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「すみませーん……」
「あら?どうしたの?」
「傷薬ありますか……?」
「あるけど、ウチそこまで怪我するような場所無かったと思うけど」
八意永琳の診療所、そこに俺は訪れていた。
傷は……あまり言えた事がないがレミリアが……
「引っ掻き傷……貴方のところのお嬢様を怒らせでもしたのかしら?」
「……仰るとおりです」
「ダメよ、仲良くしないと」
「分かってますよ、流石にレミリアと喧嘩しっぱなしは良くないですし」
そもそも喧嘩したんだろうか?
勘違いさせてしまったのは悪いが折檻されたわけだし……
「ほら、治療は終わったわ。早く行きなさい」
「有難うございました」
そのままレミリアのもとへと向かうが、機嫌が非常に悪かった。
事故だって言っても信じてもらえないし……何より咲夜さんの目がマジなのが怖い。
「肝試しまでには仲直りしたいが……」
「調子はどう?」
「永琳さん?診療所は良いんですか?」
「別に四六時中開けてるわけじゃ無いわよ」
「それは……確かにそうですが……」
「だからこっちは気にしなくて良いわ、それよりも貴方よ」
「……あまりよろしくありませんね」
「あの子そこまで貴方に対しては怒りっぽくなさそうだったけど……何したのよ?」
「実は……」
正直他人に話すのはまずい気がするが、意を決して話す。
セクハラとか言い出されたらどうしようもない気がするが……
「……弟子が迷惑かけたわ」
「弟子……ですか?」
「ええ、あの子は薬師見習いなの」
「成る程……鈴仙さんも薬師だったのか」
その割にはそう言う事は何も言われなかったが……研修生クラスとかなのかな?
「あの子が迷惑を掛けたなら手伝わないとまずいかしらね?」
「え?」
「仲直りの薬とかあるけど」
「なんですかその恐ろしい薬……」
「使えばどんな男女でも仲良くなるのだけど」
「絶対まずいやつじゃ無いですか、使いません」
「少量だけで良いから」
「……さりげなく俺を実験体にしようとしてません?」
「……」
「勘弁してくださいよ」
「……そう言えば貴方に恩があったわね」
「その結果命を失う以上の事になる可能性が高いのでやめたいです」
本当にそう言う怪しさしか無い薬はダメだって。
しかもそれ惚れ薬系のヤバいやつじゃん……
「分かったわ、ならどの薬なら良いの?」
「俺が仲直りする事から永琳さんの薬飲む事に変わってません?」
「私が居なくてもなんとかなりそうだし、それならこっちの用件も済ませたいじゃない?」
「え?飲むの確定なんです?」
「だから何がいいかなと」
「……いやぁ、肝試し前に何かあると嫌ですし」
「効果は保証するわよ?」
「薬には相性が有りますし」
「それも含めてのだけど?」
「けっ健康ですので……」
どうにか逃げる方法を探す。
誰かいないか……?
「……また?」
「レミリア……?」
「ふん」
見下したような表情を一瞬したかと思ったらそっぽを向かれる。流石に今回は追い掛けた。
「あっ……逃げられたわね」
ただ、今回の場合は仕方がないと永琳は諦めた。
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「何か?」
「咲夜さん……レミリアは?」
「生憎通すなと言われてるわ」
「そこをなんとかならないですかね……?」
「……」
「咲夜さん?」
「正直な話をすると……お嬢様が機嫌悪い姿をここ数日見かけて心配しかないわ」
「……そうですか」
「貴方のせいだと自覚して欲しいのだけど」
「いや……まあそれは分かっていますが……」
「どうせわざとでは無いと思っているけど」
「……信じていただけるんですか?」
「なんだかんだ貴方は巻き込まれ体質なのは分かっているから」
「そうなんです……?」
「なんで自覚してないのよ……」
「……まあそう言われるとそうですね」
「殆どは、貴方がクビを突っ込んでってるのが原因だけど……それでも巻き込まれてるのかなり見てるわ」
異変に関わろうとしている以上は自然とそうなってしまうが、確かに巻き込まれもそこそこ増えてる気がする。
「ただし……」
「なんでしょうか?」
「例えそうだとしても全く持ってお嬢様は納得してないわよ」
「……籠ってる以上はそうですよね」
「正直、見ている此方が胃痛する事になるとか勘弁して欲しいのだけどね」
「それは……そうですね。俺もさっきのように会っただけで見たく無いもの見るような顔されたく無いんで……」
「……そこまでなの?」
「そうですね……」
「……ここを通すから、お嬢様と絶対に仲直りしなさい」
「それは……流石にするつもりですが」
「いい、絶対によ?」
「そこまで念押しされるのは予想外ですけど」
「それ程にまずいのよ」
「……何がですか?」
レミリアにそんなまずいものがあるように思えないが……一体何があるって言うんだ?
「満月の肝試しの日、お嬢様が妹様のように暴走する可能性あるわよ」
「……は?」
いやいやいや、冗談だろう!?
レミリアがそんな事するわけ無いって……
「お嬢様は成熟なさっているので、多少の事なら気にしないけど、何より衝動を抑えられるしね……問題が無ければ」
「その問題は……?」
「純粋な怒りか、嫉妬か、不甲斐なさからの憎悪とか理由は分からないけど……お嬢様は今状態が危ういだし危険なのだけど」
「そのまま満月を迎えると……」
「いつもと違って抑えられない可能性が出てくると言うわけよ……」
「マジかぁ……」
「なので絶対に満月までに仲直りしなさい。最悪貴方を殺してでも止める事が候補だから……」
「……嘘ですよね?」
「暴走するお嬢様を見たく無いわ」
……目がマジだこれは間違い無く死ぬ。
元々俺も仲直りする気があったからどうにかしたい。
頼むからせめて話し合いはさせてくれ。そう思いながら扉を開いた。
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to be continued