
だが潜って早々の感想としては、方角が分からない。
方位不明は正直慣れて来た気がするのが嫌だが、糸がなければ今回も同じ目に合っていただろう。
まだ大丈夫だと糸を伸ばしながら足を進める。
「ここら辺はずっと竹と……」
と言うか、流石に樹はあちこちに生えているし当然なんだが、真面目に竹を見たのって初めてな気もする。
実際に触ってみると硬いんだなって思う。
「っといけない……いつまでも竹を見ている場合じゃないか」
進んで戻ってを繰り返しながら周囲を散策する。
本当にこの竹林に家なんてあるのか?
「うん……?」
そうしているうちに足跡を発見する。
ただ問題が一つあって……人間の足跡のようではあるが……
「小さいな」
その人が背が低いとかなら分かるけど、それでも子供くらいのとしか思えない。
こいしさんくらいかそれ以下だぞこれ……
「協力してくれるであろう人が小さい可能性もあるが……と言うかこの足跡竹林の外に向かっている?」
正確には外がどっちだか分かり辛いが、なんとか糸の方向でそうだと考察する。
「追ってみるか……って……え?」
弛んだ糸を直そうと軽く引っ張る、しかしそれが直らない。
ここで急いで戻れば良かったが、慌てて糸を引っ張ってしまう。
「千切れないようにしたはずなのに……」
切れた糸の端を見て顔が青冷める。
切断面から見るに……切られた?
「誰がこんなことを……」
まさか例の人が?いやそれは無いと信じたいが……可能性は0とは言い切れない。
「……迂闊だった。手繰り寄せるんじゃなくて糸を辿るべきだった」
後の祭りだし切り替えないといけない……
とにかく周囲を散策……
「兎……?」
兎のような耳をした少女が周りをキョロキョロしている。
背はかなり小さい……さっきの足跡もこの子か?
「あのっ……!!」
「っ!?」
こっちが声を掛けると慌てて逃げ出してゆく。
急いで追いかけようとするが、流石に迷いの竹林の名だけあって見失う。
「驚かせちゃったかな……。」
唐突に声を掛けられたらそりゃ驚くか……
あの子が迷子かどうかは流石に分からないけど……
「オマケに……落とし物までさせちゃったようだし……」
落とした物を拾う、どうやら刃物のようだが……その刃物を見ると……
「……!?」
糸屑が付いていた、慌てて切れた糸を持ってくると一緒だ……
「あの兎……!!」
まさか切ったのか!?と問い詰めようと慌てて走り始める。
当然見つからず挙げ句の果てにはつまづいた……
「……真実だったら許さねえからな」
負け犬のように吠えつつ地面から身体を起こす。
目に見えた怪我はしていないようだが……この先が思い知らされる。
「空も……だいぶ暗いしな」
竹林の中は元々暗かったが、日光がそれでも差し込んでいた。
今はそれも無くなったため夜に近いか、夜になったのだろうと。
「誰か居ませんか!!」
当然誰も聞いていないだろうと思いつつ諦めていた。
「誰?誰か居るの?」
「っ!?ここです!!」
誰かが声を聞いてくれたようで慌てて反応する。
誰か居たんだ……
「良かった、夜になる前に見つけられて」
銀髪の少女、リボンやら服やら白と赤の二色で髪も含めて単調な色合いをしている。
ズボンを履いているけど女の子かなとは思っている。
幻想郷の子は皆スカート履いてたし自信はあまり無いが……
「あれ?もしかして自分の事を探してたんです?」
「そうではないのだけども、竹林で一晩迷子にさせなくて良かったってね」
「あー確かにそれだったら辛かったかもしれません」
「私の名前は藤原妹紅、この竹林に住んでいるんだ」
「小野寺蓮司です……っと竹林、ってことは貴女が文さんの言っていた……」
「何を言っているのか分からないけど、今日はもう竹林の外も危険だしウチに来な。事情はその時聞くよ」
「有難うございます」
「しかし君も運が良かったね」
「えぇそうですね……何も無くて」
「そうじゃ無いよ、明日が満月だから」
「満月だと何かあるんですか?」
「妖怪達が一番力を手に入れる時だから、人間程度じゃねって」
「確かに太刀打ち出来ないどころか、直ちに餌でしょうね」
「そう言うこと。だから今日見つけたのも運が良かったし、明日じゃ無いのも良かったのよ」
「なるほど……」
「とにかく、今日は夜でも問題ないけど……戻るなら早い方がいいだろうし案内するよ」
「有難うございます」
「いえ、家に返してあげられなくてごめんね」
元から恐らくは貴女に用があったので大丈夫です。
あくまでほぼこの子で確信でいいだろうと思った。
迷惑はしないようにしないと……
「それじゃあ色々と聞かせてもらうから」
「了解です」
そのまま藤原邸へと案内される。
本当に一軒家建っていたんだなって。
「明日……」
彼女が言っていたように、満月である明日こそ異変が起きそうだと思っている。
少しでも解明できたらいいなと思いつつ明日に備え始めるのであった。
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to be continued