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満月の夜、肝試し大会が行われる。
異変解決に参加した霊夢達以外の三組と俺と輝夜さんの四組なのだが……
「迷いの竹林をですか……?」
「ええ、何か問題あるかしら?」
「問題しか無いと思うんですが……」
「私がいるから大丈夫よ」
「……他のグループは?」
「何とかなるでしょ」
「……マジですか?」
「それよりも、願いは決まったのかしら?」
「……優勝したチームの願いを一つ叶えるでしたっけ?」
そもそも肝試しの優勝ってなんだ?
怖がらないとかそう言う類は競えない気がするんだが……
「私は勿論休日を貰うとして」
「……一応は主催者側なのでは?」
「妖怪は別に仕込みじゃ無いし問題ないわ」
「いいんならいいですけど……」
「それで、貴方の願いは?」
願いが叶うのは謎といえど、決まっている。レミリアとも話したしな。
「まあ間違いなく私って言うでしょうk……」
「フランの衝動を抑える薬を作って欲しいのですが」
「薬……?」
「え?今何か言いました?」
「……何も」
「ならいいですが」
運悪くタイミングが被ってしまったせいで聞き取れなかった。
重要なことなら言い直すだろうし大丈夫だろうけど……
「……ぐぬぬ」
「なんでそんな悔しそうな顔してるんですか……」
「もういい!行くわよ!!」
「分かりました!?」
兎にも角にも優勝しない事には薬が作ってもらえない可能性がある……
流石にそれは不味いし頑張ろうと輝夜さんの後をついて行った。
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納得が出来ない、少しは面白そうな男だと思ったのにどう言う事なのか。
蓬莱山輝夜は蓮司の態度に苛立っていた。
「……こんな事今まで一度も無かったのに」
「何か言いました?」
「なんでも無いわよ!!」
「……分かりましたが」
かぐや姫とも呼ばれた私は多くの人間から求婚されて、それこそうんざりする程であった。
会うたび会うたび口説かれるのが日常であって、願いが一つ叶うと言うのに全く気にされないなんてあり得ない筈だと……
無視する人間も居るのかと思おうとしたが、普段から慣れてるせいで逆に苛立った。
「そこ危ないわよ」
「あっすみません」
「本当に、ただの人間じゃない」
「そりゃまあ……最初からそう伝えましたし」
ただの人間の癖に、何故こうも苛立たせるのか。
「ねえ」
「どうしました?」
「貴方好きな人とかいないの?」
「少なくとも肝試し中にそんな質問が出て来て驚いているんですが」
「答えなさい!!」
「いや、特には居ませんが……」
「紅魔館に居たのでしょう?彼女達はどうなのよ」
「友であり恩人です。ただ、彼女達はそう言った関係であり、恋慕などは流石に無いです」
「恩人、ねえ」
「ですのでその恩を返すためにも今回は優勝出来るならしたいって話なわけでして」
「ほんと……よく分からない人間ね」
「そう言われましても……」
恩人である以上仕方がない、そう思って納得しようとはしたが……やはりそれでも納得出来ない。
それくらいには当たり前であったから。
「もう一つ願いがあったらどうしてた?」
「もう一つって……今回はランプの魔人ではないんですから……」
「答えなさい!!」
こうなればどうしてでも言わせてやると言わんばかりに聞いた。
恩はもう関係無いだろうしそれなら言う筈だと。
愛されガールだから仕方ないよねと。
「えーっと……」
迷うほどのことじゃ無いでしょう、迷ってるフリよねって……焦らさないで答えなさいと。
「魔理沙さんが持ってった図書館の本を全部取り返すですかね……」
「なんでそうなるのよおおおおおお!!」
竹林に叫び声が響き渡った。
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正直な話、彼女が何を求めているか分からない。
それに応じた答えを出来れば良いんだが……ただの一般人に汲み取れって言われてもだな……
「輝夜さんはもう一つ願い事があったらどうするんですか?」
「なんで私?」
「いえ、輝夜さんも何か願いがあったから聞きたいのかなと」
「別に、私は休みを増やすだけよ」
「そうですか……」
特に目的はないと……だったら尚更なんなんだ?
まさか相手から求婚して来ない事に文句があるなんて想像出来るわけが無い。
「まあ俺はフランさんの症状が良くなればいいので、願いが複数なら譲りますので」
「本当に、貴方自身に願いは無いの?」
「幻想郷では助けられてばかりだから、その恩返しに全力を注ぎたいです」
「そう……なんか深く考えるのが馬鹿馬鹿しくなってきたわ」
深く考えてたのか……?
いや、余計な事を言うのは止めておこう。
「俺個人はって言うけど、結局は知り合った人達が笑顔で居てくれりゃそれでいいんですよ」
悲しんでいたり苦しんでいると、自分が死んででも助けようとしてしまうから。
変な所で自分も歪んでしまったなと。
「それじゃあ自分本位な私が悪いってわけ?」
「そもそも自分本位なんですか?」
「あの本のこと実現してるレベルよ?」
「あー……」
確かにあの本の事を考えると自分が中心でサボれるならサボりたいって人だった。
「他人に迷惑を掛けないならいいと思いますけどね」
「それはどれくらいの規模で?」
「そう言われましても……」
何処からが迷惑かと言われても正直その人次第だろうと。
ってかそう言う考えの時点でダメなんじゃ……?
「まあ悪いとは言いませんけどさ」
「ニートを認めてくれるの?」
「肯定はしませんが、自由に生きる事を咎めはしませんよ」
場所が場所なだけあって、働いている人を殆ど見たこと無いし……この姫様が一般人ほどかもしれないしな。
「それじゃあ勝つわよ」
「それは構わないのですが……そろそろ行きません?」
「……え?」
気付いたようだが、俺達は殆ど進んでいなかった。
輝夜さんが喋る時足を止めてしまってそれに合わせてしまったからである。
「やばいやばい急ぐわよ!!」
「焦ったら逆に不味そうですが」
「一位じゃなきゃ働かないといけないのよ!!」
「その言い方だと流石に働けって言いたくなりますが」
焦る輝夜さんを追い掛ける様に竹林を更に深く潜って行った。
尚、結局輝夜は告らせることに失敗したのであった。
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to be continued