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「なんで妹紅……アンタがいんのよ」
「おいおいそりゃ無いだろ、来たらするってのは輝夜が今言ってたじゃ無いか」
「ぐっ……図ったわね!!」
「いや全く状況が掴めてないんですが……」
「そうそう姫様私達が姫様を騙すわけなんて無いじゃん」
てゐ……俺の記憶が正しければ君はさっきピースしてたはずなんだけど……
「私達の中で話し合いがあったのよ」
「聞いてないのだけど」
「そりゃ姫様に言っちゃダメでしょうよ」
「む……」
「やっと姫様を場に立たせる事が出来たのだから、これ以上は逃すわけにはいかないよ」
「だからって卑怯じゃない!!」
「この二人は卑怯じゃないだろ。って事で輝夜土下座してもらうよ」
「……分かったわよすれば良いんでしょ!!」
「おや意外、案外姫様あっさり折れたね」
「土下座なんてパフォーマンスでしょ!!」
パフォーマンスなのかどうかは知らないが……一先ずこれなら大丈夫かな?
そっと部屋を出ようとする。
「あら?小野寺君何処へ?」
「もう大丈夫でしょうし、俺も流石に見てない方がいいかなとは」
「どうして……?」
「ただでさえ嫌がってたのに、人が多いのも嫌でしょうと」
「旦那そう言う趣味じゃないんすか?」
「おいコラ」
「ひぇ……まあ旦那がいいならいいんじゃないっすか?それじゃあまた後で」
「ちょっと蓮司助け……」
「謝る事に助けも何もないでしょう……」
後ろから懇願する声を後に部屋を出て行った。
そのまま部屋に戻ろうとするも、輝夜さんの部屋の付近で幽々子さんと遭遇した。
「あら、小野寺君。ここに居たって事は」
「幽々子さん、どうされました?」
「いえ、小野寺君がここにいるって事は、お姫様に何かあったのかなって思っただけよ」
「そうですね……用があって彼女の部屋に行っていました」
「と言う事は、例の願いの事かしら。それで状況は良くなったの?」
「最後までは見てませんが……マシになればいいなと」
「ふむふむ」
「幽々子さんはどうしてここに?」
「小野寺君を探していたのよ」
「え?俺ですか?」
俺に用があるとは思わなかったけど、それでも何かあるなら聞かないとな。
「少し話さないかしら?」
「構いませんけど……」
改まってって感じだな、重要な話なのだろうか?
急に真面目な話になるだろうと思い息を飲む。
「部屋に来てちょうだい」
そのまま幽々子さん達の部屋へと案内された。
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「そんな緊張しなくていいのよ、取って食うわけじゃないのだから」
「……ならいいですけど」
取って食う、その言葉に少し身構える。
不死の人間を食べようとしたばかりだしあまり信じられない……
「それで、何の御用でしょうか?」
「そうねえ……単刀直入に言うわぁ」
「……」
「小野寺君、白玉楼に来ないかしら?」
「白玉楼……ですか?」
白玉楼は確かこの二人の住んでいる場所で、異変が起きた場所だったな……そもそも何故俺が勧誘されたのだろうか?
「ええそうよ。そこに妖夢と私と貴方……素敵じゃない?」
「唐突に言われても困りますね……」
素敵じゃない?と言われても何をどうしてそうなったのかが欠けている。
思い付きなのかもしれないが、やはり現状を理解しきっていない。
「純粋に気に入った、じゃダメかしらねえ」
「何故の方が強いですね」
「むー強情」
「そう言われましても……」
「妖夢だって喜ぶわよー」
「……なんで妖夢さんが」
幽々子さん以上に関わりがないんだが。唐突に居候が増えるのは、正直喜びよりも戸惑いの方が大きいだろう。
「なんでだと思う?」
「いや……そもそも喜ばないでしょう」
「いやいや、確証出来るわよ?」
「……それはそれで怖いんですが、どうして?」
「知りたい?」
「まあ……知れるなら」
ふざけた理由だったらどうしようか、この人の場合どうしようもない気もするけど……
「貴方の思い出せない記憶の中が関係しているわ」
「……え?」
「知りたいでしょう?その記憶……」
これは罠だ……きっと罠だ。
幽々子さんが知るわけもないし。魔理沙さんが言ってたように俺をどうにかする気だって……
「なんで……」
「驚いてるでしょ。でもね幽霊だからか分からないけど、私はずっと貴方のことを覚えているの」
「俺の記憶が欠けてるはずが……そんなわけ無い」
「本当に?」
「……」
罠だと分かっているのに、つい嵌りかける。
いや……もう嵌まっているのかもしれないな。
「白玉楼に来れば……思い出せるかもしれないわよ」
「俺は……」
「幽々子さま」
「なぁに妖夢、今は……」
「生憎ですが……今は1週間程度白玉楼を留守にしていた為、人を迎え入れる準備が出来ていません」
「それくらいはどうにか……」
「幽々子さまの食べる量だいぶ減りますよ?」
「……しょぼーん」
「なのでその話はまた今度にしてください」
「妖夢ぅ……」
「泣いたってダメです」
そのまま幽々子さんはシクシクと部屋を出ていく。
色々とまだ聞きたい事があったのだが……話してくれなかった。
「妖夢さん……一体?」
「すみません、割と強硬策を取りました」
「強硬策?」
「小野寺さん、白玉楼は冥界で……人が住む事はだいぶ厳しい土地となっております」
「だいぶ厳しい……」
「それこそ幽霊達の土地ゆえに、通常生活でさえ命の危険が沢山あります」
「……」
今更命の危険は……って感じだが態々自殺行為をする気もないか。
「なので、無理やりにでも来させないように先程のような事を」
「成る程……」
「本当に、私らしく無いんですけどね」
「そうなんですか?」
「もしかしたらですが……私自身異様に小野寺さんへの好感度が高いと思っていますし、私も過去に小野寺さんに会った事があるのかもしれませんね」
「そんな運命的な事を唐突に言われても困るんですが……」
「それこそ幽々子さまが言うように私にも欠けた記憶があるのかもしれませんね」
「だったら聞かないと……」
「そちらは私がやっておきます」
「いいんですか?」
「貴方には命を賭けないでもする事があるでしょう?」
「分かりました」
とりあえず現状は紅魔館に戻ってから考えるかな……?
「それじゃあ俺はこれで」
外がドタバタして来て、幽々子さんが帰って来そうだと思い慌てて部屋を出た。
忘れている記憶……本当に。
「そこだけじゃ無い、どれだけの事が」
明確に何処に何があるのかは分かっていない。
記憶も全部あやふやだ……ただ一つだけ思った事がある。
「無縁塚……」
前に俺が引っかかったワード。恐らくはそこにも忘れている記憶が存在すると思っている。俺はそこで誰かと約束した気がする。
そこに行けば何かがある、ずっとそう思い続けたのであった。
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to be continued