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先程までの出来事について聞かれるのかと思っていた。
しかし、彼女はそう言った類の事は聞いてこなかった。
心配させまいと思わせてしまったのだろうか?
「予め聞いておくわ、次の異変には覚えがある?」
「いや……無い」
「そう、残念ね。次は私が解決しようと思ったのだけど」
「そもそも次の異変を知ってるって事は永夜異変が解決済みって事なんだが……」
「それもそうだったわね」
こう言う話でも今は有難い。
やっぱり少し滅入っているのが分かったし、話しているだけでも安心する。
ただ……それだからこそ逃げっぱなしじゃいけないか……
「レミリア、大事な話って……?」
「ああそうね……まず一つ、貴方の脚は絶対に治すから安心しなさい」
「……無茶じゃ無いか?咲夜さんも出来るだけって言ってたし」
「いいえ、絶対に治す。それは私の名に懸けて断言するわ」
「分かった、レミリアがそうするのを待ってる」
「それで……終わったらだけど」
「……」
「この屋敷から出てもらうわ」
やはりか、用済みかな……
異変が終わって利用価値は無くなったし、明らかな邪魔者だ。
「住む場所の保証はする。既にそちらであるなら私が決めた場所とは言わないけど」
「分かった……」
脚は治るしどうとでもなる……
ただまだ図書館で調べたい事はあったが……どうしようもないな……
「何かあったら咲夜に伝えてちょうだい、脚が治るまでの間叶えて見せるから」
「……分かったよ」
「それじゃあ。またいずれ」
本来ならば、はいって言うはずだった……
ただ……言えなかった。
自分がどうしようもないことになっているのに……女々しいように……
「レミリア」
「何かしら?」
「理由だけ聞いていい?」
「……どうしてかしら?」
「話さないと分からないから」
さとりさんと会ってから気付いた、すれ違いと言うものは起きるのだと。
誰でもさとりさんの様に話さずに伝わるわけじゃない……
だからこそ話さないといけない気がした。
「あまり……言いたくなかったのだけどね」
「……」
やはりか、レミリアとしてもあまり悪く言いたくなかったんだろうなと……
これじゃあ悪い事を……
「フランが居るからよ」
「……え?」
しかし帰って来た答えは予想外だった。
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「……何を驚いているのよ」
「いや……てっきり俺がお払い箱なのかと」
「そんなわけ無いでしょうよ……そもそもそうなるなら脚すら治す気はないわ」
「いや……まあそこは優しいからそれくらいって」
「そうじゃ無いわよ」
少なくともお払い箱じゃなくて良かった……
「フランの危険性は分かったでしょう?」
「そりゃ……まあ……」
「だから、この館に残るのは危険よ」
「アレは……俺も悪かったですし」
「蓮司、フランに何かしたの?」
レミリアがじとーって見てくる、違うやましいことでは無い信じてくれ!!
「彼女遊びたいって言ってたんですよ」
「……それで?」
「俺は何も出来なかったんで……」
「それはそうでしょう、フランにとって遊ぶは他者を壊すことだから……」
「……」
あれ?もしかしてフランさん予想以上にやばい?
「だからこれ以上居ると死ぬわよ、出て行ってくれないかしら?」
「……残っても迷惑ってわけじゃあないってことで大丈夫?」
「……死にたいの?」
「いや、流石に自殺願望はないが……」
「だったら……」
「どうせ死ぬし」
「……は?」
「異変を解決するに至ってどうせ最後まで生きるのは俺には無理だと思う。それはまあ仕方ないんだけど」
「ふざけてるの?」
「いや、ふざけてるわけじゃなくて……前に妖怪の山に行った時は怒られたけど……」
「だったらなんで?」
あの時と同じく無駄死にするって言うなら文さんに殴られる所だろう。
それでも信じたくなるものがあった……
「フランさん、残骸ではありましたが俺の人形を持ってました」
「そう……」
追われてる時は恐怖心で気付かなかった。
でも、落ち着いて見ると片手で抱えていたのを思い出した。
「だからレミリアさんもしかして人形って妹のためだったのかなって」
「……私が純粋に気に入ったのもあるけど合っているわ」
「あっ気に入ってはいたんだ……」
普段の雰囲気はマジだったらしい。
「姉妹だもの、趣味は似るわ」
「そう言われるとそうか……それで、もしかしたらレミリアとももしかしたら今回だけかもだしフランさんとも話せるのは今回だけかもしれないから」
「あら?私が忘れると思うの?」
「霊夢さんの記憶の中からは俺が消えてましたから……」
「そう……でもただ危険なだけよ」
「それでも、一度きりしかないかもしれないなら、繋がりを大事にして行きたい」
仲良く出来るかはまだ分からない。
でも糸口があるなら……命が懸らないなら彼女の望み通り遊ぶことも出来たかもだし……
「立派な志だけど、なんでも壊すフランをどうやってあやす気よ」
「そこはまあ……普段は大丈夫そうなので……紅魔館の皆に手伝ってもらうと言うことで」
「結局は人任せじゃないの……」
「弱いことには自信があるので」
「……まあいいわ、折角の友人とこれでお別れというのも残念だったし」
「それで……脚はいつ治るんですか?」
「まだ暫くは掛かるわ、話すら聞いてもらえないでしょうし」
「……脚がないままフランさんとどうにかしろと?」
「人形を作ればどうにかなるかもしれないわよ?」
「大変だ……」
「まあいいわ、安心しなさい」
「何を?」
何も安心出来そうにない気しかしないんだが。
「知り合いを呼んだから、貴方一人で無理することにはならないでしょう」
「居たの……?ああごめんなさい凹まないで!!」
やっぱこの手の奴本人には酷く効くじゃないか……
本当に申し訳ない。
「……ふ……ふふふ……楽しみに待っていなさい」
ダメージを受けながらもレミリアは不敵な笑みを浮かべる。
「嫌な予感がしたけど……大丈夫かな?」
「ええ、恐らくは貴方が会っておいたほうがいいと思った人物だもの」
「……え?」
一体誰なのだろうか?
…
「あら?紅魔館からの招待状?」
「オイ、ドーシタンダ?」
「ああごめんなさい上海、紅魔館からお茶会のお誘いって珍しいものが来ててね」
「タシカニ、メズラシーナ」
「あそこのお嬢様、私の家すら知らないと思っていたけど」
「ソレデ、イクノカ?」
「ええ、行くわ。上海お留守番お願いね」
「ワカッタ」
普段の自分なら行かないと思う。
遠いし、あの吸血鬼が何を考えているのか分からないから……
ただ異変が終わって宴会をやってすぐその後に呼んでくるのにも違和感があった。
「それだけじゃあないけど」
今回のお呼び出しには得体の知れない何かを感じた。
何故か逃してはいけないようなそんな気持ちが……
そのためアリス・マーガトロイドは今回のお茶会を受けることにした。
そこに行けばその何かが分かると信じて。
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