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そして数日が経った……今日は本来であれば満月のはずだ……
しかし予想通り、その月は欠けていた。
「咲夜、準備は出来ている?」
「ええ、いつでも大丈夫です」
「それじゃあ頼むわね」
「ルナ・ダイアル」
懐中時計の時を止める。
いつもならば全てが止まるが、数日の間で時計を弄り夜だけを止めた。
「これで夜は終わらない。さてこの間に解決するわよ」
「いいのですか?」
「何がよ」
「最後に彼に会っておかなくて」
「最後にって……別に終わったらすぐに帰ってくるでしょうが」
「何かあるかもしれないですが」
「咲夜……私に何かあるとでも?」
「いいえ、彼の方です」
「……それこそ馬鹿馬鹿しいわ、私が認めた男だもの。少しは頑張って貰わないとね」
「ならいいですが……」
「ただそうね……早く帰るようにはしようかしら」
「……」
「……」
窓から二人を見るがすぐに飛んで行ってしまった……
異変の解決と、無事を願いながら二人の帰りを待つことだけだった。
「外なんて見てどうしたのよ」
「パチュリーさん、図書館から出てるんですね」
「貴方にこの館を好き勝手歩かれても困るからね」
「……すみません」
「別に歩き回る気は無いと思うけどね、それでも行ったらまずい場所があるのよ」
「……地下ですか?」
「……レミィから聞いたの?」
「地下に入ってはならないと……」
「そう、分かっているのね」
「何があるんでしょうとは思ってますが……」
「……知りたい?」
「……嫌な予感はしますけど。いいなら」
「と言うか言っておくべきね」
「……分かりました」
正直恐怖がある、ただ……聞かないとまずいんだろうな……
観念しながらパチュリーさんの話を聞く。
「レミィに妹が居るって言ったらどう思う?」
「え?……妹」
居なくはないのか?さとりさんにだって妹がいたんだし。
「その妹が……地下にいるの」
「地下に……!?閉じ込めているんですか?」
「ええそうよ、理由は分かるでしょう?」
妹が嫌いだから、いや違うだろうな……
嫌いだったら妹でも手を掛けそうだ……だからそうでは無くて。
「危険なのですか?」
「ええ……それもレミィと比べ物にならないわ」
「レミリアも危険度だけで言うなら大分危険なんだけどな……それ以上か」
「あら?レミィに認められたの?」
「まあ……友人だって言われましたよ」
「そう……なら尚の事死なせるわけには行かないわね」
「……地下へ行かなければいいですか?」
「それもそうだし……出来れば図書館にいて欲しいのだけど」
「一日だけですし分かりました」
「不便させてごめんなさいね」
「いえ、完全に俺の為ですし文句なんて無いですよ」
パチュリーさんがそこまで言うって事は相当なんだろう……
見た目とかは一切分からないけど話を一切聞かないレミリアと考えておこう。
「……今までに会ったことない人に注意すればいいですか?」
「ええ、私は今夜だけは図書館の外にいるから何かあったら小悪魔を介して言ってね」
「了解です」
そのまま図書館へと入った。
迷いの竹林のように何度入っても迷う事は確実なので小悪魔さんを頼る。
「……一応探してみるか」
とある本を探しながら。
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「外の世界に関する本ですか?」
「はい、見ておきたいなって」
「確かこっちの方だったかな?」
いつもよりも悩みつつ小悪魔さんに案内された。
確かに外の世界の本が色々とあった。
「……なんだこれは?」
他とは違う雰囲気を放った本を手に取る。
異変ノ断章?気になるタイトルだ……
「これを読めば何か……」
「いい本ありましたか?」
「うわっと!?小悪魔さんですか」
「……なんでそんな驚くんですか」
「いや、パチュリーさんに妹様に気を付けてと言われたので」
「ああなるほど……迂闊過ぎましたね申し訳ありません」
本当はそれが理由じゃないが、正直に話せるわけもないので体よく誤魔化す。
「あっそうだ……小悪魔さんこの本ってなんだか知ってます?」
「え?どれですか?」
そう言いながら異変ノ断章を見せる。
「……なんですかこれ?」
「やっぱ知らない本もあるんですね」
「いえ……私は中身はまだしもタイトルは全部把握している筈なのですが……」
「え?」
だったら本当になんなんだこの本は……
「一先ず読んでみますね……」
そう言って小悪魔さんは本を開こうとするが、本が開かない。
「ぐぬぬぬ……あれ?開きませんね」
「それ危険なんじゃ無いですか?」
「ただ……気になるのも事実ですし……小野寺さん開けられます?」
「……試してみますけど」
渡された本を開こうとする。
本当にこの中には何が書いてあるんだ?
本当に外の手がかり……
「小野寺さん!!」
「わっと!?いきなりなんですか!?」
唐突に驚かさないでください……本開けさせたく無いんですか?
「……予定が変わりました。急いで逃げてください」
「え?」
「図書館を闇雲にでも構いません。とにかくお二人が帰って来るまで逃げてください」
「まさか……」
「パチュリー様からの報告で妹様が……」
「嘘だろ……」
いつも出て来る事は無かったんだろう?
レミリアも毎日見に行ってたみたいだが行く前に確認したってパチュリーさんが言ってたぞ?
なんでこんな急に?
「とにかく……逃げないと……」
本のことも気になる、ただ……前にそれをやろうとして射命丸さんに叱られたこともあるし。
何より二人が頑張っているのに死んで無駄になるなんてしたくない……
図書館のどちらに逃げればいいなんて分からない、ただ闇雲に逃げることにした。
「少し……少しだ」
レミリア達は絶対に異変を解決する……それは断言してもいいレベルだ
あの人が失態をするわけがないと。
「最悪死んだって構わない……ただそれは異変が解決してからだ」
異変が終われば先に進む。
勿論そんな確証は無い。
ただ、何もせずに死ぬなんざよりマシだ……
「異変解決みたいな立派な事は出来ませんけど……こっちでは俺なりの戦いをしますよ!」
見つかってたまるもんかと全力で図書館内を走り回った。
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to be continued