四十四話 進んだ世界〜in the summer.
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もうこの場所で目を覚ますのは慣れたと言っても過言でない気がして来た、そんないつもの場所。
「……大丈夫かな?」
幻覚の類は一切ない、脳内もスッキリしている。
さとりさんのお陰だと思うけど……地霊殿には行ってないしアレは恐らく幻覚だったのかな?
「どちらにせよ、またさとりさんに助けられたな……」
そのうちまた追い出されるだろうけど地霊殿に向かわないとなって。
「今は、優先する事があるけど」
アリスさんの元へ行かないと……異変について話さないと……
森へと足を運ぼうと向かう。
「しかし暑いな……」
こんなに暑かったっけ……もうすぐ冬だと言うのに……
不安に思いながらも魔法の森へと足を踏み入れた。
「流石に木陰が多い森は涼しいな。
魔法の森を歩いて行く、迷いの竹林と違ってこちらは妖怪などが居ないので寂しく感じる。
妖精はいるらしいけど……
「まあ今はそんな事はどうでもいいんだ」
それよりも優先する事があるし……
アリスさんの元へと向かわないと。
「ここだ」
覚えていた道筋を辿ってアリスさんの家へと辿り着いた。
そう言えば今回は上海さんが居なかったな……
「すみません」
ノックをするが反応が無い。
寝ているってことは無いだろうし人形作りに集中しているのかな?
「アリスさーんいませんかー!!」
声を出して呼ぶが反応はない。
せめて上海さんでもいるかと思ったら居ないのか……
「どっかに出掛けている?それだと珍しいが……」
分からないけど留守の様だ。
魔理沙さんの所も確認してみたいとは思ったが、場所を記憶していないし……留守が多いし多分居ない気もする……
「博麗神社……いやその前に人里に行くかな」
博麗神社の近くの人里、前に博麗神社に寄る時に一度だけ行った事がある。
最初の頃に寄った集落に比べて、だいぶ賑わっていたよなと。
数日したらアリスさんも戻って来ているだろうと思いながら。
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人里に着いても、違和感だらけだった。
確かに暑いのは分かるけど、薄着というか……明らかに冬の準備をしていない。
「兄さんどうした?」
「え?ああ宿って空いてないですか?」
「空いているよ」
「それじゃあ……」
と慌てて確認する……危ない……死に戻ったばかりだったからお金なんて持ってるわけ……
「……あれ?」
「どうした兄さん?」
「いえ……一晩お願いします」
「はいよ。」
確認するとお金が入っていた。
しかも盗んだような物では無くて、ちゃんと自分の財布の中に……
何故だ?外の通貨が入ってるわけじゃ無くてこの世界の通貨だぞ?
少々疑問に思いつつ、部屋へと入る。
「やはり変だ……」
今までの流れと違っている。
そりゃ毎回違うのは当たり前だが……それでも今回は……
「あの時は、地霊殿に寄ったとは言え……アリスさんは確か俺が来る前までは冬が近いし外出する事はほぼ無かったって言ってたんだよな……」
ついつい人形ばかり作っちゃうしいざという時のために上海がお留守番してるって……なのに上海さんすらいた気配は無かったし。
「過去が変わった?」
戻ったのに変わるなんてあるわけないか……
前と同じ事が繰り返されるからこそ、前の事を覚えてる意味があるって思ったんだし。
「……明日主人に聞いてみようか」
死んでから戻ったばかりで脳の整理も追いついていない。今日は一度休まないとと、異様な暑さからの寝苦しさを感じながら寝床についた。
「よう、よく眠れたかい?」
「暑かったですが……無理のない程度には」
「そりゃ仕方ねえか、災難だったな……」
「主人、変な事を聞きますが今何月ですか?」
「あ?七月だろうよ」
「有難うございます」
礼だけして宿を出たが……七月だと!?
冬間近にしては暑いと思っていたが多少ズレているのはあるかと思ったが、流石に夏真っ盛りだとは思わなかった。
「万が一、あの忌々しい冬が終わって、時が進んだのだとしても……それは春では?」
なんで夏なんだ?夏に何か……
「あった!!そっかあったな!!」
俺が直接関わらなかったし、異変も早期解決して記憶から薄れていたが鬼が起こした異変か……その前後にいるって事かな……
「何故進んだのか分からないけど……異変の最中、或いはその前後の可能性がある」
文さんが言うには異変は博麗神社で起きていたと言っていた……
ならば、博麗神社に霊夢さんや、アリスさんとかが集まっているなら家に居なかったのも理解出来る。
「もしかしたら昨日のうちに向かっておけば良かったのかもしれないけど……」
今となってはもう遅い、ごねるよりは足を急いで動かさなきゃいけないだろうと博麗神社へと全力で駆けて行った。
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「相変わらず段差はキツいなここ……」
多少の疲れを感じながらも石段を登って本殿の方へと辿り着いた。
そこには予想では、誰かが居ると思っていたが、誰も居なかった。
「おかしいな……異変はもう終わったのか?」
過去の約束通り、お賽銭を少しだけ入れつつ周りを探す。
アリスさんとか以前に、誰も居ない様子だ……
「神社を空けていていいのかな……」
そう思いながら探してみるもやっぱりいなかった。ここでも出掛けているのか?
「だったら何処に行くのが正解なのだろうか?」
何処に行っても誰も居ないような気がしつつどうしようか考える
迷いの竹林は……もう行きたくないし……
「……とりあえず、誰か来ても対応出来ないし一度帰りますか」
「あら?ここの神社では巫女だけじゃ無くて神主も雇ったのかしら?」
「え?」
そう言いながら日傘を差した少女が階段を登ってくる。
よくあの背丈で登れたなと思いつつ、一緒に登ってきた隣にいる銀髪の人にも目が行く。
え?カチューシャ付けてるしあの人もしかしてメイドさん?
「それで……ここの巫女に用があるのだけど、何処に行ったのかしら?」
「すみません……分かってないです」
「そう、帰って来たら伝えて」
「そう言われましても……えっと」
名前を聞いていないけど、明らかに貴族とかそう言った部類なんだろうなって……メイドとかいるし。
「ああ、そう言えば名乗って無かったわね。正直見て分かってくれるとも思ったのだけどね」
見た目だけなら少女Aって答えたんだが……明らかに喧嘩を売ってはいけないお金持ちのタイプなので何も言わない。軽率な行動を取ってはいけない気がするし……
「私の名前はレミリア・スカーレット、以降は覚えておきなさい。とても面白い運命をしている人間」
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to be continued