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肝試しは正直何処でやるとか何しとけばいいとか疑問はあるのだが……まだ教えてはくれなかった。
相方が輝夜さんな以上は最悪向こうが分かってるしいいかなって思いはしたが……
「……準備した所で、持って行っちゃならないとか言われたらしんどいしな」
「お兄さん何か困り事?」
「ああ、肝試し何か準備すればいいのかなって」
「ああ、セット一式売ってるよ。買うかい?」
「セットなんてあるのかどれどれ……」
声がする方へと振り向いて、商品と売り手を見る。
「あっ詐欺兎!!」
「出会い頭に詐欺って言われるの酷くない?」
「前に騙して……」
そう言えばこの世界では無いか、騙された事に憤慨してすっぽ抜けていたが。
「騙してないよ」
「すまない、勘違いしていた」
「ふんだ、肝試しセット売らないから」
「と言うか見えないんだけど、そのセット」
「盗まれるの怖いから裏に置いてあるしね」
……胡散臭え、騙す気満々じゃないか。
「後悔したって知らないんだからね!」
「いえ、要らないです」
「これ無いと参加出来ないよ?」
「それでは皆に買わない様に言っておきます」
「なんでさ、自分の責任だろう?」
「皆で買わないのなら対策できないって事で肝試し終わりますし姫様は怒るでしょうね」
「……鬼」
輝夜さんの名前を出して無理して押し込める、これ以上騙されたら食われるだけだ。
「それで、その商品は何処ですか?」
「無いよそんなもの」
「やっぱ騙す気だったわけじゃ無いですか」
「ふんだ、むしろなんで分かったんだよ」
ここまで堂々と自分は悪くないオーラよく出せるな……
「前に騙されたんですって」
「私としてもそれはうっかりだな……」
「輝夜さんに言いつけますからね」
「だっ旦那ぁ、そりゃ勘弁してくだせぇ」
なんだよ旦那って……と言うか急に下手に出始めたな。
「ダメです、そのままにしてると人の良いアリスさんは特に騙されそうですし」
「そんな……出来心だったんですって旦那ぁ」
「……」
なんか楽しくなって来た気がする。
「でも、またやりますよね?」
「あっしを信じて下さいって!もうしませんってば」
「そう言われてまた騙されたんですが……」
「……だったら貴方達を騙さないって事でどうかあっしを」
あっさり翻すのか……たださっきの言葉以上には信じられるか。
「分かりました……次やったら今度こそ言いますので」
「旦那ぁ……」
「一応アリスさんだけは騙されそうなので伝えておきます……」
そう言い残してその場を去る。
流石にここまで言えば少しは警戒するだろうしやらかせないだろう。
「……ちょっろ」
その言葉は俺には届かなかった。
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一応聞いておく必要はあるかと輝夜さんを探す。
約束通り輝夜さんに伝える事はしないけど、何か必要だったら嫌だし。
「あっ輝夜さん」
「蓮司、どうしたのかしら?肝試しが待ち切れないの?」
「いや……ああでも肝試し関連ではありますが」
「何か不備でもあった?」
「いえ、ただこちらの準備ってやはり何か必要なのかって」
「大丈夫よ、ただ楽しんでくれればいいわ」
……やっぱりか、アレだけ言ってさらに騙す様な人だし念のためと思ったが大丈夫だった。
「有難うございます。楽しみにしてますね」
「ええ、私も今から……」
「あら2人ともこんにちわ」
「アリスさんこんにち……」
アリスさんの方を見てみると、何か持っている。
……嫌な予感がするなあ。
「アリスさん、それは……?」
「ああ、これは因幡さんが在庫処分に困っているらしくて……」
「……見るからに日用品っぽいですが在庫に困ります?」
「そうよねえ……」
「二人共どうしたのよ」
「いや……兎狩りをしようかと思いまして」
「どう言う事?」
「ちょっと注意したんですがあの嘘吐き兎……」
「ああ……またてゐがやらかしたのね」
「俺に対しては未遂ですが……アリスさんが被害者なので……流石に狩るべきかと思いまして」
「私が言っても聞かないのよね……まあ大怪我しない程度に懲らしめて構わないわ」
「いいんですか?」
「実際私達も被害に遭ってるのよ」
「分かりました」
輝夜さんに許可を貰い、先程の場所へと戻る。
案の定と言うか、今度は幽々子さんに高価で売りつけている様だ。
「……流石に現行犯を見る事になるとは思いませんでしたが」
「ん?げっ……」
しかもげってまで言い出したし……
確信犯じゃないか。
「いや、これには理由があるんですってば」
「理由……」
疑わしき目でてゐさんの方を見る。
相場の倍くらいだがこれに理由があるねえ……
「いや今回だけはマジなんですって」
「聞いてあげてもいいんじゃないかしらー?」
今回カモられそうになったの幽々子さんなんですけどね……本人がいいって言うならいいですが……
「理由は?」
「食費です」
「食費って確かに多いけど、輝夜さんが呼んだんだし問題ないくらいだったのでは?」
「本当は私達もそう思ったんですけどね……その幽霊だけ別格なんです」
「えぇ……?」
そもそも幽霊が何か食べるのか?
胡散臭いんだが。
「だってお腹空いちゃうし……」
「だからって他の全員の足してもその何倍もってどう言う事ですか!!」
「え?」
このメンバーの更に数倍?嘘だろ?
「これでも我慢してるのよ」
「……」
これだけはマジらしい、そんなに何処に入るんだ?いや何処にも入らないのか……?
「流石にその人にだけ食費払って貰わないと火の車になってしまうんですって!!」
「確かに……それはしょうがないか」
破産されても困るし、流石に払えないって事は無さそうだしさ。
「払うのかしら?」
「そうしないと不味いんですって!!」
「幽々子さん……流石に食費が跳ね上がるなら」
気付けば俺もてゐさんの同情側に回っていた。
ほとんど無意識と言うか、計り知れない量に怯えてしまったのかもしれない。
「でも、小野寺君が今言ってたわよね?」
「何をですか……?」
「相場の倍だって」
「……」
確かに言ったな、倍にする理由はよく考えれば無いじゃないか!!
「いやぁ、それは」
「兎って美味しそうよね」
てゐさんの耳元で幽々子さんが呟く。
てゐさんが震えているのが分かる。と言うか俺も無関係の筈なのに震えている。
「……タダでいいです」
「あら、じゃあご馳走になるわあ」
そのままニコニコとしながら食材を持っていった。
残されたてゐさんはその場に座り込む。
「なあ……人間」
「なんでしょう」
「本気で今回だけ嘘吐くのやめる……命が危ない」
「それがいいと思います……」
笑顔で息をする様に嘘を吐く兎がこの永遠亭で一番の問題だと思った。
ただしそれ以上にヤバい存在が今は居るのだと思い知らされたのであった。
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to be continued