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「……」
目覚めはどちらかと言えば最悪だろう。
ただ眩しいって事は夜が終わった?
「予想以上に図太いのね」
「図太いって……」
「そうでしょうよ、どれだけの時間寝ていたと思うの?」
「分かりませんが……」
「子の刻から夜明けまで……ずっとよ」
「……六時間くらいですか?」
それしか経ってなかったのか?
「正確には能力で伸ばしているから相当な時間になってるけど……あの何もない空間で不安がらずに寝れるなんて正直驚きだわ」
「……丸一日くらい寝てたんですか……それは他の人にも驚かれそうですが」
「いいえ、経ったのは一瞬だから問題ないわよ」
「ちょっと何を言っているのか分からないのですが」
「そう言う能力なのよ」
「……だから永遠と須臾」
「そうね、言ってしまうけど幾らでも時間の引き伸ばしが出来たわ」
「……凄まじいですね」
永夜なんて関係ないだろう。彼女の望むままに時間を操れる筈だ。夜も昼も関係無く彼女の好きに……
そう思うと多少の恐怖を感じた。
「ええ、少しは常人との差が分かったかしら?」
「……簡単にどうとでも出来ると言うことは」
改めて妖怪や超人だらけの幻想郷では人間はちっぽけなんだなと思い知らされた。
だが、約束は約束だ。
「難題クリアしましたよ」
「貴方の命を配慮して中断してあげただけよ」
「それは流石に……酷くないですか?」
「……他にないの?」
「他に……」
気絶する前に見た少女は誰だったのか……
この幻想郷にいるのか、そう言ったのも調べたい。
だが、それは今するべきじゃないし自分で探す必要があるか……
「変わりないです」
「……」
「輝夜さん?」
「考えておくわ」
「ちょっと!?」
輝夜さんに逃げられた。そんなのありか……
追いかけるも籠られてしまった……どうすればいいのだろうか?
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「やあ旦那、調子はどうだい?」
「詐欺兎……まだそれ続けているの?」
「いいじゃん、どうせ暇だし」
「暇って理由が繋がる理由が分からないんだが」
「まあまあ……」
「……」
流されてる気がするんだが……まあそこはどうでもいいか。
「と言うかさ兄さん」
「結局戻ってるし……」
「そうじゃくてさあ、なんか私だけ敬語じゃないし敬ってなくない?」
「……詐欺師の何処を敬えと?」
「えー」
「えーじゃない……」
初対面から酷過ぎたし今後も絶対に敬うことが無いのは分かる。
「じゃないよ……そうだそうだ、姫様どうしたのさ」
「あー輝夜さんは……」
「何かしたの?」
「妹紅さんに謝って下さいと」
「……自殺願望?」
「違いますけど……」
「いやだだって姫様があの子と仲直りは無理でしょ」
「せめて謝るだけでもと……」
「無理無理、そんなん出来てたらこうはなってないって」
「そうだとしても……約束したしなあ」
「約束したんだ」
「はい、願い使って難題もクリアして」
「……難題クリアしたの?」
「永夜返しだったけど」
「姫様はなんと?」
「貴方の身が心配だからやめただけと」
「ふーん」
「ん?何かあった?」
「いや、別に?」
「……それでどうすればいいかなと」
「しーらない」
「え?」
そのまま去ってってしまった。
本当に聞く気しかなかったんだなと……
「当てにしたのが間違いなのは分かるけど……」
せめてもう少し聞いてくれるかなと思っていた……勝手に思い込んだ方が悪いか。
「話聞いてくれるかな……」
正直面倒な事態になりそうな気しかしなくて、レミリア達のように紅魔館に帰りたくはあった……頑張るけど。
…
「よっ!」
因幡てゐは竹林の奥、とある家を訪れていた。
何処かと言われれば……竹林に家などそうそうないが。
「燃やされに来たのか?」
「いやいや、いきなりそんな喧嘩腰なの酷くない?」
「輝夜の所の兎を信用しろって言うのか?」
「いや、確かに永遠亭にはいるけど竹林の兎だよ?」
「信じられないんだけど」
「信じてとしか言いようがないけどさ」
「うーん……用件は?」
「……だいぶ柔らかくなってない?」
「つい前にボロボロにされたばかりだしね」
ああそうか、肝試しがあったなと。
そこばかりは姫様に感謝しよう。
「それで用件だけど」
「輝夜関係だったら断るよ?」
「……」
「ほうら結局そう言う用じゃないか」
「まあね、それは事実だ」
「永遠亭にいけとか言うのだったら燃やすよ?」
「……姫様に謝る機会を与えて欲しい」
「……巫山戯てるの?それともまた変なのに私を巻き込む気?」
「……こればっかりは真面目なんだなあ」
「第一謝る気無いでしょ」
「無いよ」
「だったら……」
「でもアンタの事を気遣って、本気で謝らせようとしてる奴がいる」
「……いやいや」
「この前肝試しに来てた筈だけど」
「……あの子?」
「だと思う、妹紅さんに助けられたらしいよ?」
「そんな記憶はないけど」
「まっいいじゃん」
「……」
そのまま話は続けられる。
「だから、どうしてでも約束を守らせる気だから、私たちじゃなくて彼を信じて欲しいと」
「今更輝夜を許せとか巫山戯てるとしか思えないけど」
「許さなくていいよ」
「なんで?それが目的じゃ?」
「彼の目的は謝らせる事であって、仲直りじゃないからね」
「なんだそりゃ……」
「だから一先ず状況を作らせてくれないかなって」
「なんでこうなったか分からないけど、前向きに考えるよ」
そのまま感謝の一礼をして出て行った。
元から姫様を説得しても意味がないと分かっていたがもしかしたら彼のお陰でどうにかなるかもしれないと。
いい加減この二人の確執にうんざりしていた所もあれば、時折竹林や永遠亭を焼かれて忙しくなるのも困っていた。だからこそ彼を使って少しはマシになるようにしようと兎は動き出すのであった。
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to be continued